30話 対決・偽王
ブックマークありがとうございます!
18時ごろの更新が難しそうなので、ちょっと早めの更新です。
今までのあらすじ
カルサも選抜者に加わりました。なお、なぜかリクの評価が上がりました。
偽王からの返事は朝一で来た。
内容は今すぐ来いとのこと。
準備をする暇なんて与えないってことだろうが残念でした。
こちとらすでに準備万端です。
みんなが俺の号令を待っている。
さあみんな、やってやろうじゃないか!
「トロイの木馬、発動せよ!」
余裕か慢心か、俺の帯刀は認められた。
見上げるように巨大な都の門。
その前に立つのは俺一人。
しかし後ろに控えるは大きな台車に載せられたジャイアントピーンの剥製
中身はちゃーんと詰まってる。
剥製を運んで来たメンバーはすでに陣地に戻っており、少なくとも外見上は門の前に俺しかいない。
さあ、開門の時間だ。
「反乱軍が総大将、リクが参った!
門を開けられよ!!」
俺の呼びかけに門が反応する。
腹から声を出すなんて久々だ。
一回ですんでよかった。
巨大な門が音をあげて開く。
血を流さず門を開けるという第一目標は達成だ。
そして目指すはこのまま無血開城。
いや、血を流すのはただ一人。
偽王、お前だけだ。
門から兵士が出てきて剥製の台車を押し始める。
一瞬襲われるかとドキっとしたよ。
後ろから迫る台車に踏み潰されないよう俺も前へ前へと進む。
そしてついに都の中へ。
ずっと都は華やかなものと思っていた。
大通りに人は溢れ、店は活気に満ちている、そんな予想をしてた。
しかし現実は街中には人っ子一人おらず、店は全て閉鎖中だ。
ここはゴーストタウンか?
いくら俺たちが包囲してるとはいえ、これは異常だろう。
都を貫く大通りを抜けると、その謎は解けた。
都の中心の大広場。
そこに都の人々は集められていたのだ。
皆一様に表情は暗い。
何が起こるのかわからず不安そうだ。
泣き出す子供と必死で泣きやませようとする親、そしてそれに怒鳴り散らす兵士。
めちゃくちゃだ。
そんな広場の奥、ちょっとした高台が作られている。
それを囲むように並ぶ人々。
手前には疲れた顔をした人たち。
きっと文官達だろう。お、パトリもいる。
奥にはこちらを蔑むような目をしたやつら。
間違いなく偽王の腹心達の生き残りだ。
そして高台の玉座らしきものに座る丸い物体。
一人で歩けもせず座れもせず、両側から支えられている。
俺達の敵、偽王だ。
高台の下、偽王の前についた。
「えー、拝謁の機会をたまわり、恐悦至極に存じます」
とりあえず用意された挨拶文を読む。
「あー、私ことリクは、副王の地位につくことができ、国王陛下に感謝の言葉もございません」
ここまで読んだところで耳障りな笑い声が聞こえてくる。
「ほーっほっほっほっほ!
ジャイアントピーンでおじゃる!
なんと立派なジャイアントピーンの毛皮でおじゃるか!
世界広しと言えど、このような逸品を持つのはマロだけでおじゃる」
俺ガン無視だな。
しかもすでに自分のものになった気でいやがる。
さて続きを読むかと思ったら、ようやく俺に気づいたかのように話しかけてきた
「マロの前に一人で現れたその蛮勇だけは褒めてやるでおじゃる」
ニヤニヤと笑ってる。
見てるだけでムカついてくる。
「だが、その頭の中身は空っぽでおじゃるなあ
貴様のような名もなき下賤な輩、副王にするはずないでおじゃる
ここで死ぬがよいでおじゃるよ!」
まあ、やっぱそうくるか。
「王ともあろうお方が約束を違えるので?」
「ほーっほっほっほ!
約束とは対等な者同士で結ばれるものでおじゃる
貴様は虫けらと約束などするでおじゃるか?
この高貴なマロ!この国の王たるマロ!
マロと貴様の間には人と虫けらほどの差があることを地獄で思い知るがよいでおじゃる!」
最後の言葉が合図だったのだろう、周りから弓兵が姿を現す。
「さあ、愚民どももよく見ておくがよいでおじゃる!
これが愚かな反乱軍の最後でおじゃるよ
烏合の衆など、首魁が死ねばあっという間に崩壊するでおじゃる」
都中の住人を集めたのはこのためか。
これは彼らの前で俺を殺すためのセレモニーなのだ。
「何が解放軍でおじゃるか!
マロに逆らうゴミどもの、何が解放軍でおじゃるか!
こいつを血祭りにあげ、マロが直々に貴様ら愚民ども目を覚ましてやるでおじゃるぞ!」
狂気に満ちた目。
この狂気が村長を殺した。
今、それが俺に向けられる。
「やるでおじゃる!!!」
一斉に放たれる矢。
あれ?ちょっと展開早くね?
しかし弓矢は全て俺に届く前に叩き落とされる。
いつの間に現れたのか、頼りがいのある背中が三方から俺を囲んでいる。
「リク様、ご無事ですか!?」
「お館様、我らの背中にお隠れを」
「叔父上、久しぶりであるな!父上の仇、討たせてもらう!!」
「姉上、お怪我がなく何よりです」
飛んでくる矢を落とすってこいつらどんな達人だよ。
頼りがいありすぎて嬉しくなるね。
「ききききき貴様ら、貴様ら、なぜ貴様らがいるでおじゃる!!!」
狼狽する偽王。
それが伝搬し、やつの腹心から文官たち、そして国民たちもざわつき始める。
さあ、真打ちの登場だ。
「偽王!てめえごときが俺をはめようなんざ、百年早え!」
俺の声が広場に響く。
ざわめきが収まり、全員の注目を一身に浴びる。
「俺の名前はリク!」
剥製の中にいた全員が外に出てきた。
役者は揃ったぞ。
「お前を倒す男の名だ!!」
なんとか二章完結まで毎日更新できそうです。
楽しんでいただけるよう頑張ります。




