第1話 13番目のラスボス 『 渇望の獣王ゾゾ 』
とある荒野。
砂煙が上がり、戦闘音が激しい。
「 よぉし!! ここまま奴をかく乱しろ!! 」
声を荒げるは、胸に狼の紋章の男。
彼はジープに乗り、砂煙を交わしながら、まわりの仲間に命令をする。
彼らのジープは全部で15台、まるでリカオンの群れのように、獲物を囲う。
獲物…。
彼らの獲物は、一匹の魔獣だった。
巨躯な体を持ち、二本足で立つ魔獣
魔獣は、大きな角を持ち、肉食目の面構えで、錆びた首切り斧を振り回している。
「 ギャハハ、狼狽しやがって、この丑寅!
さぁ、野郎ども、最後の仕上げだ。
ゾゾを討伐できたら、俺たちは大金持ちだぞ 」
彼がそういうと、魔獣はピタリと止まり、言葉を放す。
「 よく出来たフォーメーションだ。しかし、もう…、憶えた 」
「 憶えた、だと? 」
魔獣はゾゾ。
ゾゾはそういうと、背中に背負ったもう一本の首切り斧を掴み、
まるで怪鳥のように、手を広げる。
背後には、痛いほど輝く太陽。15台のジープは、巨大な魔獣の影に包まれる。
狼の紋章をつけた彼らは、その姿を見て、何を思ったか?
祈り…、命乞い…、死ぬ前の1秒は長く感じる。
ゆっくりと振り下ろされる、右の首切り斧。
実際は、猛烈に速いのだが、殺される側の最後の瞬間はこんなものだろう。
そのひと振りで、一台のジープは、爆音とともに潰される。
左の首切り斧に、右の首切り斧…、
次々に潰されるジープ、我に返った彼らのリーダーは、青筋を立てて叫んだ。
「 何している!!! 速く陣形を整えるんだ! 」
「 整えるのは、もう諦めた方がいい。
おまえらは鈍いし、最後の場面は見えている 」
「 ……見えてるって 」
狼の紋章の男らは、フォーメーションを整えようと幾何学的にジープを操縦するが
それを掻き乱すように、ゾゾは攻撃を加え続ける。
その動きはより迅速になっていき、攻撃の風圧は竜巻のよう…。
次から次へと潰されるジープ。
終いには、斧を使わず、反射的に蹴り飛ばす。
当たりは鉄の塊とオイルと血だまりと化す。
最後に残ったのはリーダーのあの男。
群れは、あっという間に消失し、尻尾を丸めた負け犬になる。
「 そ、そんな… 」
「 」
to be continue