プロローグ
初投稿作品です。
「叶芽 聡、水上 千夜、春日井 浩介、村上 夕陽。」
「「「「は、はい!」」」」
「汝らに命ずる。『剣帝』アイテル・シューベルト、『癒しの大天使』ラファエルと共にこの世界を救う為に終焉魔王を倒して参れ!」
こうして俺たちの物語は始まった。
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この世界は七つの大陸と四つの海に別れている。これらは全て元祖の神を引き裂いて創ったとされているが、真実かどうかは分からない。何故なら、その頃の神は全員が代替わりをしているからだ。
さてと、話は変わるが1200年前までは22人の魔王と神々がこの世界の秩序と平和を保っていたのだが、ある日、14人の魔王が突如として『反転』。
他の魔王や神々、ありとあらゆる生命を襲い始めた。
この事態を重くみた魔王と『五大英雄』、『勇者』
はそれぞれ行動を開始。魔王は治めている地域の守りを固め、五大英雄と勇者を支援。彼らは仲間達と共に世界を救うべく、反転した魔王、『終焉魔王』との戦いに挑んだ。
この戦いにより、一つの海が死海とかし、決戦の地となった大陸は瘴気に覆われ草木も生えなくなってしまった。魔物は瘴気が集まり形を持ったものであり、この大陸には大量の従来よりも強力な魔物が跋扈するようになった。
この大陸を人は『暗黒大陸』と呼ぶ。
それだけに留まらず、いくつかの種族さえも滅んだ。
人々は嘆き悲しんだが、終焉魔王が討伐されたことに喜び、安心し、枕を高くして眠れるようになった。
強大な3人の終焉魔王は倒されたのではなく、封印されただけだと言うことを知らずに。
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長い年月、雨風にさらされていたのかボロボロな祭壇の前に暴雨の中、数十人ばかり集まっている。
「鬱陶しい雨だ」
「我らが主達を復活させる日だ。この暴雨は都合がいいだろ」
「それもそうだな」
黒装束の女が男二人に言った。
近くにいた女は二人を窘める。
「二人とも儀式を始めるのでお静かに」
祭壇を囲むようにしていた女達は儀式を始める。男達は儀式中で無防備となる女達を周囲の魔物から守るのが役割だ。
儀式を始めて一時間が過ぎた頃。
ボロボロの男達と大量の魔力を消費して疲弊した女達、そして祭壇には濃密な魔力が溢れかえっていた。
「主達がおいでになられる。皆の者、頭を下げよ!」
祭壇に集まったもの達を取り仕切っていた老婆がそう言った瞬間、耳を劈くような轟音が祭壇から響き渡り、眩いばかりの光の奔流が天高く登る。
光が収まったころ、祭壇には濃密な魔力を纏った者が三人立っていた。
「あれが……終焉魔王」
誰かが畏怖の感情を滲ませながら呟いた。
それらはその言葉に反応し……周囲にいた者達を襲い始めた。
十分もかからずに老婆を除いた全員が食われた。
血の一滴すら残すことなく、文字通り食われた。
終焉魔王の中でも最も濃密な魔力を持つそれは老婆に語りかける。
「ヒサシイナ。イマハソノヨウナスガタヲトッテイルノカ」
「ええ。1200年ぶりですね」
老婆はニタァと笑いながらそれに応じる。
「1200ネンカ。意ガイトミジカカッタナ」
「“アレ”が封印から解き放たれるまで一年を切りました。なので手始めにあなた方を、と思いまして」
「ソウか。アレのチカラも封印されてイル間によく馴染んダ」
それは自身を瘴気で纏いながら言う。
老婆は笑みを浮かべると、
「あなた方のような高潔な存在を墜すのには苦労しましたからね。ましてやら分割されてるとはいえ、あの“真王”の魂ですからね」
「ふっ。どのような形であれ、貴様のおかげで我らは変わり、力を振るう機会が生まれたんだ。感謝はしている」
その言葉を聞き老婆は笑みを濃くする。
「それなら良いのです。えぇ、本当に。特にロゼは私に敗北して墜される前は嫌だ嫌だ泣き叫んでたものですから」
「昔のことよ。忘れてちょうだい」
それの左隣にいた女は老婆の言葉に少し恥ずかしそうにしている。それの右隣にいる男はガハハと笑っている。
「ロゼ、デクス」
それの言葉に二人は表情を消すと右手を左の胸に当てながら「はい。なんでしよう」と応じた。
「我らの使命は世界に安寧を与えることだ。1200年前は叶わなかったが、この偽りの世界に安寧という名の滅びを今度こそ与える」
それは一度言葉を区切り、両隣にいる二人を順に見やり、
「我……アヒムについてきてくれるな?」
「もちろんだ」
「どこまでも一緒に」
この日、世界にかつての災厄が解き放たれた。
流石に短過ぎるので明日、明後日までには1話投稿します