安らかなる眠りは儚い夢のようです…
死んだこと→気絶したことに改稿しております。
読者に皆様には迷惑をかけてしまい申し訳ございません。
俺が目を覚ますと永遠召喚式典が行われていた広場におり、どうやら永遠召喚式典も残すところは主催者の言葉のみとなって、少しの休憩時間が取られていた。
俺はカザリーと一緒に噴水のある公園まで移動して休憩を取る。永遠召喚された者は本来、この世界にいるときすなわち現界状態時には、召喚者の魔力を使うのだが、カザリーはそれが一切ない。
また召喚者が戻れと命じると体の中に入り、臨界状態という待機モードのような感じになるのだが、それもない。
(何なんだこいつは…はあ…美少女なのは間違いないんだが…)
関係ないことを思いつつも、ふと気になったことをカザリーに質問してみた。
「なあカザリーお前安らかなる眠りを与えてくれたはずだよな? それなら俺は心地よくスヤスヤと睡眠して、ものすごく幸せな気分になっていたはずなんだが…それとは逆に全く幸せでもなく意識が突然フェードアウトしただけだったんだが?」
カザリーは不思議そうに首を傾げ、こちらを見てきた。
「…与えたよ…でも今回はあまり深くない…深く与えすぎると死んじゃうから…今回は意識を失うだけにとどめた…よ…?」
「そっかーエライナーカザリーハ…アハハ?」
今なんかすごいこと言ってた気がするぞ! 死ぬ? てことは俺カザリーの配慮がなきゃ死んでたのか!? まじかよ!? そんなことよりも!
「俺の意識をフェードアウトさせた張本人はお前かあああああああ!」
その声は公園中に響き渡り、ギロっとこちらを見てくる。あっすんません…
「おいカザリー!? どういうことだ!? なぜ俺の意識をフェードアウトさせた!? 安らかなる眠りって言ったろ! 全然安らかじゃなかったわ! ちゃんと眠らせてくれよ!」
「…主様…安らかなる眠りって…気絶か死のことじゃないの…?」
カザリーは今にも泣きそうな顔でこちらを見てくる。
「………」
おおっふ…困ったぞ…なんで泣きそうなんだ…ちくしょーしゃーない!
「カザリーそれで間違ってないぞ! いやー突然さけんだりしてごめんな。うん! 俺がイケなかった! きっとそうだ!」
意見を変え、カザリーが泣かないよう務めなければ! 女の子の涙は見たくないから!
「…それじゃあ…カザリーは…主様の言う事…ちゃんと聞けてた…?」
「ああちゃんと聞けてたぞ! 偉いな!」
ものすごく泣きそうな顔だったのが一変し、花の咲いたような優しい笑顔になった。
「…えへへ…これからもがんばる…」
(ああどうなるんだろうか…俺の怠惰生活…あはは…)
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小休憩が終わり、永遠召喚式典に参加したものが続々と戻ってくる。
みんな集まったところで、広場の中央のに設置された壇上に、白髪で髭先をちょうちょ結びで止めているおじいさんが登壇した。
「ウォッホン!えー皆さんご存知だと思いますが、私はアルフィリア召喚学院学院長のトーマス=アルフィリアと申します」
ざわざわっ
「まじか…あれが噂の…」
「ああ…神を召喚した大召喚士さまだ…」
「うわすげー本物を初めてみた…」
そうこの式典の主催者は毎年、アルフィリア学院長が行っており、実力がある生徒を見定めているそうだ。ちなみに連れていかれる生徒は、今この場で名前が呼ばれる。
ここで、名前が呼ばれたものは必ずアルフィリア召喚学院に行き入学試験を受けることになる。もし合格できればまず召喚士見習いということで学院に入学できる。入学できれば、それだけで名誉とされ、人々からもてはやされるそうだ。
「今年は偉人召喚者がふたりもおる! 学院合格を大いに期待しておる! では名前を呼ぶぞ! まずリリア=ファル!」
「はい!」
リリアは学院長のいる壇上に、凛々しい表情で登壇する。
「彼女は偉人であるアーサー王を召喚した! 皆のもの盛大な拍手を!」
学院長がそう言うと広場が拍手と歓喜で溢れかえる。なんと言ったって偉人を召喚したやつだから学院合格は確実だろう。
次々と名前が呼ばれていき、
「次! キシリ=アシュレイ!」
「はい!」
そうすると、金髪で女性の理想を体現したかのようなイケメンが現れた。ちっ! くそあんなやつも幼馴染なのがはらだたしい! そう、俺 キシリ リリアは三人とも幼馴染なのだ。
「彼も偉人であるジャンヌ・ダルクを召喚した! 皆のもの盛大な拍手を!」
なんだと!? もう一人の偉人召喚者はキシリだったのかよ!
「きゃあああああ! キシリ様!」
「抱いて! 私を抱いて!」
「眩しすぎて死ぬう…」
広場は黄色い歓声に包まれていた。が、その一角では…
「おい…あいつどうするよ…」
「首をチョンパすれば生きていられないはず…」
「フフフコロスコロスコロスコロス」
どす黒いオーラを纏った男どもがムチや鎌、棍棒を持ち、今にも殺しに行きそうだ。
「そして最後になるが、クロア=アータム!」
「えっ! 俺!? なんで!?」
俺は不思議に思いつつも、壇上に登壇した。
「彼は真名に何も求められていなかったにもかかわらず召喚した! よって不思議だから連れてく!」
「おい待て! 学院長! 実力じゃなくて私的な用件混ざってたぞ! って話聞いてるか!?」
「これにて今年の永遠召喚式典は終了する! 皆のものよく集まってくれた! 大いに感謝する!」
「うそでしょおおおおおお!」
クロアの叫び声は広場にきえ、今年の永遠召喚式典は終わりを迎えたのだった。
同時にクロアの怠惰生活はまた一歩遠のいたのであった。
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次の日になると、俺 カザリー キシリ リリアは馬車に乗り込み、出発まで待っていた。
「まさかキシリがもう一人の偉人召喚者だとはおもってもいなかったわ!」
俺はもう一人の偉人召喚者がキシリなことに驚いた。名前が呼ばれたときにわかってはいたが現実を直視できない。
「僕自身もまさか偉人を召喚できるなんて思ってもいませんでした。僕を求めてくれたジャンヌに感謝しなければならないですね」
クソこいつ! 性格もイケメンだから余計腹が立つ! そう思っていると、リリアとキシリが疑問に思っていたことを口に出す。
「ところでクロはカザリーが何者かまだわかっていないのですか?」
クロというのは、キシリが俺を呼ぶときのあだ名だ。
「たしかにな…カザリーちゃんは何者なのだ?」
二人が疑問に思うのも無理はない。俺は真名に求められず、適当に言った真名でカザリーを召喚したのだから。
永遠召喚式典で呼び出されるものは何でもというのはあるが最近では、限られてきている。偉人はその中でも高位に位置しているのだ。真名を詠唱した際にその者の記憶も入ってくるようになっている。
「俺もわかんないんだよな…記憶も入ってこなかったし…カザリーは自分が何者かわかるか?」
「…私わからない…記憶をがなにもない…」
カザリーはすごく残念そうな顔をしていた。
「まっそんなことはどうでもいいさ! 時間が経てばわかるだろ!」
頭をなでなでしてあげる。頭をなでなでしてあげれば嬉しそうな顔するからな!
「…ん」
すごく嬉しそうで何より!
キシリとリリアもこれ以上追求しても何も出ないと思ったのか勘弁していた。
そうこうしているうちに出発の時間になり、今回護衛を担当する者の挨拶があった。
「今回護衛を担当するアッシュ=バーナードだ!そしてこいつが相棒のニュートンだ!」
アッシュは身長は180後半で、赤い髪とムキムキの筋肉がこれでもかと言わんばかりに革鎧をおしあげている。一方ニュートンと呼ばれた人は黒い衣服を身にまとっており、こちらは痩身痩躯で全体的にひょろ長い男だ。
「ちなみに俺も偉人召喚者だから護衛は任せてくれ! こう見えて強いからな! 俺とニュートンは!」
ニュートンの背中をバシンバシンと叩く。
「痛いですってアッシュさん! こう見えては余計です! まあ強いかどうかはわかりませんが皆さんよろしくお願いします」
護衛が偉人召喚者ということにみんな驚きつつも馬車はアルフィリア魔法学院に向け出発した。
しかしこの先に起こる出来事を誰も知る由はないのであった…
うーんと…うん! どうやらカザリーちゃんは安らかなる眠りを勘違いしているようですね! でも主様のために一生懸命なのかわいいです!
女の涙を見たくないという理由だけで、意見を捻じ曲げるクロアかっこいい!(笑)
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