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 閑話休題  『 歌え! CO☆HEY!! 』



 ――前回までのあらすじ。



 合コンに参加することになった、甲平・ロキ・ラビ・ファルスの四人!


 そこに合流したのは、第一王子――レオン=ペルセウスと第一王女――ペルシャ=ペルセウス!


 忍者!


 似非関西人!


 ロリコン!


 ホモ!


 王族!


 が入り交じった地獄の合コンが今始まる! 否、始まってしまう!



 「――あたしの名前はアーリャ=クシャトリア。王都にある病院でナースやってまーす! 趣味はダンスでぇーす!」


 ……アーリャが自己紹介をし、俺達はパチパチと拍手をする。


 そう、酒場に入り、エールで乾杯した俺達は一人ずつ自己紹介をしていた。

 ちなみに、アーリャで女の子側の自己紹介は終わりであり、プロフィールを簡潔にまとめると――……。


・ペルーニャ=トルーソン(ペルシャ)

 職業無し。趣味はピアノ。


・リナ=ウェンバー

 職業、酒場の料理人。趣味はスポーツ全般。


・クレナ=リーエン

 職業、両親が経営する雑貨屋の手伝い。趣味は読書。


・テッサ=メリッサ

 職業、王都の教会のシスター。趣味はショッピング。


・アーリャ=クシャトリア

 職業、ナース。趣味はダンス。


 ……といった感じである。


 「次はボク達の番だね♪」


 女子グループの自己紹介も終わり、今度は俺達の番であった。


 一番手! レオン=ペルセウス、今日だけはレオ=トルーソン!


 「ボクの名前はレオ=トルーソン、一応医者を、外科医をやっています。最近は乗馬にはまっています」


 軽薄な笑みで自己紹介をする。


 (……医者ってお前、外科医ってお前)


 ……よくもまあ、しれっと嘘を吐けるものだ。


 「次は僕の番やな」


 続く二番手! ロキ=キルシュタイン!


 「僕の名前はロキ=キルシュタインや、一応お医者さんをやっとるで。別に自慢やないけど、おとんが小さな領地を管理している伯爵や」


 コ イ ツ も か よ !


 どいつもコイツも嘘しか吐いていなかった。


 (てか、医者は被りだし、貴族も盛りすぎだろ)


 ほら見ろ、女の子達が不審がっているだろ! 安易に見栄張るから!


 「ほい、次はファルスくん」

 「ああ、僕かい?」


 三番手! ファルス=レイヴンハート!


 「僕の名前はファルス=レイヴンハート」


 「……」


 「……」


 「……」


 そして、ファルスは着席した。


 「……………………えっ」


 ……もう終わり?


 「おい、ファルス。他に言うことは無いのかよっ。女の子達、困惑してるだろっ」


 俺は小声でファルスに耳打ちする。


 「無いよ。別に彼女らに話したいことなんて無いしね」


 お前もう帰れよ。


 「キャーッ、クールで格好いいー(小声」


 「無駄に語らないのが騎士って感じー(小声」


 「それに比べてさっきの似非関西人は論外ね(小声」


 お前ら、顔が良ければなんでもいいのかよ。てか、何故かロキの方が下げられているんだが。


 「次は俺でいいか?」


 四番手! ラビ=グラスホッパー!


 「俺はラビ=グラスホッパーだ。別に趣味と言うものでもないが腕っぷしには自信がある。まあ、今日はよろしくな」


 ラビはクールに自己紹介をして着席する。


 「この人もクールで格好いいー(小声」


 「ちょっとバイオレンスな所もいいわー(小声」


 「それに比べてさっきの似非関西人は(小声」


 一見だけではロリコンとはわからないラビの第一印象は、概ね好感触であった。そして、下げられ続けるロキは既に目が死んでいた。


 「そんじゃ、最後はお前が締めてくれ」

 「ああ」


 俺は立ち上がり、女の子達と対峙する。


 五番手! 待ってました、我等が主人公! 伊墨甲平!


 (――何を隠そう、俺、伊墨甲平は今日の為に予行練習に次ぐ予行練習をしていたのだ!)


 俺に掛かれば女の子の一人や二人を落とす自己紹介など朝飯前であった。


 「歌います」


 『 !? 』


 俺はモテる男についてリサーチしており、そして、今日の為に練習してきたのだ! 歌を!


 「伊墨甲平……『愛思愛あいしあい‐matching・love』」


 ……この数日、俺はモテる男とは何たるかを追求した。


 「愛してる、最後にそう言ってくれたのは一体どれだけ前になるのだろう~♪」


 そして、俺は真理にたどり着いたのだ!


 「僕はいつだって君が一番なのに、君にとって僕は一番じゃないのかな~♪」



 ――バンドマンはモテる!



 「空回っているのかな~♪ 僕が悪いのかな~♪ 気持ちの晴れない土曜日の午後~♪」


 俺は事前に準備していたウクレレを弾き語る。


 「僕がどれだけ愛してると伝えたって、君は愛想なくそっぽを向いてしまうね~♪」


 俺の歌声とウクレレの旋律が酒場に響き渡る。


 「辛いよね? 悲しいよね? そうさ、僕は恋の道化師だよね~♪」


 『……』


 合コンメンバーどころか酒場の店員や客すらも沈黙していた。


 「ある日曜日の昼下がり、電話越しの冷めた声、僕は受話器を落としてしまった~♪」


 ポロンッポロンッ、ウクレレの音色が沈黙の酒場にこだまする。


 「そして、僕は独りぼっちになったんだー…………」


 サビに入る直前の静寂。


 「もう一度! もう一度っ! 僕は誰かを好きになれるのかな~♪」


 サビに入った直後の爆発。


 「愛を語り合い! 共に分かち合い! 恋をすることができるのだろうか~♪」


 拳を握り締め、声を震わせ熱唱する。


 「ah~♪ だから、僕は今日も愛を求めて街をさ迷うよ。そう、それが僕のmatching・love♪ 愛を探す旅なんだよ~♪」


 ――ジャンッ♪ 俺はウクレレで最後を締め、机に置き、合コンメンバーと改めて対峙する。


 「最後まで聴いてくれてありがとなっ! 皆、愛してるぜっ! ベイビーッ!」


 『……』


 ……一瞬の静寂。



 ――ワッッッッッッ……! スタンディングオベレーション、酒場中の人間が立ち上がり、拍手と歓声を巻き起こした。



 「良い歌だったぞっ、坊主ーっ!」


 「キャーッ、CO☆HEY! 抱いてーーーッ!」


 「フォーエバー、CO☆HEY! CO☆HEY万歳ッ! CO☆HEY万歳ッ!」


 CO☆HEY! CO☆HEY


 CO☆HEY! 万歳!


 CO☆HEY! LOVE! CO☆HEY!


 この大歓声が、


 この大歓声が、世界に名を轟かせるアーティスト――CO☆HEY誕生の瞬間であった。


 後日、CO☆HEYの名は口コミでペルセウス王国中に広まり、歌手デビューを果たすことになる。

 しかし、それらも後の偉業の踏み台に過ぎないことを甲平すらも知る由もなかった。



 「 知るかぁぁぁぁぁぁぁぁッ! いつまで続いとんねん、この茶番ンンッ! 」



 ……脱線し過ぎて大惨事になっていた所をロキの一喝により引き戻される。


 「だが、掴みは良かったな」


 「良い訳あるかいっ! 初めて見たで、自己紹介で歌い出すアホゥッ!」


 「ふっ……そうでもないぜ」


 ……そう微笑する俺の前には女の子達が列をつくっていた。


 「ファンになりました!」


 「サインください!」


 「アンコールいいですか!」


 「無名アマチュアの頃からのファンです!」


 「オーケー、全員分書くから慌てないでね」


 俺は、サイン色紙を手に列をつくる女の子達にサインをプレゼントした。


 「狂っとる! この世界は狂っとるでっ!」


 嫉妬で涙を流すロキ。



 ……そんな訳で俺は圧倒的なスタートダッシュで、自己紹介をぶちかましたのであった。


 ……………………。

 …………。

 ……。


 「えぇー、伊墨さんって彼女いないんですかぁ?」


 ……自己紹介の熱も冷めないままトークタイムに突入していた。


 「まあな、最近は少し忙しくてね」

 「勿体なーい! 伊墨さん、格好いいのにぃー!」


 自己紹介で爆速スタートダッシュを決めた俺はモテていた。


 「じゃあ、あたしが立候補しちゃおっかなー」

 「あっ、ずるーい! 甲平さん、わたしも今フリーでーす!」


 「……」


 ――モテ期。


 ……人生に一度は訪れるとされるそれが、今俺の下へ舞い降りていた。


 (……いいのかな! 俺、幸せになってもいいのかな!)


 俺は心中で感涙のガッツポーズを決める。


 「……ファルスくん」


 「……ペルーニャ嬢」


 ……そんな現状に納得していない人物が約二名。


 「……レオン様」


 「……キルシュタイン卿」


 ……否、もう二名。



 「「「「 よし、潰すか。この合コン 」」」」



 今、四人の心が一つになった!


 「はーい! ちゅうも~~~く!」


 ペルシャ……いや、ペルーニャが挙手し、皆の視線が集まる。



 「 皆で王様ゲームしようよ! 王様ゲーム! 」



 ペルーニャがそう宣言する。


 「――っ!?」


 「王様ゲームっ!?」


 「王様ゲームですってっ!?」


 「王様ゲームって、あの伝説の王様ゲームゥ!?」


 ……そもそも王様ゲームって何だよ。


 「良いじゃねェか! やってやろうじゃねェかよ、王様ゲーム!」


 まっ、楽しそうだからやってみよ!


 「そんじゃあ、やろうぜ! 全力の王様ゲームって奴をなァ!」


 「王様ゲーム! 楽しい楽しい! 王様ゲーム!」


 「LaLaLa~♪ 王様ゲーム~♪ ah~♪ それは素晴らしき遊戯~♪」


 「それじゃあ、皆で声を合わせて――……」



 『 レッツ・エンジョイッ! 王様ゲームッッッ! 』



 何だかよくわからないが、王様ゲームなるものが始まろうとしていた。


 「……いや、ちょっと待てよ」



 俺 は ま だ 知 ら な か っ た 。



 「……ラビ?」


 既に戦いは始まっていたことに……。


 「……お前、いつの間にか寝てたんだ?」


 合コンは甘い世界ではないことに……。


 「ZZzzzzzzz……」


 涎を垂らして爆睡するラビ。


 戦慄する俺。



 ……そして、混沌と狂気の王様ゲームが始まるのであった。





  次   回   予   告




 最初の犠牲者はラビだった!


 自己紹介を乗り切った俺達の前に立ちはだかるのは神々の遊戯――王様ゲーム!


 俺を狙うチーム.レイヴンキャット!


 俺を潰そうと画策するチーム.チャラ男!


 そして、暫定王者――伊墨甲平!


 愛憎と裏切り、二つの狂気が交差するとき本物の王様ゲームが今始まる!


 次回! 【忍者になりたい!異世界に行きたい!女の子にモテたい!そんな皆様へ贈る!】 廻る世界のアサシン・レコード←タイトル|あらすじ→城が燃え、亡命中に井戸の中に落ちたらそこは異世界の女湯であった。ウンコを煮詰めたような性格のクソ忍者は貧乳真面目な姫と池沼天才王女とレズ女騎士と淫乱淫魔メイドさんとホモ執事と楽しい王宮ライフを満喫する。しかし、少年はまだ知らない、自分が既に世界を揺るがす戦いに巻き込まれていたことに……的な話。



 『 デッドorコンパニー 』



 さあ、次回もレッツ・コンパニースタンバイ!


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[一言] なんか以前より勢いがパワーアップして戻ってきとる!
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