女剣士は告白を撤回される(前)
あと2回+蛇足で終わります
そろそろ日が暮れようかという頃、御者役の斥候の姐さんが馬車の速度を緩めつつ声を掛けてきた。
「アタイの見間違いかも知れないから、誰か遠見鏡で前方を見てくれ。」
「あ、分かりました。」
セナリオが荷物の中から遠見鏡を取り出し、重騎士の小父さんに渡す。
「...この先ってセナリオのいた村だよな?なんか飯時の煙が見えるんだけど。」
小父さんの台詞に馬車の中の一同は不可解な顔を見合わせた。しばらく考え込んで、魔術師のお爺さんが呟いた。
「ワシ等が聞いているのはロイエン国全土が疫病撒きに襲われた、というところまでじゃが...」
それを受けて神官の小母さんが続く。
「辺境は被害が少なかったか、もしくは他所の国が再入植してる?」
「すいません、急いでもらっていいですか?」
セナリオの声に、姐さんは無言で馬車の速度を上げた。
村の入り口には、作り直している最中の門があり、その前に2人の男性が立っていた。
馬車を少し離れた所に停め、セナリオが近づいていく。
「! セナじゃないか!!」
セナリオの姿を見た門番は、もう一人の門番に馬車の誘導を頼むと、村中に聞こえるような大声で
勇者の帰還を知らせた。
「どうやら被害は軽かったようですね。我々は村長さんに挨拶して、セナリオは家でゆっくりしてもらいましょう。」
馬車から降りたアタシ達は、小父さんの言葉に頷きながら移動した。
「ようこそ勇者パーティの皆様、私が村長のドミルです。魔王討伐、ありがとうございます。この村は疫病撒きの被害からまだ立ち直っておらず満足ゆくおもてなしはできませんが、今夜一晩疲れを癒していってください。」
アタシ達はセナリオと別れ、村長さんの家へと向かった。
夕食が終わり、一息ついたところでこの村の被害状況の話となった。襲われた当時の状況、疫病の症状を聞く限り、人的被害が随分少ない感じだが...
「で、襲われてから10日後でしたか、大樹海を抜けてジラットンから救援隊がきたんですよ。」
突然自分の故郷の名前が出てきてビックリする。大樹海を挟んでお隣さんではあるが、そこを通り抜けるには並々ならぬ困難が伴う。緊急時とはいえ随分と無茶をする。
「その中にいた薬師さんが正に不眠不休の試行錯誤の末、特効薬を作り出してくださって、この村だけじゃなく近隣の村や町にも広めてくださったんですよ。」
あ...でも、知識はともかく大樹海突破できる体力あったかなぁ...
「おかげさまでこの村は疫病による死者は無しです。本当、タークさんに救われました。」




