始まりの古書店街
好きな映画「インディーズ」シリーズ。
好きなゲーム「トゥームレイダー」シリーズ。
趣味、史跡巡り。
そんな青春時代(?)を経て、考古学専攻の大学4年生。
卒論のネタを何にしたものか・・・。
研究室の准教授様から「テーマを早急に出すように!!」と机の上に
赤ペンで殴り書きされた付箋が。
見なかった事にして、研究室を後にした。
行き先は、いつもの古書店街。
そう言えば、先日、江戸時代の簡書が発見されたとのニュースを見たのを思い出した。
ひょっとしたら、手に取っていていたかもしてないと思うと、少し残念ではある。
古書店街を彷徨う。
本が傷まないように店舗の入り口は、北側にあるのが定番だ。
シャッターの閉まった店の前に段ボールの山が乱雑に置かれている。
「店仕舞いのため、ご自由にお持ちください」と箱に書かれていた。
どれもこれも色褪せてボロボロになった本の残骸。
これは、某古本チェーン店でも買い取り不可だなと苦笑い。
そんな残骸の隙間に紐で和綴じされた本を発見。
本棚に飾って置いたらカッコいいな。と思い拾い上げる。
「あっ」
背後で声がしたので、振り向くとそこには50代か60代くらいの「オジサン」が。
「この本、要りますか?」と尋ねる。
「こういうのは、早い者勝ちですから。どうぞ。どうぞ。」と答えると、
「オジサン」は去っていった。
何か悪い事したかなと思いつつ、「早い者勝ちですから」という言葉で罪悪感は薄らいだ。
それにしても、あの「オジサン」は一体何者だろう?
という疑問の答えが判るのに、数日と掛からなかった。しかも、意外な場所で。