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 第175話 『 真夜中のお茶会 』



 「……〝ナナフシ〟、〝無声大衆サイレントマジョリティー〟を頼む」


 「――了解」


 ……俺の指示に〝ナナフシ〟が二つ返事で頷き、〝奇跡スキル〟を発動した。

 〝奇跡スキル〟の発動を確認した俺達は王都と王宮を繋ぐ入り口を歩く。

 無論、そこには警羅の者がいるが彼等は俺達に気づいていないように警備を続けていた。



 ――〝無声大衆サイレントマジョリティー〟。



 〝ナナフシ〟の〝奇跡スキル〟であり、自身と自身の周囲の人間の姿・声・体臭・気配を消す能力である。

 一度に何人もの姿を消すことが可能であるが、人数が増えれば増える程にその効果は弱まる弱点もあった。

 しかし、我々も殺しのプロである。能力無しでも気配や物音を消す技術を持っており、少しぐらい隠蔽効果が薄れても気配を消すことなど朝飯前である。


 『……』


 俺達は音も立てずに大階段を登り、遂には巨大な鉄門までたどり着いた。


 門の前には二人の門番が武器を手に立ち、鉄門も完全に閉まっていた。


 (……穏便に済ませられるのはここまでのようだな)


 俺はナイフを手に二人の門番へと歩み寄る。


 「 こんばんわ 」



 ――ナイフが空を切る。



 「――そして、おやすみ」



 「……えっ?」

 「……なっ?」


 門番二人が戸惑いの声を漏らした次の瞬間――……。



 ――鮮血。切断された頸動脈から噴水のように勢いよく血が飛び出した。



 門番二人は抵抗することなく地面にひれ伏し、静かに絶命する。


 「……〝蟒蛇うわばみ〟、頼む」


 「ういっす」


 俺の指示に〝蟒蛇うわばみ〟は二つ返事で頷き、頑強な鉄の門に触れた。


 次の瞬間――……。



 ――溶解。鉄門は溶け、巨大な穴を開けた。



 ……これが彼の〝奇跡スキル〟――〝蝕王バジリスク〟。

 〝蟒蛇うわばみ〟は毒の専門家スペシャリストである。


 「ここから先は警戒心を高めて行くぞ」


 『――了解』


 俺達を巨大な穴を潜り王宮へ侵入する。

 門を越え、薔薇園の通路を抜け、開けた場所へと出る。


 『……』


 そこで俺達は足を止めた。


 そこには噴水があり、お茶会用のテーブルと椅子が並べられていた。


 「……」



 ……そんな中、老紳士が席に着き、一人で紅茶を嗜んでいた。



 (……何故この時間に? いや、それよりもこの老紳士)


 何てことはないただの有名人であった。


 王国最強の守護神。


 現役にして最高齢の古兵ふるつわもの



 「 御会いできて光栄であります、最強の騎士――センドリック=オルフェウス 」



 ……どうやら、今晩は厄日のようであった。


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