第十三話 聖剣と魔剣
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「武具防具にはそれぞれ級がある。低い物から並べると”通常級„、”秘宝級„、”伝説級„、”神器級„の計4つ。今の魔剣は精々が秘宝級だけど、昔の魔剣は伝説級の能力がある。それじゃあそもそも魔剣とは何だろうか?聡は答えられるかな?」
魔剣。魔剣や魔槍、魔弓などの総称だ。これは聖剣にも通じる。聖剣は聖剣や聖槍などの総称でもある。
それじゃあ魔剣とは何なのか?それは、そのまま魔力を宿し、魔術を使える武具と言うのが大抵の人間の認識だ。俺も同じで、それ以外になにがあるのかと言うのは知らない。
なのでそのまま言ってみる。
「魔力を宿して魔術を使える武具?」
「そうだね。その認識で間違いはない」
認識はあっているみたいだ。それでは昔と今では何が違うのだろうか?
「魔剣とはそのままの意味で魔力を宿し、魔術を使える武具であり、その総称だね。今の時代、これらの武具を造れる者は少ない。それは仕方ないことでもある」
「仕方ない……ですか?」
「そう、仕方ないんだ。何故なら、今の時代は昔と比べて遥かに平和だ。確かに魔物という害悪が存在しているが、昔の人類が戦った存在と比べるとあまりにも弱い」
「だから……昔の魔剣は……強かった?」
「そう。昔の魔剣というのは人類が、全生命が自分達を、この世界を守るために、文字通り命懸けで造り出した物だからね。……原典に可能な限り近づけようとして終ぞその高みに届かなかったけど」
最後の方はボソッと言われたので聞こえなかったが、俺は、俺達は言葉を失う。聖剣デュランダルは二万年前から存在していると聞いたことがある。だからだろうか。その言葉には重みがあった。
そんな中で最初に口を開いたのは千夜だった。
「今の魔剣が昔と比べて弱いのは、命を懸けてまで造り出す必要が無いから……なんですね?」
「そうだね。当時の最高の名匠達が命を懸けて造り出した物と、今の人間が命を懸けずに造り出した物。どっちが強いかと言われたら昔の方が強いよね」
確かにそう言われればそうだろうなと思う。個人的には昔の人達が戦ったその存在について知りたい。
「次は聖剣について話そう。聖剣はまあ魔剣と同じでその総称だ。聖剣とは元々神々やそれに連なる存在の祝福や加護を授かった武具のことを示していた」
「示していた?」
「そう。二万年前に戦ったその存在は、最高神と呼ばれる複数体の神をその身に取り込んでね。その力で祝福が打ち消されたんだ」
正直に思った。
最高神を複数体その身に取り込むような化け物との戦いなんて絶望しかないだろう。だけど、そんな化け物と戦ったご先祖さま達は純粋に凄いと思う。
「なあ一ついいか?」
「浩介?どうしたのかな?」
「その二万年前に戦った化け物は最後どうなったんだ?」
「色々あってね。封印したんだ」
倒せなかったのか。いや、そんな化け物を倒せるのか?封印したというのは納得だ。
「さて、話しを戻そう。祝福を打ち消された僕を含む聖剣はただのよく斬れる剣、よく刺さる槍というように弱体化した。人類はどうすればいいのか考えた。そこでも色々とあってね。ただ、概念を付与することで元に匹敵もしくはそれ以上の武具にしたんだ」
概念を付与する。
そんなことが出来るのか?まあ出来たから聖剣があるのか。
「因みに僕は『変化』、『不壊』、『浄化』、『魔閃』の4つだね。変化は高位の聖剣には絶対に付いている。それがあって人の姿を取れたりするんだ」
デュランダルが人の姿になれる理由はそれでなのか。不壊は壊れることがないという事だろう。斬れ味が鈍るということはあるかもしれないけど、絶対に壊れないというのは非常に良いことだ。魔物と戦っている時に武器が壊れたら目も当てられないからな。
浄化もその通りの意味だろう。魔物は瘴気によって生み出されているらしいから、大抵の魔物には効果てきめんだな。
魔閃はよく分からない。
「聖剣には下位、中位、高位と存在する。下位と中位の聖剣は量産されたタイプが多い。僕のような高位の聖剣は一点物で唯一無二の存在だね。量産されたと言うけど、下位の聖剣は種類が一つしかない。その名も”選定の聖剣„。この剣は素質のある者を選定するという役割を持っている」
聖剣は勇者や英雄の素質を持つものにしか扱えないと言われている。そういった意味では隠れた素質があるも者を見つけるというのに適している。
だけど、それだけだ。もし付与されている概念が選定だけなら戦闘にはあまり使えないんじゃないか?
そう思い聞いてみた。
「カリバーンには何の概念が付与されてるんだ?」
「カリバーンには二つの概念が付与されている。一つは『選定』。もう一つは使用者に合わせて『常時治癒』、『肉体強化』のどちらかが付与される」
常時治癒。回復魔術の”ヒーリング„みたいなものか?ヒーリングは大体10分くらいしか持続しないから魅力的だ。
肉体強化は……”ブースト„に近いものか?違いが分からない。
「もう少しで着くぞ」
そうして話しが一区切り着いた?ところでアイテルさんから声がかかった。
「それじゃあこの話しの続きはまた今度だね」
「「「「ありがとうございました」」」」