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第九話 冒険者組合ウラス支部

誤字脱字がございましたら報告をお願いします。



 アイテルは浩介とともに冒険者組合ギルドウラス支部へと向かっていた。



 冒険者組合ウラス支部は南にある港に近い所にある宿から北に徒歩3、40分程度はかかる場所にある。



 アイテルは浩介に話を振り、学院でのことなどを色々と聞きながら歩いていると、いつの間にかウラス支部の近くまで来ていることに気がついた。

 それと同時に、ここまでの道で下位ランクのそれも駆け出しの冒険者を数人見かけたが、それ以外の冒険者を一人も見かけなかったことに疑問を抱いていた。



 ウラス支部、というよりも冒険者組合(ギルド)の近くには武具屋や防具屋、鍛冶屋などが必ずと言っていいほど存在する。

 そこにいるというのであればそこまで疑問に思うことはないのだが……。



(なんだ。窓から覗いても冒険者がほとんど見当たらない。何かがあったのか?)



 隣を歩いている浩介を見ると、彼も冒険者をほとんど見かけないことに疑問を抱いているのか、難しい顔をしていた。



「アイテルさん」

「ん?」

「何かおかしくないですか?」

「ああ。何かあったのかもしれない。急ごう」



 やはり浩介も気づいていたようだ。

 妙な胸騒ぎがして、一緒にウラス支部まで走っていった。



 扉を開けて中に入る。

 そこには、数人の受付嬢がいるだけで冒険者がほとんどいなかった。

 受付嬢の一人に知り合いを見かけ、浩介を連れてその受付嬢の下へと急いで向かう。



「クララ。何故、冒険者がいないんだ!昼間とはいえ、こうも全くいないってのは」

「アイテルさん!落ち着いてください!」

「そ、そうだぜアイテルさん!少しは落ち着いた方がいい!」



 アイテルは受付嬢と浩介の言葉にハッとし、落ち着きを取り戻した。



「アイテルさん、お久しぶりですね」

「ああ、久し振りだな。ん?結婚したのか?」



 左手の薬指に指輪をはめているのが目に入ったので聞いてみると、彼女はハニカミながら返事をした。



「はい!テミヘスと一年前に!」

「そうか。それはよかったな」

「おめでとうございます!」



 案の定結婚したらしいことが分かり、祝福する。それを聞いていた浩介も祝福する。

 受付嬢の名前はクララ・クロムウェル。二年前のウラスで起きた事件で、彼女が結婚したテミヘス共々知り合った。



「話を戻すけど、何で冒険者がいないんだ?」

「それはですね」

「クララ」

「て、テミヘス!?大丈夫なの?!」



 背後から聞こえた声に振り向くと、そこにはクララの結婚相手であり、アイテルの知り合いでもあるテミヘスがちょうど入って来た所だった。



「アイテルさん、お久しぶりです。そこの君は初めましてだね。僕の名はテミヘス・クロムウェル。テミヘスと呼んでくれ」

「初めまして。春日井浩介です。浩介って呼んでください」



 浩介は彼に近づこうとするが、左腕に巻かれた包帯を目にして動きを止める。



「その怪我は……どうしたんだ?」

「気にするなって言っても無理ですよね。クララ」

「はい!」

支部長(ギルドマスター)を呼んできてくれ。アイテルさんが来たって。クララが呼びに行ってる間は僕が相手するよ」

「あ、そうだね。アイテルさんと浩介君のことよろしくね……でも、無理はしちゃ駄目だよ?」

「分かってるさ」



 彼女は不安そうな顔をテミヘスに向けながら、階段を上り2階へと消えた。

  それを見送った彼はふぅとため息を吐きながら苦笑した。冒険者組合は酒場を併設しているので、椅子に座って話をすることにする。



「何から話せばいいんでしょうね……」

「何が起きているのか。そして、何で冒険者が誰もいないのか」

「そうですね。それじゃあ……」



 テミヘスは語り始めた。

 何故、冒険者が昼間なのにここにいないのか。

 それは驚きの出来事だった。



 ここ1ヶ月近く、各地で魔物の暴走(スタンピード)が多発。それはウラス領の村の近くでも何回か起こった。

 暴走の影響で殆どの村は壊滅。それを何度も鎮圧しに向かった冒険者にも多数の死傷者が出た。



 それだけではない。



 この街から首都のモックワまではかなり遠い。

 その間にあるいくつかの街が知恵ある魔物に占領され、更には街から街の途中にある街道の十数カ所に渡り魔物が居座り封鎖している。

 そのため、一刻も早く封鎖を解くために、冒険者組合(ギルド)の各支部は魔物を一掃するために冒険者を送り込んでいるとの事だった。



「それじゃあこの街や他の街の防衛はどうなる?!」

「冒険者全員が前線に出ているわけではありません。半分は残って街の防衛に当たっています」

「そう……なのか」

「あの、それってかなりマズイんじゃないですか?」

「なにがだい?ああそれと僕には敬語は不要だよ」



 浩介はアイテルとテミヘスに向けて疑問を投げかける。



「あ、はい。えっと、半分以上の冒険者がこの街にいないってことは、次に暴走が起きた時対処出来ない気がするなって」

「ああ……確かにそうだね」



 コツコツとこっちに歩いてくる足音が聞こえる。



「アイテルさん、浩介君。支部長が部屋に来てくれとのことです」

「分かった。浩介行くぞ」

「はい」

「テミヘス。色々と教えてくれてありがとな」

「ありがとうございました!」

「ええ。お役に立てたのなら何よりです」



 椅子から立ち上がった後、アイテルと浩介はテミヘスに感謝の言葉を送り、クララに先導されて支部長の下へと向かった。







左は冒険者ランク、 右は魔物ランク


E E


D D


C C


B B


A A


S 特A


SS S


SSS 特S


となっています。

魔物の中には、下位のランクに近いものから一つ上のランクに近いものも存在するため、便宜上C-やB+のように区別されるものもいる。

Eランクは見習い、Dランクで一人前扱い。Bランクで一流。Aランク以上はある種の才能が必要。



ランクアップ試験の内容はベテランやギルド員監修の下、冒険者組合の筆記試験や特別依頼をこなすというもの。

特に問題が無ければ昇格。

ただし、Cランクからは護衛依頼等が受けられるようになるため、昇格の際には人間性も見られる。


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