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プロローグ

初投稿です。

どうかよろしくお願い致します。

気づいたら雪山にいた。

あたりは一面の銀世界。見る分にはとてもきれいだが、その場にいるとめちゃくちゃ寒い。


「どうしてこんなとこにいるんだ!?」


と叫ぶも当然のように反応はない。

とりあえず現状を確認する。


俺は安藤陸。サラリーマンだ。

残業が月200時間あったり40連勤してたりとちょっと忙し目の、ごく普通のサラリーマンだ。

彼女なし。友達いない。家にいてもゲームとネットだけだからと仕事ばっかりしてるサラリーマンだ。

記憶はちゃんとある。記憶喪失でボクだれココどこ状態ではない。


では最後の記憶を思い出そう。

いつものように終電で退社。そんな時間なのにまだ暑い猛暑を呪いつつコンビニでアイスと発泡酒を購入。

コンビニ袋はまだ持っている。ここまではいい。

コンビニのあとはどうしたか?

あとはアパートに帰ってシャワー浴びてアイスと発泡酒を消費して歯を磨いて寝るだけのはず。


―――思い出した。

アパートのすぐそばの交差点で、信号無視で突っ込んできたトラックを。

いくら深夜だからってちゃんと信号守れ!なんて考えてた自分の思考を。

そしてそのままブラックアウトしたことを。



つまり俺は、トラックにはねられた後この雪山に飛ばされたらしい。

トラックにはねられたら普通は数メートル吹っ飛ぶだけなのに、雪山まで飛ばされるなんてすごーい。


なんて現実逃避するまでもなく、この状態は異常なのだと気づかざるをえない。


「これが、異世界転移って、やつか…?」


現在の俺は記憶と同じスーツ姿。

別人になっている形跡はないので、転生ではないだろう。

つまり着の身着のままの状態で異世界に来た、異世界転移だ。


まあ、普通に地球のどこかの雪山に飛ばされた可能性もあるのだろう。

しかし俺はそんな可能性はないと確信している。

予想ではない、確信だ。


なんでそんな自信があるのかって?

それは実に簡単だ。

今俺の目の間にいる化物が地球にいるはずないからだ。



眼前に佇むのは身の丈5メートルはあるであろう毛むくじゃらの化物だ。

クマではない。クマにはあんな人を一刺しで殺せそうなツノはない。

しかも5メートルというのは四本脚の状態でだ。

立ったらどれぐらいの高さになるんだろう?などとどうでもいいことを考える。


やつはこちらに気づいている。

自分の縄張りに獲物が入ったことに気づいている。

いつ襲うかを考えている。

俺をいつ仕留める(殺す)かを考えている。


異世界転移したのにこんなあっさり死ぬもんなんだなあ。

実はけっこうたくさんの地球人が異世界行ってるけど、ほとんどは俺みたく行った直後に死んでるんじゃね?

そんなのんきなこと考えた。


そしてその化物が動いた。

俺の人生を終わらせるのはトラックではなく化物なんだと諦めたそのとき、俺と化物の間に少女が割って入ってきた。



光り輝く金髪の彼女。

人を助ける勇気を持つ彼女。

彫刻のように細くしなやかな身体の彼女。

化物の一撃で紙のように吹き飛んでしまいそうな彼女。


「逃げて!」


俺は叫んだ。

こんな少女が、こんな勇気ある少女が俺のために無駄に命を落とす必要なんかない。

死ぬなら俺一人で十分だ。君は逃げるんだと叫んだ。


そして、次の瞬間化物の巨体が崩れ落ちていた。


ただのパンチ。

その金髪の少女が放ったのは魔法でもなんでもなく、ただの右拳。

その拳を分厚い腹に叩き込まれた化物は、完全に力をなくして少女にもたれかかっていた。


ズズン。

自分の数倍もある巨体をまるで中身のない毛皮のように簡単に横たえる少女。

はっと俺の方を向き、てこてこと駆け寄ってくる。

女神のような美しい顔が俺に対して本当に心配そうな表情を向けてくれている。


正直自分がどんな顔をしているかわからない。

助かって安心して、今の光景にびっくりしすぎて、そして目の前の美少女に見とれすぎて、どんな顔をしているのかわからない。



「大丈夫ですか?よかった。あなたが無事で」


彼女のそのセリフを聞いて、俺の意識はなくなった。

最後、びっくりして泣きそうな声で大丈夫ですか!?と言われてるような気がした。

初めての連載小説となります。

楽しんで読んでいただけると嬉しいです。

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