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31話 決着・偽王

評価、ブックマークありがとうございます!喜んでおります!

また風邪をひきました…。

皆さんもお気をつけください。


今までのあらすじ

ついに偽王と対面しました

 さて大見得切ったところで現実を見よう。

 こちらの人数は16名。

 対する偽王は弓兵だけでうちの倍はいる。


 おそらく隠された兵はもっといるだろう。

 広場の警備兵も合わせると、うちより桁が1つどころか2つ多い可能性もある。

 冷静に考えると、ヤバくね?



 少し青くなる俺。

 しかし俺の不安をよそに、歓声が聞こえてくる。


「見ろ!あれはジェンガ将軍だ!」

「本当だ!ジェンガ将軍が帰ってこられた!」


「ボード様もいるぞ!」

「我が国の双剣が都に帰ってきた!」


「あれは若様じゃないか!?」

「若様じゃ!若様がワシらをお救いにいらしたのじゃ!」

「本当の王が都に帰ってこられたぞ!!」


「きゃー!ハイロ様ー!」

「ハイロ様ー!こっち向いてー!」


 すごい人気である。

 さっきまで葬式みたいな雰囲気だったのに、いきなりアイドルのコンサート会場になったよ。特に一部。


 しかし周りが盛り上がれば盛り上がるほど怒りのボルテージが上がるやつがいる。

 偽王がブチ切れた。


「貴様ら!このようなウジ虫の集まりに何を言うでおじゃる!

 者共!早くやつらを殲滅するでおじゃる!!」


 武装した兵がぞろぞろと現れる。

 数百人はいるんじゃないか?

 いくらうちの精鋭といえど、十倍の敵が突撃してきて勝てるんだろうか?


 と思ったら突然兵士たちがバタバタと倒れてく。

 そして残った兵で同士討ちが始まったぞ。

 なんだなんだ?


「眠りの魔法の成功率は半分ってとこね

 そして混乱の魔法は四分の一くらい?

 まあ、いい感じでしょ」


 カルサの仕業だった。

 たった一人で数百人をほぼ戦闘不能に。

 何このスーパーウーマン。



 この隙にボードが文官達に語りかけている。


「皆、目を覚ますときがきたのです!

 我らが仕えるべきは偽王にあらず!

 我らが成すは国家、国民のため!

 刮目せよ!我らが真に仕えるべき、偉大なる御方のお姿を!」


 これを聞いた文官たち、俺の方を見てなんか言ってる。


「あれが噂の…」

「すでに近隣諸国にも知れ渡っているという智将…」

「なんという迫力…!」

「あの方なら、もしかしたらあるいは…」


 彼らが見ている俺がどんななのか、気になるところだ。


 しかし文官がうろたえるのはいい傾向である。

 追加の兵が現れたが、文官の騒ぎを抑えるために一部の兵はそこから目が離せない。

 広場の警備兵は騒ぎ始めた国民を抑えるためにそちらへ釘付けだ。


 そしてうちの優秀な精鋭たちはすでに弓兵、そして残りの兵を無力化済だ。

 実に仕事が早い。

 あっという間に形勢逆転である。


 わざわざ観衆を集めたのがアダとなったな!




「これが年貢の納め時、ってやつだ」


 偽王へと近づいていく。


「今までたくさんの人々がお前から奪われた

 そのツケ、払ってもらうぞ!」


 脂汗を流す偽王。


「まままままマロは、マロは悪くないでおじゃる!」


 苦し紛れに何か話し始めた。


「お前に何がわかるでおじゃる!?

 ずっとずっと兄上と比較され続けたマロの気持ちがわかるでおじゃるか!?

 どんなに努力してもかなわない兄を持った弟の気持ちがわかるでおじゃるか?

 比較され、家臣にも蔑まれるマロの気持ち、貴様にわかるでおじゃるか!!」


 優秀な兄と凡庸な弟。

 ずっと比べられ、ずっと誰にも認めてもらえない。

 さぞつらかったのだろう。

 でもね


「でも、そんなの関係ないじゃん」


「おじゃ?」


「いや、お前が今までずーっとつらい思いをしてきたってのはわかったよ

 でもね、そんなのとお前が悪いことしてるのって全然関係ないの

 ”自分がひどいことされたから、自分もひどいことします!”なんて、許されるはずがないの」


 刀を引き抜く。


「悪人にかわいそうな過去があろうとなかろうと、悪人は悪人なの

 俺、そういう”自分はかわいそうだから許せ”って態度、好きじゃないな」


 やっぱ刀は重いな。


「過去に何があろうと、何をなすかは今の自分が決めるんだ

 お前は過去を理由に悪いことをした

 たくさんの人から多くのものを奪った

 それが事実。だから倒される

 そこに、お前が過去にどんな目にあったかなんてのは、全く関係がないんだよ」


 刀を構える。


「過去を理由に悪事をなしたお前を、俺は許さない

 俺の恩人、俺の大事な妹のおばあちゃんを殺したお前を、俺は許さない」


 だからここまで来た。


「覚悟しろ偽王

 お前自身の、報いを受けろ」




 偽王がニヤリと笑う。


「時は満ちたでおじゃる」


 突然偽王が薄い壁のようなもので囲まれる。

 これってもしかして、魔法の結界ってやつ?

 蹴ってみるとバチッってはじかれた。


「ほーっほっほっほ!

 これぞ我が国の秘宝、王者の結界でおじゃる!

 貴様らが何百人何千人いようと、この結界は不滅でおじゃるよ!」


 え?もしかして俺が偉そうに語ってたせい?

 あの時間でこいつの準備完了しちゃってた?


 今度こそ真っ青になる俺。

 みんなは俺の後ろ姿しか見えてないからよかった。


 その俺の顔を見てごきげんな偽王の笑い声がうっとうしい。

 しかしやばい。

 どうしよう。


 パニクる俺の耳に入ってくるみんなの焦る声。


「あれが、あれが噂の王者の結界…」

「王家に伝わる最強の盾と矛との一角を使われるなんて!」

「伝説が本当なら、偽王に触れることもできない…」

「ああ!逃げられてしまう!!」


 それを聞いて俺もさらに焦り出す。

 自分のミスで全てを台無しにしたなんてなったらどうしよう。

 いや実力通りなんだけど、今さらそんなこと許されない。

 ああ、みんなもう少し黙ってて!


 しかし、俺を救ったのもその声だった。

 いつもマイペースな姉弟の声が、俺を救ってくれた。



「姉上、リク殿の刀を御覧ください」


「うむ?あれはもしや我が国の宝剣、斬鉄剣ではないか?」


「さすが姉上、一目でおわかりになられるとは!

 さすればあの宝剣の力も当然ご存知で?」


「無論である

 あれこそ我が国の最強の矛

 切り裂けぬものなき剣である」


「お見事でございます姉上!

 皆が不安がっておりますゆえ、そのことを教えてあげるがよろしいかと」


「であるな

 皆安心するがよい!

 リクが手にするは我が国が宝剣、斬鉄剣!

 斬鉄剣こそ王者の結界への唯一の対抗策である!」


 マジか!


「今や王者の結界は偽りの王を守る結界へと成り果てた

 我が国の宝といえど、打ち破るに躊躇いは不要

 リク、叔父上ごと斬り捨てよ!!」


 この姉弟は、本当に肝心なときに役に立ってくれる!


 刀を振り上げ、思い切り振り下ろす。

 先程のようにはじかれることはなく、バターを切るかのような感触があった。

 一瞬で結界はなくなり、今度は偽王が真っ青になっている。



 再び対峙する俺と偽王。

 さあ、今度こそ決着だ。


「俺の名前はリク」


 偽王が目の前にいる。


「反乱軍が総大将にしてルゥルゥの意思を継ぐ者」


 もう周りには支える者もおらず、椅子から転げ落ちている。


「だが、これは俺一人のものじゃない」


 刀を振り上げる。


「お前に奪われた、みんなの分だ!!」


 俺は刀を振り下ろした。

明日で二章が終わります。

勢いのまま一気に書いてます。

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