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 第213話 『 made in Ore 』



 「……クリスはペルシャに何をプレゼントするんだ?」


 ……ペルシャ誕生日パーティー前日、俺はクリスからアドバイスを貰うことにした。


 「ぬっ、私のプレゼントか?」


 ちなみに、クリスは修練場で座禅を組んでおり、俺もその隣で座禅を組んでいた……そして、その隣にはレイドとかいう優男が座禅を組んでいた。


 「うむ、私はこのダイヤの指輪にプレゼントするつもりだぞ!」


 「ダイヤの指輪ァ!?」


 クリスは自信満々にケースを開いてダイヤの指輪を見せつける……ケースを持つその薬指には同じダイヤの指輪がはめられていた。


 「――ッッッッッッ!!?」


 重力ッ!?


 超重力ッッッッッッ!!?


 (――重ッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ……!!!)


 「……どうしたんだ? 急に塞ぎ混んで」


 ……俺は降りかかる重力に耐えきれず塞ぎ混んだ。


 この女、正気か? 誕生日プレゼントに結婚指輪って、超重力で俺を殺す気かよ!

 おい、そこのレイドとかいう優男! お前、騎士団の副団長なんだろ! 団長様の暴走を止めるのはお前の仕事だろ!


 「素晴らしいセンスです、団長♪」


 お前、もう副団長なんてやめちまえ。


 「……ふふっ、これで団長がドン引かれて、傷心している所に僕が慰めて好感度を上げる作戦……完璧だ♪」


 そう小声で呟くレイド……良かった、まともなクズだったか。


 「レイドは何をプレゼントするんだ?」


 クリスは参考にならなそうなので、レイドの方へ話を振ってみた。


 「僕は別にプレゼントなんて渡しませんよ」


 「……えっ?」


 「いや、騎士団の一団員と一国のお姫様……接点もありませんしね」


 ……なるほど、確かに立場を弁えるとうう意味ではその判断も間違いではなかった。


 「でも、貴方は渡した方がいいと思いますよ……親しいんですよね、ペルシャ嬢と」

 「……まあな」


 これだけ交友があって、プレゼントの一つも無いなんて寂しい話であった。


 「……それに貴方とペルシャ嬢がくっつけば団長はフリーになりますし(ぼそっ」


 ……お前は本当に抜け目ねェな。


 「ありがとな! 二人とも!」


 俺は立ち上がり、感謝の言葉を伝えた。


 「何の参考にもならなかったから自分で考えるよ!」


 そして、俺は修練場を後にする。


 「……一言多くないか?」


 ……後ろからそんな声が聞こえたがスルーした。


 ……………………。

 …………。

 ……。


 「……さてと、一通り情報収集は終わったが」


 ……修練場を後にした俺はトイレで一人思案に耽る。

 そう、俺は昨日から〝王下十二臣〟からプレゼントのアイディアを募っていたのだ。

 その結果が以下の通りである。


オルフェウス :無し


 セ シ ル :不在


フ ァ ル ス :無し


クロウディア :誰だ、コイツ?


 バ ロ ウ :誰だ、コイツ?


キ ャ ン デ ィ :お気に入りの人形


 ロ  キ  :エロい下着


 ラ  ビ  :無し


ソ フ ィ ア :聖書


 ク リ ス :ダイヤの指輪


 レ イ ド :無し


 ……といった感じであった。


 (……何だかんだ、渡さない奴も多いんだよなぁ)


 ペルシャがいくら親しみやすい奴とはいえ、相手は一国の姫で俺達は一使用人、プレゼントを渡さなければならない道理はなかった。

 でも――……。



 ――甲平くん!



 (……やっぱり俺は渡したいんだよなぁ)


 渡したらきっと喜ぶだろうし、渡さなかったらきっとガッカリする筈であった。


 「よし! やっぱり俺らしい物を渡そう!」


 俺はトイレの水を流し、自分の部屋へ向かって駆け出した。


 (……俺らしい物……俺にしか渡せない物)


 思い当たる節はあった。後は明日の誕生日パーティーに間に合わせるだけであった。


 方向性は決まった。

 後は時間との勝負だ。


 (……ペルシャの奴、喜んでくれるかな)



 ……そして、遂にペルシャの誕生日パーティーの日が訪れた。


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