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 第194話 『 キャット&マウス 』



 「それではこれより第4ゲーム――『キャット&マウス』を開始します」


 ……ナタージャが一同の前でゲームの説明をするのも見慣れた光景になりつつあった。

 とはいえ、今日に関しては大広間の人口密度は低く、当初の人数の三割程度しか残っていなかった。


 (……ここまで勝ち残ってきたんだな)


 俺は周囲を見渡し、感慨深い気持ちになった。


 「まず各チーム一名、この白いハチマキを頭に巻いていただきます」


 ナタージャが白いハチマキを掲げる。


 「このハチマキを巻いた方が〝マウス〟となり、ハチマキを巻いていない方が〝キャット〟となります」


 ……つまり、各チーム一名ずつ〝マウス〟と〝キャット〟を決めることからゲームは始まるようであった。 


 「〝キャット〟となった方は〝マウス〟のハチマキを奪ってください。ハチマキは一つにつき20000ptとなります。そして、ハチマキを奪われたチームは第4ゲーム終了まで退場させていただきます」


 〝キャット〟は〝マウス〟からハチマキを奪い、ハチマキを奪われたチームはゲームオーバー。


 「最終的に総 点数ポイントの高い二名が決勝戦への参加資格を手にします」


 勝負はこのゲーム終了時により多くの点数ポイントを有しているのかに掛かっているようであった。


 「続いて禁則事項の説明をさせていただきます」


 ナタージャが人差し指を立てる。


 「一つ、屋外での行動禁止……ゲームはあくまでこの建物内に限定されます」


 その次に中指を立てる。


 「一つ、屋敷内の器物破損の禁止……家具や施設を破損してしまったチームはその時点で退場となります」


 続いて薬指を立てる。


 「一つ、一度〝キャット〟が奪ったハチマキを他チームは奪うことは出来ません……あくまで自力で獲ったハチマキに限らせていただきます」


 薬指の次に小指を立てる。


 「部屋の鍵の施錠・化粧室や浴室といった性別が制限される施設への潜伏も禁止させていただきます」


 最後に親指を立てる。


 「一つ、能力の使用は〝可〟とさせていただきます」


 ……以上が第4ゲーム『キャット&マウス』の内容であった。


 (……フィールドはこの建物内の全部、屋外へ出たり物を壊したりしたら一発アウトか)


 説明を聞き終えた俺はすぐに作戦を考える。


 (鉢巻ポイントを獲りつつ、鉢巻ポイントを守ればいい、ってことか)


 もしくは、他チームの退場狙いも有りと見た。


 「――甲くん」


 隣にいるセシルさんが俺に耳打ちをする。


 「……どうかしましたか?」

 「はい、私に考えがあるのですが」


 セシルさんの頭の中には既にあるようであった。



 「 私に〝マウス〟の役を任せていただけませんか? 」



 ――このゲームの攻略法が……。


 「……質問もないようですので、今より30分後にゲームを開始させていただきます。皆様はハチマキを受け取り、各人好きな場所に配置されてください」


 ナタージャがルール説明を終え、各チームは大広間を後にした。


 「行きましょうか、甲くん」


 セシルさんはハチマキを巻いて気合いを入れる。


 「はいっ、絶対に勝ちましょう……!」


 俺も拳を掌に打ち付け気合いを入れる。


 ……そして、第4ゲーム――決勝へ進む為の最後の戦いが始まった。


 ……………………。

 …………。

 ……。


 ――第4ゲーム開始から一分後。


 アスモデウス邸には……。 


 五階に一人。

 四階に二人。

 三階に二人。

 二階に一人。

 一階に一人。



 ……五人の俺と二人のセシルさんがいた。


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