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第七話 ウラスでⅠ

誤字脱字等ございましたら報告をお願いします。

 昼が近かったこともあり、食堂で食事を取ったあと、冒険者組合(ギルド)へと向かうアイテルと浩介を見送った一行はラファエルを先頭に街の散策へと繰り出した。



「それにしても王都みたいに活気があるな」

「どこも同じなのかな?」

「王都と比べたら小さいけど、そこそこ大きな街だから」

「あ、なるほど」



 聡と千夜の二人の疑問にラファエルが答える。



「それにしても……」

「?夕陽ちゃんどうしたの?」



 黙々と歩いていた夕陽が口を開き、千夜がそれに反応する。

 夕陽の口から出た言葉は



「美味しそうなのがいっぱい」



 だった。

 先程から黙っていたのは周りにある屋台に目がいっていたからなのだろう。

 夕陽は食べる。それはもうよく食べる。

 小柄な彼女のどこに入っていくのかと言うくらいには食べるが身長は伸びない。それと太らない体質……らしい。

 その点でよく千夜や他の女子達に羨ましがられているようだ。



「それでは何か買いましょうか」

「いいんですか……!」



 夕陽は目を輝かせエル先生を見ると、エル先生は苦笑しながら頷いていた。

 満面の笑みを浮かべた彼女は近くの屋台へと走っていき、エル先生は俺と千夜にここで待っているように言うと、彼女を追いかけていった。



「夕陽は相変わらずだなぁ」

「さっきもいっぱい食べたもんね」



 食堂でも3人前を一人で平らげ、アイテルとラファエルを驚かせている。



 待っていると、夕陽とエル先生が手ぶらで帰って来た。



「あれ?何も買わなかっんですか?」

「それは夕陽が」

「あとで……みんなで食べるように……収納空間(ストレージ)に入れたから」



 どうやらここにいないアイテルさんと浩介とも一緒に食べれるよう保存したみたいだ。

 ここに立ち止まっていたら通行人の邪魔になるだろうと歩き出す。

 喋りながら歩いていると、エル先生がアクセサリーを主に売っている店の前で止まる。



「ここで戦闘時に邪魔にならないような小さいアクセサリーを買いましょう」

「えっと……理由を聞いても?」

「そうですね。何かあった場合に私やアイテルがすぐに助けられるとは限りません。なのでその用心のために貴方達が選んだアクセサリーに私の加護を付けようかと」



 エル先生のまさかの言葉に驚く。

 最高位天使の一人に加護を付けてもらえるとは思ってもいなかった。



「驚くのも無理はないですが、さあ行きましょう」



 多少時間がかかったがここにいない浩介の分も選び終えエル先生に買ってもらい、店を出た。



 その後も色々と見て回っていると、



「なぁなぁ、君たち〜そこの男放っといて俺らと一緒に遊ばね?」



 馬鹿っぽそうな三人の青年が現れた。三人ともピアスをしていて、服は着崩し、下卑た笑いを浮かべながら前に立っている。



 エル先生が突然ニッコリと笑う。俺は今後の展開が読め、顔を青ざめさせ、それに気づいた千夜と夕陽も青ざめさせていた。




「失せてください、早々に。さもないと痛い目を見させますよ?」

「はぁぁぁ!?俺達を誰だと思ってるわけ?」

「え?どうでもいい方々ですけど?」

「ふざけんなよ!」



 リーダーみたいな奴が切れた。エル先生の物言いに我慢が出来なかったらしい。取り巻きAが前に出て来て何かを言い出した始めた。



「この方はここら一帯を治めるヒニル家のご子息!ラル様だぞ!そんな態度をとってもいいと思ってるのか!?」

「だから?どうでもいいので失せてください」

「テメェ!!」



 取り巻きAの紹介で「これで大人しくなる」とでも思ったのか気を良くしていた青年に、どうでもいいと言われ、取り巻きBも吠えだしたがそれどころでは無かった。



 聡達が相手の物言いとラファエルの笑顔に顔を青ざめさせている横で、ラファエルは思っていた。



(正直鬱陶しいですね。ヒニル家の名前も出すとは……あれが噂の次男ですか)



 ヒニル家とは『雷王』よりこの地方を代々任されている領主のようなものである。

 ラファエルはヒニル家についてアイテルから教えてもらっていた。

 現当主は良識人でかなりいい人であり、三人いる子供のうち長男長女も同じ良識人なのだが次男は非常に屑である、と。



(どうしましょうね。決闘でしたら楽なのですが)



「決闘だ!まさか逃げたりしねぇよなぁ!」



 次男が口に出した台詞を聞き、ラファエルは相手から切り出してくれたことに感謝し、



(殺さなければ全て合法……彼らの息子を使い物にならなくしましょうか)



 非常に怖いことを考えていた。



「いいですよ。三人まとめてかかってきてください」

「あ゛あ゛っ!舐めてんじゃねぇぞッ!」



 取り巻きBが切れているが決闘を受諾したエル先生は自然体で立っている。

 三人組は今にも襲いかかりそうな雰囲気だ。



「周りの皆さん危険ですのでお下がりください」

「ちょっ!相手三人だけど大丈夫なのかい?!」

「危険じゃねぇのか?!」

「大丈夫です」



 様子を見ていた周りの野次馬が心配するが取り合わない。



「カル。お前から行け」



 カルと呼ばれた取り巻きBが動き出そうとするが、動けないでいる。



「カル!ふざけてるんじゃねぇよ!サイ!お前がい…………け」



 サイと言う名前の取り巻きAを見てラルの顔は驚愕で凍りつく。

 体中を何かで斬りつけられたような切り傷が出来ていたのだ。さらには顔を水で覆い、呼吸できないようにされていた。



「カ、カル!」



 急いでカルの方を振り向くがサイと同じような状態になっており、ラルは顔を青ざめさせた。



「なっ何なんだよお前!」

「私、風と水に関しては上級の下位までは口に出さずとも発動出来ますので」

「はっはぁぁ!!そんなの人間じゃ出来るはずねえだろ!」

「?頑張れば出来るようになるんじゃないですかねー」



 棒読みで更には目が笑っていない笑顔を見せているラファエルに周りはドン引きしていた。

 だが、ラファエルは気づかない。



「それでは、そこで寝ていてください」

「や、や、止めてくれ!俺が悪かった!」

「知りませんよ。これは決闘。殺し以外は何でもしていいわけですしね」



 ラルは恐怖のあまり逃げ出そうとするが、その場から動けない。恐怖に歪んだ顔は涙やら鼻水やらでぐちゃぐちゃだ。



「"アームドストーン„ 」



 空中に岩でできた拳が浮かんでいる。エル先生が軽く手を動かすと同じ動作をする。



「それでは始めますか」

「や、止め、ッッ!!ガハッッ…………ア…ア…アァァァァ!!」



 一方的だった。風だけではなく、地面が彼の足首まで飲み込み、動けないでいる。そこを一方的にただただ殴る。見ていた人々も顔を青ざめさせさせていた。特に聡を含めて男性はラルがあれを殴られた瞬間、内股になった。



 大体二十発くらい殴って気が済んだのか、スッキリした顔で振り向くと



「それでは行きましょうか」


 と、スッキリした笑顔で言い、聡達を促した。

決闘


ルール

その1 殺しは駄目絶対

その2 気絶、戦闘続行が不可能な状態、降参した場合に攻撃をするのは違反

その3 コロシアムなど正規の場所での決闘を推奨

その4 正規の場所でやらず、物を壊す、見物人に怪我を負わせたなどの場合は負けた方が全額支払う。



これら4つが基本ルールであり、地域によって細部が異なる。

また、ルールが追加されていたりする。

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