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 第111話 『 最後の一撃 』



 「 〝縮地〟 」


 ――俺は一瞬でゼロの目の前まで移動する。


 「 〝座標転位ホープディスタンス〟 」


 ――しかし、ゼロが俺の背後をとる。


 「 〝閃滅〟 」


 放たれる光線。


 「――当たらねェよっ」


 身体を捻ってかわす俺。


   同    時    。


 ――俺はゼロの手首を掴む。


 「これで逃がさねェ!」


 「――っ! 離し」



 ――ゴッッッッッッッッッッ……! ゼロが地面に腕を打ち付け、俺を地面に叩きつける。



 「やがれッッッ……!」


 「離さねェよ」


 ……俺は地面に叩きつけられてなお、ゼロの手首を離さなかった。


 「今度はこっちの番だっ!」


 「――っ」



 ――ゴッッッッッッッッッッ……! 今度は俺がゼロを地面に叩きつけた。



 「まだまだァッ!」


 俺はすぐにゼロに乗り上げ、奴の首に手を当てる。


 「 潰      ロ

      れ      ォ! 」



 ――俺は地面が弾ける程の力でゼロを地面に押し付けた。



 「離しやがれっ!」


 「離さねェっ!」


 俺はゼロに殴られながらも、肉体を硬化して奴の首を絞め続けた。


 (……奴の反応から無敵時間には限界がある筈だ)


 そうでなければ、攻撃に対してここまで過敏に反応する筈がなかった。


 (俺が出来ることは、ただひたすらに奴を殺し続けることだけだ)


 ――ゼロが限界を迎えるそのときまで……。


 (もってくれよ! 俺の身体ァ……!)


 我慢比べなら自信はあった。


 「離しやがれェ! クソ野郎がァッ!」

 「離すかよッ!」


 ゼロの首を絞め続ける俺と自由な腕で俺を殴り続けるゼロ。


 (耐えろ! 伊墨甲平! 耐え



 ――俺とゼロの真上に燃え盛る巨大な岩石があった。



 「――」


 「離せってんだろォがッッッ……!」



  イン  フェ  の    



 ――着弾。燃え盛る巨大な岩石が地上にあるものを全て吹き飛ばした。



 燃え盛る大地。


 地面を抉る程の衝撃は生物の命を刈り取った。



 ……二名を除いて。



 俺は〝炎神インフェ鉄槌ルノ〟を食らってなお、ゼロから離れなかった。

 灼熱によって熔けた背中もすぐに再生する。


 「……離せっ」


 「離さないっ!」


 「離せェッ!」


 「離さないっ!」


 ゼロの声色から焦りの色が見えた。


 (あと少しだ! あと少しで勝てる!)


 俺は更にゼロの首を絞める力を強める。


 「離せェェェェェェェェェェェェェェッッッ……!」



     バー     スト



 ――轟ッッッッッッッッッ……! 爆発が地面に放たれ、爆風で俺達の身体は打ち上げれた。


 「――っ」


 「今度はこっちの番だァッ!」


 身体が浮いた隙にゼロが俺に乗り上げた。


 (――まずい! マウント取られ



  イン    パル    



 ――俺は見えない力に押し潰され地面に叩きつけられた。


 「――がっ!」


 「ひはっ! まだまだァッ!」


 今度は遥か上空に引っ張られ、続いて横へ引っ張られる。


 ――建物に叩きつけられ、そのまま瓦解させる。


 「……ぐっ」


 しかし、見えない力はまだ俺を開放しない。

 再び俺の身体は上空へ浮き上がる。


 「 〝圧殺クラッシュ〟 」


 「――っ」



 ――無数の建物が空中にいる俺を集まり、押し潰し、巨大な団子のように圧縮された。



 光の遮られた真っ暗な世界。


 やっと鬱陶しい念動力の呪縛から開放される。


 「 連刀必殺 」



     紅     桜



 ――斬ッッッッッッッッッッッッ……! 俺は密集する建物群を細切れに斬り刻み、脱出する。



 「しぶと過ぎんだよ! いい加減に死にやがれッ! クソ野郎ッ!」


 「俺の台詞だ! クソったれっ!」


 再び見えない力が俺を捕らえようとするが、俺は〝縮地〟で回避する。



     刹     那



 ――斬ッッッッッッッッッ……! ゼロに神速の斬撃が打ち込まれる。


 「効かねェなァッ!」


 ……しかし、ゼロには効かない。


 「まだまだァッ!」



     紅     桜



 ――高速連斬がゼロに打ち込まれる。


 「だから、効かねェつってんだろうがッ!」


 ゼロは俺の攻撃を無視して、俺の顔面を鷲掴みする。


 「ひゃはっ! 脳みそ、ぶっ潰してやるよォ!」

 「――っ」


 それはまずい! 流石の俺も死ぬぞ!


     クラッ     シュ


 ゼロの掌に力が入る。


 俺は悪足掻きでゼロの横面に拳を打ち付ける。




 ――ゼロが吹っ飛んだ。




 「――かはっ」


 ゼロは吐血し、地面を転がった。


 「……なっ!」


 ……初めて。


 ……この戦い初めてゼロがダメージを負った。


 (……限界が来たのか? 奴の絶対防御に?)


 ――勝機。


 「うおおォォォォォォォォォォッッッ……!」


 ……この勝機は絶対に手離さない!


 俺は怯むゼロを殴る。


 殴る。


 殴る。


 殴りまくった。


 「――かはッッッ……!」


 ゼロが堪らず吐血し、膝をつく。


 「 一刀必殺 」


 俺は〝鬼紅一文字〟を手に、留目の一撃を放



   イン    パル    



 ――衝撃波が〝鬼紅一文字〟を弾き飛ばした。


 「させねェよ」

 「――っ」


 ――執念。とてつもない執念であった。


 「これで終わりだっ……!」


 ゼロが拳を構える。


 (――これはやべェ)


 ……ゼロの右腕に今までの比にならない程に禍々しい妖気が渦を巻いていた。


 あれを直撃すれば骨も残らないだろう。

 逃げる? いや、俺の足首には蔓が巻き付いてそれを許さなかった。


 (コイツ、最初からこの一撃に賭けてやがった)


 ……逃げ場はない。


 ……最早、道は一つしか残されてはいなかった。


 「上等だァッッッ……!」



 ――俺は真っ正面から殴り掛かった。



 「ゼロォォォォォォォォォォォォォォォォッッッ……!」


 「くたばれェェェェェェェェェェェェェェェェッッッ……!」



 俺の拳が振り抜かれる。


 ゼロの拳が振り抜かれる。



 ――衝突。両雄、最後の一撃が衝突した。


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