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17話 反乱軍総司令

ブックマークが増減し、一喜一憂しております。

楽しんでいただけるよう、がんばります。


今までのあらすじ

反乱、はじめました

「偽王討つべし」


 この一文で始まる檄文は国中に伝えられ、一気に山火事のように広がった。


 村長、偉大なる治癒魔法使いルゥルゥの死

 その凶行が偽王によるものであること

 村の人々が立ち上がり代官屋敷を占領したこと

 そしてその代官までもが反乱軍に参加したこと


 特に代官、ボードを仲間にしたことは大きかった。

 敵は偽王ただ一人であり、他は偽王の部下であっても迎え入れることが周知されたわけだ。

 これによって時には代官や領主自らが降伏してくること例も出てくる。

 まるでドミノ倒しだ。




「サスコ地方、領主が我々に味方するとのことです!」

「南シスコ地方、全土制圧完了です!」

「北シスコ地方、代官が投降しました!」


 次々と吉報が入ってくる。

 地方名とか聞いても全然わからないので、今どれだけの地域がうちらになびいたのか想像もつかない。

 周りの喜びようの度合いでなんとなく想像はできるが、間違えたらまずいのであまり喜べない。

 しかし喜ばないのもおかしいので、とりあえず考え事をしてるふりをしている。

 仕事してますよアピールだ。

 エクセルを開いたり閉じたりするやつ。違うか。


「お館様、何かご懸念が?」


 ボードは不安そうに尋ねてくる。

 そう、最初に降伏した代官、ボードだ。

 こいつは実に掘り出し物だった。


 優秀な官僚なのだろうとは思っていたが、まさか先王時代に大臣までやっていたとは。

 優秀過ぎて出世しまくって嫉妬されまくり、先王亡き後は追放されかかったけどもったいないからと代官として問題ある地域をたらい回しにされ、そこの問題を逐一解決してきたという男らしい。

 何このスーパーマン。

 尊敬するわ。


 そんなスーパーマンが俺たちの味方になったので実に心強い。

 新しい占領地域もどんどん増えるが、元々国中のことについて詳しいから的確に併合していくので本当に助かっている。

 こんなすごいやつと知り合いだったジェンガ様様である。


 そんなことを考えていたら返答が遅れてしまった。

 ボードの表情がさらに不安そうになってしまう。



「いや、実はな…」


 ここは正直に言おう。

 俺もみんなと一緒に喜びを分かち合いたいのだ。


「大きな地図があるといいと思うんだ

 紙でもいいし、羊皮紙や木の板でもなんでもいいんだが、地図がさ

 そこにまだ偽王に従ってる地域と、うちらの地域を明確に示すのってどうかな?

 そうすれば、ひと目で占領地域わかって便利だと思わない?

 俺はもちろん、みんなも、さ」


 お願い。否定しないで。


「いい案じゃない」


 おお!俺の案に賛成してくれる天使は誰だ?


「大きい紙さえあれば私がそこに複製魔法で地図を書き込むわ

 ボード、さっき話に出てたサスコ地方の領主なんか紙持ってそうじゃない?」


「確かに妙案ですな

 あの地方は非常に豊かですし、紙の生産も行っております

 そしてサスコ領主は早く我々に取り入りたいはず

 きっと喜んで手伝ってくれるでしょう」


「決まりね

 じゃあ紙が準備できたら呼んでちょうだい

 私はお姉ちゃんを手伝ってくるから」


 天使の正体はカルサだった。

 村長が亡くなった翌日から一切涙を見せず、献身的に反乱軍に協力してくれている。

 反乱軍としての役職は持っていないが、やはり村長の血縁は別格扱いだ。

 それを当然のように受け止めるカルサもすごい。

 俺なんてまだ色々びびってるのに。


 アルカはその治癒魔法の力を使って大活躍をしてくれている。

 逆にパワーの方は機密扱いにしている。

 反乱軍の奥の手というわけだ。

 知ってる人間はいるが、目の前でそれを見なければ、あの可憐な美少女が魔物を一撃で殴り殺せるとは夢にも思うまい。

 …それに、村長はあれをアルカにあまり使って欲しくなかったようだ。

 その想い、尊重したい。



「お館様、たいへん感銘を受けました」


 ボードがなにか言ってる。

 そもそもなんで俺のことをお館様って呼ぶんだろう。


「我々の領地を可視化し、ひと目で誰でもわかるようにする

 そうすれば司令部に来た人間は瞬時に状況を把握し、その者の口から情報は広まり、皆の戦意は高まる

 こんな効果的なことを簡単に思いつかれるとは、いやお見事でございます

 さすがお館様。我らが総司令」


「そうだろう?

 先生、リク様はな、それはそれは偉大な方なんだ!」


 なぜかジェンガが嬉しそうにしている。


「なぜお前が嬉しそうなんだ?

 そもそもお名前で呼ぶなど不敬であろう。皆真似しているぞ

 私と同じくお館様と呼べとは言わんが、少し考えたらどうだ」


「自分の主が偉大なことを喜ばないほうがおかしいだろう?

 だが呼び方についてはお前にも一理ある。

 だからこそ、俺はリク様は”お館様”で終わる方ではないと考えているのだ。

 もっとふさわしいお立場になられた時、そのときに改めて呼び名を考えさせていただくのだ」


「驚いたぞジェンガ

 お前も物事を考えるようになったのだな」


「なかなか言ってくれるじゃねえか!」


 ジェンガとボードがじゃれ合ってる。

 というかなぜ俺の呼び名なんかが話題になるんだ。

 名前で呼ぶのが不敬ってどこの常識だよ。

 ジェンガが「これから様付で呼んでもよろしいでしょうか?」なんて言うから先生よりはマシかなーって思った俺が間違いだった。

 もっとすごい呼び名考えてそうだ。


 結局二人は「我らが総司令は偉大」という意見が一致して笑い合ってる。

 俺は二人の関係をうまくする潤滑油になってるらしい。

 これでいつでも面接で潤滑油やってました!と言えるな。




 翌日には司令部の壁に大きな地図が貼られた。

 サスコ領主自らが今朝紙を届けに来てくれたのだ。

「総司令に置かれましてはご機嫌麗しゅうございます」

 と俺に愛想を振りまくのだが、俺に媚びられても困る。

 俺なんてお飾りなんだから、決定権のあるジェンガやボードに媚びてくれ。


 ミサゴのようにこういったのをうまくあしらえるようになりたい。

 …俺には一生できそうにないなあ。



 地図にはすぐに勢力図も書き込まれた。

 赤が偽王の勢力で青が我々の勢力。

 すでに地図の半分が青になっている。


 この国の人々を半分も解放した。

 いや、半分も偽王に支配されている地域がある。


 両方共事実だ。

 全てはまだ始まったばかりなのだ。



 なお、夕食にサスコ領主のお土産である甘味が出た。

 サスコ領主への好感度爆上げである。

 今ならなんでもお願い聞いちゃいそう。


 やっぱ俺は決定権持たないほうがいいね。

村では甘味が貴重品のため、リクはこの世界に来て初めて甘いものを食べました。

甘党のため飛び上がるほど喜んでいます。

アルカも大喜びでした。

カルサは内心大喜びでしたが、喜ぶのは恥ずかしいと黙々食べました。

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