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第六話 ウラス到着

誤字脱字等ございましたら報告をお願いします。

 ミーナの襲撃後は何も起きず、翌日の午前9時40分頃にウラスへと着いた。

 あれからアイテルさんは、たまに遠くを見ることがあり、ミーナさんはの事でも考えているのだろうと皆何も言わずにそっとしていた。



 アルノーさんに感謝を告げてから船を降りた所で、先に降りていた真司さんが近づいてきた。



「アイテル達はどうするんだ?」

「俺達は……そうだな。組合に顔を出して情報収集でもするよ」

「そうか。俺たちにもやらないといけないことがある。だから、ここでお別れだな」

「そうなるな」

「また会うことがあればよろしく頼む」

「ああ」



 真司さんはアイテルさんと握手をし、少し先で待っていた信春さん達と雑踏の中へと消えていった。



「とりあえず宿でも探すか」

「えっと……手配してくれてたりは」

「聖王様からは何も聞いてないな。……自分達でってことだろうなぁ……うーん」

「前ここに来たことがあるんでしょう?そこなら良いのではないですか?」

「そうだな……あそこにするか」



 船を降りてから顔色が一瞬で良くなっていたラファエルさんのその一言で、アイテルさんは思い出したのか俺たちを先導して歩き始めた。



 20分近く歩き、とある宿の前でアイテルさんは止まる。

 看板にはエインハーズ亭と書かれている。



「さあ、入るか」

「あ、ちょっと待って」



 入ろうとしたアイテルさんをラファエルさんが止める。



「どうした?」

「学院では保健医としてエルっていう名前で登録してたでしょう?」



 ラファエルの言葉に俺たちは頷く。



「だから、これからは基本的にエル先生やエルさんとか……貴方達が呼びやすい名前で読んでほしいの」

「ラファエルさんではなくてですか?」

「そう。色々と面倒が起こりそうだから」



 ラファエルさん……エル先生の言っていることに納得し、俺たちは今後はエル先生(アイテルさんはエルと呼び捨てで)と呼ぶことにした。



「気を取り直して入るか」



 宿に入ると割と賑やかだった。「ホーンラビットのステーキを一つ!」「特製野菜スープを二つ!」「海鮮丼一つくれ!」食堂はかなり忙しそうだった。

 そんな時に受付の人もこちらに気づいたのか手招きをする。



「お泊まりですか?それともご飯を食べに?」



 受付にいる自分達と同じくらいの年齢の少女がにっこり笑いながら話しかけてくる。



「とりあえず一週間くらい泊まりたい……延びるかもしれないし、逆に減るかもしれない」

「分かりました」



 こちらを一瞥すると



「3人部屋を二部屋で宜しいでしょうか?」

「それでお願いします」

「お一人様一泊、銀貨1枚なので42枚。延びる時はその都度払ってください。減る時は返金致します。お風呂は男女別共同です。お食事の際は食堂を使うか、外食するか……どちらにしますか?」

「食堂で頼む」

「分かりました。食事に関しては食堂のメニューを見てご注文をしてください」



 ものすごくしっかりしている。受け答えがスムーズだし、声がハキハキしているから聞き取りやすい。



「この宿屋の看板娘ですから、そのくらい当然です!」

「え!?」



 顔に出ていたのだろうか?何も言ってないのに自信満々に返された。ん?というか看板娘?



「ん?というか看板娘?」

「はい、そうですよ。今年学院の中等部を卒業しました!」



 今度のは口に出ていたので答えられたことに驚きはしなかったが、やはり同い歳だったみたいだ。



「皆さんは学院の生徒さんですよね?実習か何かですか?」

「ええ、まあそうです」



 少女と話していると千夜から若干不機嫌そうなオーラが出た気がしたが……気のせいか。

 浩介と夕陽、アイテルさんにエル先生も何故か苦笑している。



「あ、引き留めてしまいすみません。鍵はこちらとなります。3階の奥にある二部屋をご利用ください。何か質問はありますか?」

「お手洗いは」

「部屋に備え付けております」

「そうですか、ありがとうございます」

「いえ」



 お礼を告げた後に3階の奥の部屋に行く。



「広さは十分だな」

「ですね」

「これからどうするんですか?」

「向かい部屋のエル達と話して決めよう」



 部屋を一通り見てから廊下に出ると、千夜達の楽しそうな声が部屋の中から聞こえてきた。



「どうします?」

「ノックして反応ないなら……待ってるか」



 部屋をノックすると、少しして千夜が顔を出す。



「今後の予定について決めたい。入ってもいいか?」

「あ、はい。大丈夫です」



 部屋の中に入っていく。当たり前だが同じように広かった。

 エル先生と夕陽はベッドに座っている。



「エル、聡、浩介、千夜、夕陽。俺は一度冒険者組合(ギルド)に顔を出そうと思ってる。お前達はどうする?時間もある。買い物を楽しんでもいい」

「私はこの街で不穏なことが起きてないか見て回ります」

「私は……エル先生についていこう……かな?」

「私もエル先生についていきます」



 千夜と夕陽はエル先生について行くことに決めたみたいだ。



「俺はアイテルさんについて行きたい」

「分かった。聡はどうする?」

「俺は……」



 悩んでいると千夜と目があう。



「エル先生について行きます。」



 気づいたらそう答えていた。



「そうか。エル。引率は頼んだ」

「任せなさい」



 アイテルさんとエル先生。二人して頷きあい



「浩介。行くぞ」

「はい!それじゃあ行ってくる!」



 アイテルさんは浩介を連れて出ていく。



「私達も行きましょうか」



 立ち上がったエル先生に続いて俺たちも街へと出かけた。


ウラス



ハイラント大陸ウラス領にある市。(原型はウラジオストク。設定にある通り大陸の大きさは地球と比べて半分以下のため面積も半分以下)

円形。


『雷王』の命でヒニル家が治めるウラス領で最も大きな街で、数km離れた先には小さな村や町がいくつか点在している。

北東には大きな森が存在する。



※作者は日本から出たことが無いため、今後、各地の設定におかしい部分が存在する可能性がございます。その際は優しく教えて下さると嬉しいです

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