第23話 『 渾身一擲 』
「――骨も残らねェと思え……!」
……俺はアリシアと対峙して、啖呵を切った。
「……容赦? 骨も残らねェ?」
アリシアは首を傾げた。
「あははは、貴方は面白いことを言いますねェ」
「……」
……一瞬の静寂。
「やってみやがれッ! クソ野郎ッ……!」
――ドッッッッッ……! 無数のハエトリソウが俺に襲い掛かった。
「この数のハエトリソウ! 貴方は捌き切れますかね!」
「……」
ハエトリソウの巨大な口が目と鼻先まで迫る。
「 で? 」
――斬ッッッッッッッッッッッッ……! 全てのハエトリソウが小太刀によって切り刻まれた。
「馬鹿なッ!」
「……こんなもんかよ、お前の力はよ」
俺は足下に転がるハエトリソウの死骸を踏み潰して前進した。
「まさか、この程度の力で姫に手を出したんじゃねェよな?」
「当然です♪」
――ドドドドドドドドッッッ……! 無数の鋭利な竹が壁・床・天井から飛び出した。
「串刺しになって死にさらせェ……!」
「――」
――回避
全ての軌道を見切り、回避に次ぐ回避。
縦横無尽にステップし、全ての竹槍を回避した。
「……全て、かわし切ったというのですか?」
「……」
俺は無言でアリシアに歩み寄る。
「……っ!」
アリシアは怯むように一歩後退る。
既に俺とアリシアの距離はすぐ近くまで迫っていた。
「……かっ、かっ」
「……」
「掛かったなァ……!」
――重ッッッッッッッッッッッッッッ……! 突如、全身に見えない重石がのし掛かった。
「オジギソウです! 最後の最後に引っ掛かりまし
――ドシッ……。重い足音が響いた。
「軽いな」
「……嘘だろ」
俺はのし掛かる重力を無視して、アリシアに歩み寄った。
「もう終わりか?」
「……」
「だったら、興醒めだな」
「……うっ」
――ドドドドドッッッ……! 無数のハエトリソウが飛び出す。
「うわぁぁぁぁぁぁッッッ……!」
……俺ではなく姫の所へ。
「任せた」
俺は構わずアリシアに歩み寄った。
「命令してんじゃねェよ……!」
――蹴ッッッッッッッ……! ラビが回し蹴りでハエトリソウを一蹴した。
「ムカつくがてめェの手柄だ! くれてやる!」
「――なっ!?」
――既に俺はアリシアの目と鼻先にいて、拳を振りかぶっていた。
「 全力でぶん殴れッ……! 」
「来るなァァァァァァァァァァァァァァァァァァ
――ゴッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ……!!!
……俺の鉄拳がアリシアの土手っ腹に炸裂した。
――ピシッ……! 床に亀裂が走る。
「落ちろォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ……!」
――瓦解。床が崩れ落ちた。
アリシアは勢いよく落下する。
そして、更に床を貫き落下する。
それでもアリシアは止まらない。
更に一枚、二枚と床を破壊し、階下へ落下した。
「……ハァ……ハァ」
渾身の力でぶん殴り、息を切らした俺は床にできた大きな穴を見下ろした。
「……」
……そこには、床を五枚程ぶち抜き、大の字で白目を向いて倒れているアリシアがいた。
「……ふう」
俺は大きく息を吐き、姫の方を向いた。
そして、姫に親指を立てた。
「……勝ったぞ、姫」
「甲平っ……!」
姫は俺に駆け寄り、抱き付いた。
……かくして、三人目の刺客を撃破したのであった。




