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  第1話  『 可愛いメイドさんのパンツは時々紐パン 』



 ……前回までのあらすじ。


 戦国時代から異国の女湯へ転移した俺と姫は、ペルシャと名乗る王女と出会った。


 ……あらすじ、終わり。


 「さて、どうしたものか」


 俺はペルシャの裸体を眺めながら思案に耽る。


 「見すぎですよ、甲平」

 「ギャーッ! 目がァ!」


 姫が乙女の純心を守るべく俺の目を隠そうと手で覆った……と思ったが間違って指が目に入っていた。とても痛い。


 「あのー」


 ペルシャが恐る恐るという感じに話し掛けてきた。


 「わたしも二人の名前を訊いてもいいかな?」


 そういえば俺達の方が名乗っていなかったな。


 「私は火賀家長女、名前は火賀愛紀姫です」


 「千の術を極めし、火の國を護りし、百年に一人の天才忍者――伊墨甲平だ」


 「盛りすぎて逆にダサい!」

 「!?」


 俺はダサいと言われたショックで泣いた。


 「意外に打たれ弱いっ!?」


 「……さそり座なので」


 「どゆことっ!?」


 ……無論、答えは無い。ノリで言っただけの言葉に意味などある筈がなかった。


 「取り敢えず二人の名前は覚えたかな……えっと、ここから大事な話なんだけど、いいかな?」


 ペルシャが深刻な顔で切り出す。


 「……どうしたんだ?」


 俺も続く言葉を言及する。


 「おっ、お風呂から上がってもいいですか?」


 「いや、それは駄目「どうぞ」


 ……俺の言葉を遮って、姫が頷いた。


 「いや、それは駄「早く更衣室へ!」


 俺がペルシャを引き留めようとするも姫に邪魔される。


 「いや、それは「早く行ってください! 私が引き留めている内に! 孕まされますよ!」


 「孕まされるの!?」


 ……酷い言われようである。


 「酷いなぁ、俺がそんなことする筈ないだろ」


 「……甲平くん…………って、股間が凄いことになってるっ!?」


 俺の股間は既に何か凄いことになっていた。


 「ほら、行きますよ、甲平っ」


 (……もう少し見たかったな、裸)


 俺は姫から浴室を押し出され、外でペルシャが着替え終わるのを待つことになった。


 「お待たせー」


 ペルシャが着替え終わり、三人並んで廊下を歩いて、話の続きを


 「びちゃびちゃ! 凄いびちゃびちゃ!」


 ……水浸しの忍者装束と着物で廊下を歩く俺と姫が気になって仕方がないようである。


 「仕方ない、着替えもないしな」

 「くしゅんっ」


 案の定、姫は身体を冷やしたのかくしゃみをする。

 ここの土地の気温は暖かいとはいえ、水浸しの服では風邪をひく恐れがあった。


 「困ったな」


 俺は取り敢えずふんどし一丁になった。


 「何で脱いだの!」


 「……?」


 俺は首を傾げて、びちゃびちゃの上着を姫に羽織らせた。


 「ほら、これで温かいだろう」

 「意味ない! 凄い意味ない!」

 「うむ」


 俺は羽織らせた上着を姫から脱がせ、


 「この役立たずがーッ!」


 ――ビチャァッ……! 床に上着を叩きつけた。


 「八つ当たりだーーーッ!」


 そんな感じに廊下で騒いでいると、流石に目立ち過ぎたのか使用人等がこちらを見てコソコソ話をしていた。


 「失礼だな、人のこと見ながらコソコソ話なんて」

 「……そりゃ、半裸だし、びちゃびちゃだし皆気になるよ」

 「すみません、ペルシャさん」


 憤る俺と突っ込むペルシャと恥ずかしそうに俯く姫と、三者三様の反応を示した。


 「ジロジロ見やがって……よし、目でも潰すか」

 「潰すな!」


 そんな無駄話をしていると使用人の中から一人の女性が前に出てきた。


 「お嬢様、そちらのお二方はどちら様でしょうか?」


 女性は明るい茶髪を後ろに纏め、頭には白い生地の髪飾りに、同じく白を基調とヒラヒラした服を着ていた……後で聞いたがメイド服という名の服らしい。


 「こっちの半裸の男の子が甲平くんで、東洋の着物の女の子が愛紀ちゃんだよ」


 ペルシャが簡単に説明してくれたので、こちらも友好の意を示すべく軽く会釈をした。


 「二人共、屋敷に迷い混んでたからわたしが屋敷を案内していたんだよ」

 「いけませんよ、お嬢様。勝手に知らない人を屋敷を歩かせては」


 ……まったくだ。


 「案内でしたら私がいたしますので、お嬢様は部屋で休まれてください」

 「えーっ! わたしも案内したいー!」


 ペルシャは子供のように駄々をこねた。


 「仕方ありませんね♡」

 「やったー! セシルさん大好き!」


 ……甘っ! 俺はペルシャの後ろで衝撃を受けた。


 「ですが、お嬢様一人では危険ですので私も一緒に同行致しましょう」

 「はーい!」


 セシルと呼ばれた女性はペルシャからこちらの方を向いた。


 「自己紹介が遅れました、この王宮でメイドを務めさせていただいております――セシル=アスモデウスと申します。以後、お見知り置きを♡」


 セシルさんはスカートの端を摘まみ、丁寧にお辞儀をした。


 ――キュンッ……! 俺の中の何かが高鳴った。


 「俺と結婚してください」

 「はい?」

 「すみません、間違えました」


 ……いかんいかん、あまりにセシルさんが魅力的過ぎてプロポーズしてしまった。


 「……(じぃー」


 しかし、よく見れば見るほどセシルさんは魅力的な女性であった。

 端正な顔立ち、品のある仕草、胸と尻は大きく、腰は細い、特に服が何故かわからないがそそられた。

 端的に言えばすんごく可愛いであった。


 「こちらこそよろしくお願いします!」

 「……鼻の下伸びてますよ、甲平」


 姫が酷く冷めた目でこちらを見ていた。


 「それでは後ろを失礼致しますね」


 そう言ってセシルさんは俺と姫の後ろの列へと移動した。



 ――その僅か一瞬であった。



 「……えっ?」

 「……あれっ?」


 ……信じられないことが起きた。


 確かにセシルさんの可愛さに油断していたこともある。


 「――あっ」


 それを加味しても有り得なかった。


 「濡れていらしたので、勝手ながらお身体を拭いて、着替えさせていただきました♡」



 ……俺と姫は身体の水分を拭き取られ、あまつさえ着替えもさせられていた。



 (……速すぎる)


 信じられない速さであった。


 (俺の記憶が間違えてなければ師匠よりも速いぞ)


 ……まさか、こんな異国の地で規格外の化け物と会うとは思ってもいなかった。


 「……凄いですね、セシルさん」


 さっきの桃色雰囲気から一転、俺はセシルさんへの警戒心を高めた。


 「大したことではございません。一流の使用人たるもの、常に一流の仕事をしなければいけませんので」


 ……どんだけだよ、一流の使用人。


 それにしても見事な技であった。


 「あっ、セシルさん」


 ――だが、


 「……? いかがなされましたか?」


 ……俺もやられたままではなかった。



 「 パンツ、落としてましたよ 」



 ……俺はセシルさんの紐パンを手の平を開いて見せた。


 そう、俺はあの一瞬でセシルさんの紐パンを奪い取ったのだ。

 しかし、紐パンで良かった。普通のパンツなら取れなかったであろう。

 ちなみに、パンツで思い出したが、姫はノーパンであ――って、痛い痛い! 耳を引っ張るな、姫!


 「……っ」


 セシルさんはバッと紺のロングスカートを押さえた。


 「~~~~~~~っ!」


 ……そして、いっきに赤面した。


 (……あれ、予想外のリアクション?)

 「あっ、ありがとうございますっ!」


 セシルさんはバッと俺の手の平から紐パンを奪取した。


 「こっち見ないでくださいねっ!」


 何というか、一瞬只者ではないとは思ったが、やっぱりセシルさんは可愛いなと考えを改めた。


 「……甲平」


 ――ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ……。姫が俺の背後いた。


 「ひっ、姫」

 「そこに座りなさい」



 ……そして、俺は姫に説教された。


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