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 第216話 『 誕生日はなんぼやっても困らない 』



 「それじゃあ、お誕生日パーティー第2ラウンド、行っくよー!」


 ……集まってきたお偉いさん方が解散したかと思ったら、ペルシャによって大広間に収集させられた。

 集められたのはペルシャの家族と使用人。


 「第2ラウンドだとっ!?」


 「うんっ! さっきまではお堅い感じだったけど、これからは無礼講で楽しんで行こーーーッ!」


 『ウェーイッ!』


 ペルシャが拳を突き上げ、他の奴等もノリノリで呼応する。

 ちなみに、集まったのはペルシャの家族全員とクリス・キャンディ・ロキ・ソフィア・メジャー・姫・俺である……メジャー!?


 「それじゃあ、ペルシャ様の十八歳のお誕生日をお祝いしまして――……」


 何かメジャーが乾杯の音頭取ろうとしてるんだけど! お前がそのポジションでいいの!?


 「カンパーイ!」


 『カンパーイッッッ……!』


 一同がグラスを合わせ、手持ちのグラスを口に運んだ。


 「……まっ、いっか」


 色々ツッコミ所はあったが素直に楽しもうと思った。


 「ところで甲平くん、娘とはどんな関係なのかね」


 と話し掛けてきたのは王様であった。


 「……なっ」


 何で俺の隣が王様何だよーーーッ! こんなの素直に楽しむとかそれ所じゃねェーーーぞッ!


 ……ちなみに、席順は以下の通りである。


 ペルママ 王子1 王子2 ロキ


 ペル妹           俺


 ペルシャ 《テーブル》  王様


 メジャー        キャンディ


  姫  ソフィア クリス



 メジャー、お前のポジション何なんだよ! 何処のハーレム系主人公だよ!



 (いや、今はそれ所じゃねェ! 今は王様に話振られたんだ! しかも、絶妙に返しに困る話題を!)


 ……えっと、何だっけ? ペルシャとどんな関係かだっけ?


 「……」


 ……………………えっ? これ何が正解なの?


 主従?

 友達?

 恋人? いや、それは無いな。


 「……………………ただの主と一使用人ですよ」


 「何っ、そのただ事じゃない間!?」


 しまった、無駄に間を空けて怪しまれてる! 別にやましいことなんて何もないんだけどォッ!


 「いや、本当に何でもないんですよ! どちらかと言うと妹みたいな感じでして!」


 「だって、今日一緒にダンスしてたよね、君達」


 「あー、あれは何ですかね?」


 「いや、こっちが聞いているんだが」


 「……」


 ……うん、早く席替えしたい。まだ始まって一分ぐらいしか経ってないけど。


 「俺にとってペルシャ様は護衛する対象ってだけですよ。あのときもダンスを迫られて困っていたから助けただけですし」


 「……そうか」


 良し、これはいい返しではないか? って、ペルシャ、何か目が恐いんだが……。


 「君の活躍は娘から聞いている。暗殺者の撃退、ドラコ王国の精鋭を倒し、アスモデウス家当主継承戦でのセシル君のサポート……君のお陰でペルセウス王国の今があるし、これからも力を付けていける」

 「……私は自分の仕事をしたまでです」


 俺にとっての最優先事項は姫の護衛、その為に居場所を護るのは当然のことであった。


 「ありがとう、君の仕事振りには高く評価しているよ」

 「お誉め与り恐悦至極でございます」


 あまり堅苦しいのは好きではなかったが、国王からお誉めの言葉をいただいて頭を下げない訳にもいかなかった……ああ、早く席替えしてェ。


 「しかし、娘に興味が無いのは残念だ……君になら娘を任せられると思ったんだがな」

 「まさか、そんなこと絶対あり得ませんよ」


 ペルシャは確かに美少女で性格もいいが、如何せんセシルさんのような大人の魅了が足りなかった……って、どうしたんだペルシャ、目のハイライトが消えてるぞ。



 「 チュウモークッ! 」



 ……ペルシャが手を叩き、一同の視線を集めた。


 「場も温まってきたので、今から王様ゲームを始めまーす!」


 もう! まだ乾杯から三分ぐらいしか経ってないんだけど!

 てか、隣にいるんだけどリアル王様が!


 「本日の主役の言うことはぜーーーたいっ♪」


 「……」


 ……どうやら俺達に拒否権は無いようであった。


 「そんな訳で準備万端! ささっ、皆引いて引いて!」


 ペルシャが棒の入ったコップを回させる。


 (相変わらずの突拍子のなさだな……おっ、俺は〝5番〟か)


 俺は〝⑤〟と書かれた棒を引き、王様にコップを渡した。

 前回はあっさり見破られてしまったが、今回は番号がバレないように素早く棒をスーツの内ポケットの中に隠した。

 後は誰が王様になるかだが……。


 「…………キャンディ、なの」


 キャンディが〝KING〟と書かれた棒を皆に見えるように見せつけた。


 「それじゃあ、キャンディが命令するのなの」


 キャンディが俺達をぐるりと見渡し、そして自信満々に答える。



 「 〝5番〟は王様を褒めながら頭をなでなでしろ、なの 」



 なぁーーーんで君達は毎度毎度、俺をピンポイントで当ててくるかなぁ?


 てか、絶対に読心術使ったよね? いや、頭撫でるだけなら別にいいんだけどさぁ!


 「……あっ、〝5番〟は俺です」


 色々とツッコミたいことはあったが、俺は我慢してキャンディの頭をなでなですることにした。


 「キャンディは小さいのに二番隊の隊長をやっていて偉いなぁ! あと凄く可愛いぞぉ!」


 「むふーっ」


 俺はキャンディを褒めながら頭を撫で、キャンディは満足げに目を細めた……猫みたいで可愛い。



 ――ゾクッ……。何処からか殺気を向けられていた。



 (……この殺気は――ラビか!)


 恐らくキャンディの頭をなでなでしていたことへの嫉妬の殺気であった……いや、それなら面倒臭がらず二次会参加しろよ。


 「よし、次行きましょうかー、次」


 俺はラビの殺気を無視して、王様ゲームを再開した。


 『王様だーれだ!』


 棒を引き終え、お決まりの掛け声を皆で斉唱する。


 「僕でぇーす!」


 ……次の王様はロキであった。


 (……良かった、コイツには超直感も読心術も無かった筈だ)


 これなら流石に俺が当てられることはそう無いであろう。


 「ほな、〝8番〟と〝2番〟でパッキーゲームしてください」


 俺は自分の番号を確認する。



   8   番   。



 まっ、結局当たっちゃうんだけどね!


 (まあ、こればかりは運だから仕方ないな。大事なのは相手だが――……)


 「 私が〝2番〟だ 」


 ……その声は俺の隣から聞こえた。


 「……………………えっ?」


 俺は恐る恐る声のする方を見上げる。



 ……そこには、国王陛下――サーベル=ペルセウスがいた。



 (……おっ)



 王様じゃねェかーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!



 ……俺は心中で盛大に叫んだ。


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