第八話 ウラスでⅡ
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「それでは行きましょうか」
ラファエルは多少はスッキリした顔で笑顔を浮かべ、聡達を促す。
「あ、あの!エル先生!」
「千夜さん、どうかしましたか?」
訂正しよう。幾分かスッキリしただけで、まだイラついているみたいだ。
「あの三人組を放っておいてもいいのでしょうか?」
「別にいいですよ。自業自得ですし」
「そ、それもそうですねアハハハハ」
若干視線が険しくなったラファエルを見て、千夜は力なく笑う。
千夜に言われ、やっぱりやり過ぎたと思ったのか、
「で、ですがまあ、治癒……しておきましょうか」
"サークルヒール„ で三人組の怪我を治す。
「やはり魔術を四種も使うのはやり過ぎなのでしょうか?」
「ええ、まあ、やり過ぎだと思いますよ」
「そう……ですか。今後は気をつけますね」
先ほどの決闘でラファエルがやったのは、"アースバインド„ で両足の足首まで地面が飲み込むことで動きを阻害する。
防御魔術の"ウインドアーマー„ で取り巻きの体を包み込む。
包み込むのに使用した風を使い"ウインドエッジ„ で至るところを切り刻む。
最後に"ウォーターボール» で呼吸できなくして気絶させる。ラルはウォーターボールじゃなくて"アームドストーン„ で殴りまくったのだが……。
この四つを同時に行うというものだ。
とりあえず、三人組の怪我を治したのでその場を後にした。
そのまま進んでいると市場に着いたので、色々と見て回っていると話し声が耳に入ってきた。
「あそこの村も襲われたみたいよ」
「本当かい!?はぁ……ここ最近は物騒だね」
「このままだと野菜が足りなくなるかもしれないねぇ」
「栄養を考えるとそれはマズイよ」
などと言う話し声があちこちから店を構えている店主や主婦の間で聞こえてくる。
「何かあったのでしょうか?」
「とりあえず聞いてみましょう」
近くの店の店主に近づき話しかける。
「あの、少しよろしいですか?」
「ん?学生さんと……引率の先生?かい。なんだい?」
店主は突然話しかけられて少し驚いたようだが、話は聞いてくれるようだ。
「今日ラルズールからこの街に来たのですが……何かあったのでしょうか?」
「そうだね。ここ最近は魔物があちこちで活性化してるらしいよ」
「活性化……ですか?」
「そうさ。他の大陸ではどうか知らないけど、この大陸では魔物の暴走があちこちで起きて壊滅した村が沢山あるって行商人が言ってたねぇ」
暴走は簡単に起きることではないのに、あちこちで起きていると聞き、聡と千夜、夕陽は驚いていた。
それに気づいているのか気づいていないのかラファエルは話を続ける。
「それは……かなりマズいのでは?」
「確かなマズいだろうね。だけど問題はそれじゃあない」
「他になにか?」
「ああ」
店主はラファエルの言葉に重々しく頷き、話した。
「正確にどこかは知らないけど、何箇所かで魔物の大軍が街道を封鎖しているみたいでね、この街や他の街の冒険者と治療院の治癒師の半数以上が駆り出されてるんだよ」
店主に別れを告げ、宿へと戻り、部屋の中に入る。
「組合に行っているアイテルと浩介が帰ってきてから決めます。ですが、三人はどうしたいですか?」
聡、千夜、夕陽の三人は真剣に考え込み、最初に口を開いたのは千夜であった。
「私はその街道を封鎖している魔物をどうにかしたいです」
「私も……同じ考え……です」
「俺も……です。この旅を続けるならいつかどこかでそういうことに出くわすかもしれません。なら、それが早まるだけです」
三人の言葉を聞き、ラファエルが口を開きかけた瞬間、
「こっちにいたか」
帰って来たアイテルと浩介が部屋へと入って来た。
魔術属性の適性
適性のある属性しか使えないわけではありません。
適性のある属性の魔法を使う場合、魔力の消費量が初級は二分の一減少、中級は三分の一減少、上級からは四分の一減少となり、威力も2割ほど上昇するだけです。