閑話休題 『 人気投票は格差社会の縮図 』
「 人気投票やろう! 」
……温かな陽光が射し込む昼下がり。
……優美な薔薇園を眺めながらの優雅なティータイム。
「折角、皆も仲良くなってきたし、人気投票とかやりたくない?」
……ペルシャが今日もとち狂ったことを言い出した。
「……人気投票というと?」
俺は聞き覚えのない単語に眉根を寄せた。
「えっとね、匿名で一人一人だけ好きな人の名前を書いて、合計票数を競い合うんだよ」
「へえー」
つまり人気者決定戦みたいなものか。
「それで誰が投票して、誰に投票されるんだ?」
「読者の皆様が投票して、わたし達に投票されるんだよ」
「……ふーん」
――それ一票も入らねェ奴じゃねェかァーーーーーーーーーッ!
……誰が好き好んで無名のWeb小説の人気投票に参加すると言うのであろうか? いや、いないであろう、そんな物好き!
やめた方がいい! それは絶対に誰も幸せにならないからやめた方がいい!
となると、どうやってペルシャを説得すべきかだな。
「あー、ペルシャさん。人気投票はやめた方がいいと思うのですがー」
やはり素直に「こんな投票は無意味だ」「というか危険だ」と止めるべきであろう。
「何で? 楽しそうじゃん!」
楽しいかボケーーーッ! 一票も入らない人気投票が楽しい訳あるかーーーーーッ!
「そもそも何で人気投票やろうなんて言い出したんだよ」
「……えっと、それはー(///」
ほわん、ほわん、ほわーん。
ペルシャ「やったーっ! わたしが一番だーーーっ!」
クリス「やっぱり、ペルシャ様がナンバーワンだ!」
響き渡る拍手の嵐。
セシル「お嬢様が世界一、いえ宇宙一です!」
誰もがペルシャを褒め称える。
甲平「美しい! 好きだ! 結婚してくれ!」
ラビ「馬鹿野郎、ペルシャ嬢は俺のものだ!」
ロキ「いや、あかん! ペルシャ様に相応しいのは僕や!」
群がる男達。
ペルシャ「皆、わたしの為に争うのはやめてーーーっ!」
ほわん、ほわん、ほわーん。
「……そっ、それは秘密かな(///」
絶対、ロクでもないこと考えてるーーーーーーーーーーーッ!
ペルシャの頭の中は見えないが、直感的に俺は悟った。
(……どうしてもやりたいって言うのか、ペルシャよ)
もう、ペルシャの頭の中には人気投票で一番になっている自分の姿しか映っていなかった。
「――でしたら、身内同士で人気投票してみてはいかがでしょうか?」
……そんな提案をしたのは、後ろで話を聞いていたセシルさんであった。
「……身内同士での人気投票ですか?」
「はい♡」
首を傾げる俺にセシルさんが説明してくれる。
「先程お嬢様が決めたルールを王宮にいる皆様ですればいいと思います♡」
「……なるほど」
――それ絶対ギスギスする奴じゃねェかァーーーーーーーーーッ!
正気か、このエロメイド!
何で自ら人間関係を壊すようなマネするんだよ!
「……もういいと思います、それで」
……俺は何か色々と面倒臭くなったので、諦めて人気投票を開始することになった。
続 く !