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 第27話  『 ロリと忍者の三日間 』



 「 伊墨甲平の〝猟牙ファング〟配属及び隊長への推薦について討議いたします 」


 ……私の言葉に一同が息を呑み、沈黙していた。


 『……』


 沈黙する一同。その沈黙には困惑や反対の色が窺えた。


 (……やはり、すんなり通る話ではなさそうですね)


 甲平様がこの王宮に訪れてから一週間かそこらしか経っていないのだ、いきなり新設部隊の隊長に推薦すると言われても普通は反対する筈だった。


 「素性もよく知れぬ男が王宮内をふらついているのは耳にしております。しかし、その男をわざわざ新設部隊の隊長に推薦する理由を説明していただけませんか?」


 説明を求めたのはレイド様である。

 彼は若くして副騎士団長まで出世した秀才であり、才能に驕ることのないとても勤勉な性格であった。


 「わかりまし

 「その説明なら僕がしよう」


 割り込んできたのはクソ……レイヴンハート執事長であった。


 「いえ、私が説明し

 「まず、伊墨くんには実績がある」

 「……」


 ……とことん私の邪魔をしますね、この男は。


 「今回の侵入した五人の殺し屋の内、伊墨くんが倒した殺し屋は三人だ。これは驚異的な数値だね」

 「私は一人倒しましたが、執事長は何名倒しましたか

 「それに強さだけではなく、彼には人並み外れた聴力がある。これは索敵部隊として申し分ない素質だとは思わないかな?」

 「……」


 ……ガン無視ですか。


 「彼の強さ、彼の素質、これらを踏まえた上で僕は伊墨甲平を〝猟牙ファング〟の隊長に推薦しよう」

 「……」


 ……推薦したのは私なんですが。


 とはいえ、クソ執事長の言うことも的外れではない為、今回はツッコミを見送った。



 「 うーん、それって能力だけで決めるもんちゃうんやないですか? 」



 横から口を挟んだのは使用人一の曲者、ロキ=キルシュタインであった。


 「その伊墨くんの能力が高いのはわかったんですが、それだけで小部隊の頭を任せられるんでしょうかね」

 「……」


 ロキさんの言いたいことはわかっている。

 要は、新参の甲平様など信用できない、信用できない男に隊長を任せられる筈がない……ということであろう。


 ( まったくもって、その通りですね! )


 ……ロキさんの話は正論そのものであった。


 (しかし、このような反論は予想済みです)


 目には目を、正論には正論を……。


 「皆様が甲平様を信用できないので、隊長への推薦を反対しているのはわかりました。ですが、逆に考えれば信用することができれば、この話に賛成して戴けるものと受け取ってもよろしいでしょうか?」


 『……』


 皆様は沈黙で頷く。


 「ならば規則に乗っ取って決めましょう……キルシュタイン副隊長、隊長への昇格への条件は把握されていますか?」

 「覚えとりますよ。条件は隊長以上からの推薦状一件。そして――……」


 ロキさんは人差し指を立て、すぐに中指も立てた。


 「推薦者以外の隊長から三日間に及ぶ検査を受けて、それをクリアした者……でしたよね」

 「はい、その通りです」


 1.隊長以上からの推薦状、一件。


 2.推薦者以外の隊長から三日間に及ぶ検査を受け、合格すること。


 ……この二つが隊長への昇格の条件であった。


 「推薦状を私、セシル=アスモデウスから出します。そして、検査は――……」


 これで条件その一はクリア。残るは条件その二。

 検査資格のある者は――……。


 オルフェウス従事長


 レイヴンハート執事長


 クロウディア隊長


 シロップ隊長


 マリオネット隊長


 ロイス騎士団長


 ……から不在のオルフェウス従事長とクロウディア隊長を除いた四名。


 その中で私が選んだのは?



 「 二番隊隊長――キャンディ=シロップに任命いたします 」



 『……っ!』


 ……私の言葉に一同が驚愕した。当の本人は爆睡していた。


 「……くははっ」


 ロキさんが思わず笑みを溢した。


 「うちのボスが検査員ですか? くははっ、それはこちらも文句なしですわ」

 『……』


 ロキさんの言葉に同調するように他の方々も意見を出さな



 「 いや、僕がしよう 」



 ……クソ執事長が立ち上がった。何故か上半身裸であった。


 「雌よりも男の僕の方が厳正な検査ができるとかはどうでもいいけど伊墨くんと密着検査したい」


 『……』


 ……一同がげんなりしていた。


 「やはり、雌では浴室やトイレまで検査できない。その点、僕なら浴室やトイレやベッドまで同行して伊墨くんと密着検査したい」


 ……ふぅ、と私は溜め息を吐いた。そして――


 「そもそも、皆を僕を勘違いしているようだけど、僕はホモじゃなくて、ただ伊墨くんと密着検査した



 ――トンッ……。私はクソ執事長の頸椎に手刀を打ち込んだ。



 「……ぽ……ぱい」


 そして、クソ執事長は失神した。


 「……えー、こほんっ。という訳で、本日の緊急会議を終了いたします」


 ……会議は終わった。



 ……………………。

 …………。

 ……。



 「 という訳で、今日から三日間、シロップ隊長と生活していただきます♡ 」


 「どういう訳でっ!?」


 ……唐突な展開に、流石の甲平様も驚愕した。


 「それでは私は仕事が残っておりますがゆえー♪」

 「説明も無しにいなくならないで!」


 私は甲平様とシロップさんを残して、その場を後にする。


 (……頑張ってくださいね、甲平様♡)


 心中で私は甲平様を激励した。


 (何せ、甲平様を検査するキャンディ=シロップ隊長は――……)



 キャンディ=シロップ


 過去、検査人数――5名


 合格者数――……。



 ( すっっっっっっごい、人嫌いですので♡ )




 ――0名




 ……そして、検査は開始された。


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