表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/191

07話 村の生活2

PVが1000を突破しました!

読んでいただいた皆様、ありがとうございます!


今までのあらすじ

村人から尊敬されるようになりました

魔物退治をした冬から季節は代わり、春になった。


あれ以降大きな事件はなかったが、色々と変わったことがある。


まず俺の地位向上。

村長とアルカが不動の村TOP2だが、今や俺がそれに次ぐ実力者と目されているのだ。

居候が先生になり、さらにはNo3とか出世しすぎだろう。

村人みんなに敬われ、期待と憧れの眼差しを向けられる。正直いたたまれない


次に仕事量の増加。

村長の懸念通り俺への期待は大きく、この村どころか近隣の村々からも「先生の知恵をお貸しください」って依頼が来るようになった。

経験がものをいう案件は村長、パワーが必要な時はアルカ、その他はカルサに力を貸してもらってなんとかこなしている。

カルサは本当に勉強を頑張っていたらしく、細かいことによく気がつき頭の回転も早い。

こいつがいなければ俺の化けの皮はとっくに剥がれていただろう。


そして最後がカルサの態度だ。

虫と呼ばれたり邪険に扱われたりと色々あったが、今は距離を図りかねてるようだ。

ぶっきらぼうな態度とられたり、よそよそしかったり、でも時には非常に親身になってくれたりと会話のたびに対応が変わる。

それでも必ず助けてくれるあたり、頼りになるやつだ。


このように実際は人に助けられてばかりの俺なのに、どんどん実績が増え信頼も増している。

このままどうなるかと心配になるときもあるが、とりあえずは流れにまかせておこう。

なんとかなるさ。



「先生、今日もいい天気ですね!お元気ですか!?」


散歩中に声をかけられた。

このでかくて元気な声は間違いなくジェンガである。

最近は先生と呼ぶどころか敬語まで使い始めている。


「先生のご活躍、たっくさん耳にしてますよ

 たまには俺の力も使ってやってください!」


俺がアルカばかりに頼っているのが不満なのか、自分をアピールしてくる。


「ジェンガ、お前にはこの村を守るという大事な仕事があるだろう?

 次に魔物の襲来が来たとき、アルカが戻るまで耐えぬける村作り

 そして目指すは俺もアルカも、お前もいなくても村を守り抜ける体制作り

 それが今お前が達成すべき使命だろう」


「ありがとうございます先生!

 このジェンガ、先生のご指示を必ずや完遂いたします!」


神妙でありつつやる気に満ち溢れた顔でジェンガが返事する。

実際、村の防備強化や村人への訓練は急ピッチで進められており、ジェンガはただのパワーファイターではなく頭もまわる指導者だということはわかっているのだ。


でもこいつの俺への信頼度とか期待度とかが高すぎて、なんか頼りにくいんだよな…。

カルサなんかは俺の実力を見抜いている感じがあるので、頼るのに何の躊躇もない。

だからといってあんな少女に頼りきりなのもどうかと思うが。



みんなのがんばりを見てくださいとジェンガに訓練場へ連れて行かれた。

近隣の村からも人が集まっているらしく、けっこうな人数が訓練をしている。

木剣などを使っており、かなり本格的なものだと思う。本物を知らないが。


「「「先生、お疲れ様です!!」」」


俺の顔を見ると訓練が中断され、全員で挨拶をしてきた。


「みんなもお疲れ様。訓練が順調なようで何よりだ

 君たち一人ひとりのがんばりが村を、ひいては皆の家族を守る力となるだろう

 つらいだろうが、がんばってくれ」


とりあえずそれらしい言葉で激励すると、皆大喜びだ。

流れで休憩となったようで、村の女たちがりんごのような果実をみんなに配っている。

りんごを噛じるのはわかるが、握りつぶしてジュースみたいに飲むってどうなんだろう。



「リクさん、いらしてたんですね」


アルカがいた。今日は他に仕事がないからとここを手伝っているらしい。

俺が返事をしようとしたらジェンガが話し始めた。


「お疲れ様ですアルカさん

 どうですか?みんなの調子は

 冬の頃とは見違えたでしょう」


「そうですね!あの頃なら戦ってもおそらく一瞬で終わっていたと思います

 でも今なら少しは持ちこたえてくれそうな感じがしますよ

 ちょっと試してみたいぐらいですね」


やはりあのときは正面から戦ったら一瞬で終わっていたのか。

策というか罠が無事成功して良かった。


「アルカさんと戦えるレベルになったと言ってくれますか!

 おい、おめえら!アルカさんが褒めてくださったぞ!!」


男たちが大歓声で答える。

というか戦う相手は魔物じゃなくてアルカなのかよ。

しかもこの人数で少ししか持たせられないのかよ。

突っ込みどころがありすぎる。



ジェンガと別れてアルカと家路につく。

村人たちは俺たち二人を見ると挨拶をしてくれる。

以前は俺にはついでで挨拶をしてきたが、今は二人同時に挨拶される。

こんな小さなことでも俺の立場が変わっていることを感じさせられる。


「アルカは、この村が好き?」


なんとなく質問が口に出た。


「もちろん大好きですよ!

 ここには私の大切な人たちがたっくさんいるんです

 おばあちゃんにカルサ、もちろんリクさん

 ジェンガや自警団の皆さんに他の村の方々もみーんな、私の大事な大事な人たちです」


屈託のない笑顔で笑っている。


「行商人の方に誘われたとき、リクさん言ってくれたじゃないですか。「この村が好き」って

 あのとき私とっても嬉しかったんです

 私と偶然出会って偶然この村に来たリクさん。リクさんは好きでこの村に来たわけじゃないのに、ここに住むことで好きになってくれたわけじゃないですか

 私の大好きな村が褒められてる気持ちになって、私本当に嬉しくなったんですよ」


そこまで考えたセリフではなく、あのときは自然に口から出ていた。

気が付かないうちに俺はこの村が、この村のみんなが好きになっていたのだろう。


「まあ、俺もアルカと同じく村のみんなが好きだからね

 村長は怖く見えるけど根は優しいし、カルサはいつも助けてくれる。

 ジェンガは暑苦しいけど優秀で楽しい男だ

 他の村のみんなも俺みたいな流れ者に優しくしてくれ、今じゃ先生って慕ってくれる」


「リクさんが村を助けてくれたからですよ」


「俺一人じゃ何もできなかったさ。みんなで頑張ったからみんなが助かったんだ

 それにあのときもアルカには助けてもらったよな

 アルカには感謝してもしきれない」


「わ、私こそたまたまですよ

 リクさんが頑張ったから、私が手助けできるチャンスがあっただけです」


絶対違うと思うけど否定はやめておこう。

俺だって少しは空気を読めるのだ。


「そんなアルカが好きな村だから、俺も好きになれたのかな」


俺のくさいセリフを、アルカは満面の笑顔で受け止めてくれた。



ちょっとしたデート気分で家についた俺を待っていたのは、むさいおっさん達である。

新しい仕事が舞い込んできたのだ。


仕事したくないでござる…。

今回の話は次の話の冒頭で終わらせる内容だったのですが、意外と長くなったので分割いたしました。

次回はこの話の続き、リクが依頼をこなす話となります。


次話も読んでいただけますよう、よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ