第20話 『 内通者は誰だ? 』
「待たせたな」
……スライムを撃破した俺は影武者・アリシアと合流した。
「刺客の撃滅、お疲れ様です」
「何度見ても、ラビさんの足技は神がかってますね♪」
「ひぇっ、顔、恐いですぅ」
……あれ?
「オイ、一人増えてんじゃねーか」
俺が戦っている間にメイドが一人増えていた。
「先程、迷子になっていたようでしたので拾いました」
「野良犬みたいな感覚で拾うなよ」
これでお荷物が三人……まったく、勘弁してくれよ。
俺は内心溜め息を吐いて歩きだす。一刻も早くコイツ等を誰かに押し付けたかった。
「てか、お前、二番隊のメイドじゃねェか。持ち場はどうした、持ち場は!」
「はうっ、しゅっ、しゅみませーん!」
俺が怒鳴るとメイドはビクビクしながら影武者の背に隠れた。
「弱い者いじめは感心しませんね、ラビさん」
何故か影武者がメイドを庇った。
「……ケッ、甘やかしてんじゃねーよ」
「もう大丈夫ですよー、恐くないですよー」
「……」
……ガン無視かいな。
「あっ、ありがとうございます。えっと、その」
「私は火賀愛紀です。ペルシャさんの影武者をさせて戴いてます」
俺の後ろで何か打ち解け合っていた。正直、鬱陶しい。
「わっ、私はトール=クオリアです。二番隊に所属しています」
「トールさんですね、これから一緒に頑張りましょう♪」
「はっ、はい! ありがとうございます!」
……何か仲良くなっていた。
(……さて、コイツ等の馴れ合い置いといてどこへ向かおうか)
取り敢えず隊長のとこに合流して、まとめて押し付けてしまおうかな。
そうすれば、かねてより俺はフリーとなり、好きに暴れることができた。
(隊長はたしか、ペルシャ嬢の護衛をしていたっけな)
……ならば向かうはペルシャ嬢の部屋であった。
「オラ、ちんたらしてないでさっさと歩け
――巨大なウツボカズラが頭上から降ってきた。
「――ッ!? 昇撃ッ!」
唐突な不意打ち。しかし、俺はカウンターで落下するウツボカズラを蹴り上げた。
『ギキャァッ……!』
――ボンッッッッッ……! ウツボカズラが堪らず弾け飛ぶ。
「――ぐっ! しまった!」
同時。ウツボカズラから大量の溶解液が降り注ぐ。
俺は目に入らないよう腕で傘をつくり、一瞬だけ目を瞑ってしまった。
……そこが隙になった。
――ドッッッッッ……! 床から鋭利な竹が飛び出し、俺の横腹を貫いた。
「――がっ!」
激痛が走る。しかし、そこでやっと思考が追い付いた。
「……何しやがんだっ」
俺は腹に横腹に刺さった竹をへし折り、飛び出した。
「 アリシアッッッッッッッ……! 」
俺はそのままアリシア目掛けて上段蹴りを
――重ッッッッッッッッッッッッ……! 超重力が俺を押し潰した。
(……何だ! この重さはっ!)
「 オジギソウ 」
アリシアが質問に答えるように呟く。
「強力な引力を生み出し、近寄る者は頭を垂れるように膝を付く――故に、オジギソウ♪」
……俺の足下には大量のオジギソウが生えていた。
「 モウセンゴケ 」
――ネチャッ……。膝を付く俺の背に何かがくっついた。
「……何だこれは?」
……それは巨大で長い、無数の赤い触手のようなものが伸びた、粘着質な草であった。
(――取れねェ!)
赤い触手のようなものが絡みつき、そして、粘着質な体液によって剥がすこともできなかった。
「 クラッチ 」
――ブンッッッ……! モウセンゴケはしなり、俺諸とも空を切る。
「離しやが
「 インパクト 」
――ゴッッッッッッッッッッッッッッッッッ……! 凄まじい勢いで、俺は壁に叩きつけられた。
「――がッ」
壁は堪らず瓦解する。
瓦礫が俺を押し潰す。
「――」
……そこで俺の意識は途切れた。




