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始まりの物語  作者: ユウキ
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 アマネが寄りたかった場所は森にある三つの山脈の一つだった。世界で一番広いこの森は広大で端から端まで歩くと七日は掛かってしまう。森の面積が大きいのも一週間あるく理由の一つだがそれよりも森をまたがる山脈の影響が大きい。


 植物が自由に伸び、道なき道を進む森の中より大きな石が積み重なる山を越える方が過酷だ。三つの山脈は標高が高く、山の麓には危険な動物や毒を持つ植物が生息しているため人が近づくことが無い。そのため人があるけるような道が整備されていない。男の部屋がある場所も人気のない場所だが、ここはそれ以上に目立たなく人里に行くのも時間がかかる。


 アマネと男が歩いている場所は人の手が加えられていない森。自然そのものだ。樹の根下に青色の花が咲いていて、そこらじゅうに白黒の斑点があるキノコが生えている。蔦や枝、葉っぱが行くてを妨げる。


 道なき道を三日歩いている男はアマネの後を追いながらこの先に何があるのか考えていた。


 洞窟や珍しい植物が生えているぐらいしか想像できなかったから、一際大きい葉の向こうに小さな家を見つけた時は驚いた。


「あの家が私の寄りたかった場所。手作り感が凄いでしょ」


 アマネが言う通り職人が作っていないことはすぐに分かる。家を構成する木は森の中から取ってきた物だろう接続部分以外は加工されていない。屋根は草木で覆われており、ドアはない。そのため家の中がまるわかりだ。


「家の中に人がいるが仲間か?」


「サリちゃんだね。私と一緒で普通の身体じゃないよ」


「お前と同じ人がいたのか」


「正確には同じではないよ。私は八枚の翼があるけどサリちゃんは耳が尖っていて長いの。あと体が凄く大きいトージュ君と身体がとっても小さいミナちゃんがいるよ。見た感じいないからあとで紹介するね。少しここで待ってて」


 男が頷くとアマネは手作りの家に走って行った。暇になったので辺りを観察することにした。家の隣には広めの畑があり野菜が育てられている。アマネが言っていた畑で間違いないだろう。


 畑を囲むように広がる山脈には大きめの穴が空いている。洞窟の入り口にしては大きすぎる気がする。アマネが言った身体の大きな人がいるのだろうか。


 見た限り全てが手荒だ。


 手先が器用な人がいないのだろうか?


 アマネの仲間について心配していると視線が向けられたのに気が付いた。ここからでもわかるほど長い耳をもつサリが何度も向けられたことのある畏怖の視線を向ける。姿を見られるが怖いのだろう。


「おじさん来て」


 アマネが男を呼ぶのが聞こえたので家に向かって歩く。


「耳が長いサリちゃん。しっかり者だけどおっちょこちょいなんだ」


「サリです」


「お前は何故俺にこいつを紹介するんだ?」


「おじさん私の姿を見ても拒絶しなかったし、信用できるなって思ったから秘密を隠すのを止めようと思ったの。これからお世話になるわけだし」


「仕事が始まったらこんな場所に戻ってくることは無いぞ」


「だと思ったから来たの。私の大切な家族だから暫く帰れなくなる前に会いたいなって思ったの」


「お前馬鹿か?ここに戻ってこないのにどうやって金を渡すんだ?」


 アマネの口がポカっと開いた。言われてから気が付いたのだろう。アマネは馬鹿だったらしい。


「どうしよう。なんか方法ないの」


「ある」


 男が持つ能力の一つを使えば遠距離から物を渡すことができる。アマネは敵ではない。能力の一つを使ってもいいだろう。


「問題解決。トージュとミナが帰ってくるまで家の中で話そうよ。私おじさんのこと知りたい」





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