表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/191

27話 作戦会議とインスパイア

風邪を引きました…。

みなさんもお気をつけください。


今までのあらすじ

偽王から使者が来ました。

 さて一晩が経ち、会議が始まった。


 議題は偽王に対してどのような返事をするか。

 そして偽王の前に着いた俺がどうやって偽王を討つのか。

 この二点である。


 俺に戦闘能力があれば話は違ったのだろうが、そんなものは皆無である。

 そのためなかなか議論の行方は定まらない。



「お館様の身の安全が最優先事項です

 お館様単独で向かわれるなど、絶対に認められません」


 まずこれがボードを筆頭にした一番多数派の意見。

 本音は単独だろうとなんだろうと俺が行こうとすること自体に反対なのだろう。

 しかし俺の意見に直接反対することは憚られるため、身の安全を理由にしているわけだ。


「いや、リク様のご英断を尊重すべきだ

 偽王の眼前に迫る絶好の機会を逃すわけにはいかない

 いかにリク様の安全を確保して偽王を討つか、その策を考えなければならない」


 こちらはジェンガを始めとした者たちの意見。

 だいたい軍人関係はこっちかな。

 やはりこのチャンスを逃すべきではなく、いかにして成すべきかを話し合おうとしている。

 こういう前向きな姿勢、俺好きよ。


「ではリクよ、このマントを羽織るが良いぞ!

 妾がマントの中に隠れ、そのまま叔父上のところまでついて行こうではないか!」


「私は後ろから付いて参りましょう

 ご安心を。決して気配は悟らせません」


 これはちょっと特殊な人達ですね。

 でも話している人物が人物なので「おおー!」とか「なんという妙案!」という反応がでている。

 いやいや、二人羽織とかありえないから。

 あと気配悟らせないってどうやるの?


「さすがに濃霧の魔法は怪しまれるだろうし、混乱や魅了だと全員に効くってわけじゃないから難しいわね

 せっかく兄様がやる気出してくれたのにごめんなさいね

 今回は私の出番はなさそう」


 むしろカルサには今まで十分すぎるほど手伝ってもらってるさ。

 ありがとう。


 アルカは話し合いを黙って聞いている。

 最悪はアルカに後ろに控えてもらい、門が開いたと同時に全力ダッシュで偽王の前まで行ってそのまま始末するという案もあるにはあるが、採用するつもりはない。

 ちなみにアルカの全力ダッシュは車より速い。すごいぜ。



 結論は出そうにないので、俺が口をだすことにする。

 今回は俺が発案者だしね。


「ジェンガ、村の倉庫に保管されてたジャイアントピーンの毛皮は持ってきてるか?」


 俺がこの世界に来た直後、殺されそうになったやつだ。


「え?はい ご指示通り持ってきていますよ」


 素晴らしい。

 ジェンガは一見脳筋だが頭は回るし、命令は忠実にこなすできる男なのだ。

 いや、命令をちゃんと実行するのってけっこう難しいのよ…。

 俺も実体験があるからよくわかる。


「ではその毛皮を使って剥製もどきを作ってくれ

 あー、剥製もどきってのは中にものを詰めないでってことね

 中は空っぽにしておいて

 いつごろ完成しそう?」


「はあ、リク様のご命令ならば今日中にでも完了できますが…

 いったい何のためでしょう?」


 ジェンガの頭にたくさんのはてなマークが浮かんでいる。

 他のみんなも同様だ。

 カルサだけは「兄様ふざけてんじゃないでしょうね」ってオーラを出している。怖い。



 しかし安心したまえ我が妹よ。

 兄にだってたまには策があるのだ。


「偽王にはこう回答するんだ

 反乱軍が首魁、リクが眼前に赴くと

 そしてジャイアントピーンの毛皮を献上品として差し出すとな」


 皆の顔は怪訝そうなまま。

 しかし気づいた者もいる。


「兄様、もしかして、ジャイアントピーンの中に人を入れてくの?」


「そのとおりだ

 人が入れないなら献上品として送り込んでやろうじゃないか

 中身のいっぱい詰まったジャイアントピーンの剥製をな!」


 偽王が村に来た時、ジャイアントピーンの毛皮を欲しがっていた。

 あいつは俺の首、そしてこの毛皮にも飛びつくだろう。

 もちろん罠と反対する良識派もいるだろうが、そんなのに従う偽王ではない。

 従うようだったらこんな反乱起きてないさ。


 それにほら、みんなもこの案にのってきた。


「なんと確かにそれならば…」

「偽王はジャイアントピーンの毛皮に目がありません。そのような立派な個体ならば、垂涎の的でしょうな」

「ジャイアントピーンの中に人が入るとは何という妙案」

「あの大きさならばそれなりの数が入るでしょう。精鋭を選抜しなければ!」

「さすがお館様、このようなお考えをお持ちだったとは…」

「同じ考えに至るための時間が与えられていたのに、思いつかなかった自分が情けない…」

「妾の案とだいぶ似てるな」

「お見事でございます姉上!」




 我ながら実に単純な案だ。

 しかしそれは、()()()()()()()を知っているからこそ。


 この世界では、"戦争中にでかい物体を都市に入れたら中から兵士が出てきて滅ぼされた"なんて歴史がなかった。

 だから誰も知らないのだ、この案を。

 だからこの作戦は、この世界では史上初の出来事となる。


「本作戦は極秘事項とし、この場にいる者と選抜者以外への一切の口外を禁ずる

 作戦名は”トロイの木馬”

 ボード、ジェンガ、細かな内容は二人に一任する

 これが最後の戦いとなる!皆、準備を怠るな!!」



 さあ、見せてやろうじゃないか

 伝説にまでなった作戦の威力をな!

コロンブスの卵のように、最初に発案するのが難しいってやつですね。

カンネーの戦いみたいなものはリクには真似できませんが、トロイの木馬からならインスパイアできちゃいます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ