森での出会いは必然である
よく子供のころにやったのではないのだろか?
木の枝を投げ倒れた方向に進むという意味不明な遊びを、結局家に帰らないといけないから家の方向へと無理やり倒すか、その遊びをやめるかの二択になる。
しかし今の俺には帰る家なんてもんはない!
そう自由なのだ!悪く言えば行くとこない!
だからこうやって子供心を復活させて遊ぶのは悪くないはずだ。そうつい夢中になってしまってもいいはずだ。
え?つまり何が言いたいって?
「迷った」
気がついたらあたりはうっそうとした森だった。完全に迷子になっている。太陽の位置で方向を確認しようとしても葉っぱが邪魔でほとんど見えない。
勿論来た道も覚えていない。いや、困った。
「おいおいおい、迷子の子猫さんじゃねぇんだぞ?」
まじで犬のおまわりさんが欲しい。猫はわからないって喋れんのに犬はなぜかワンワンしか言わないあの童謡のおまわりさんに会いたい。しかしそんな妖精チックなものが現れるはずもなく現れるのはお馴染みのレッドウルフや木偶の坊と呼ばれる木の人形のモンスターだけだった。
グギューと腹が鳴る。もうすでに太陽は沈みかかっている。どうやら結構長い時間ここで迷っていたようだ。
「腹が減ったけど流石にここで野宿は危険だよなぁ~」
グギューとお腹も賛成している。さて、どうしたものかと考えているときにふと香る何かが焼ける匂い。
「この匂いたどってけば誰かいるかもな!ついてるぜ」
そうして俺はふらふら歩きだした。
「おい、何者だ貴様!?」
俺は匂いのする方へ向かっている途中に不意に声をかけられた。姿は見えない。
「何者だと聞いている!答えろ!」
なんだよこいつら自分らは姿を見せないで一方的に普通は自分から名乗るだろう。しかしだいぶ声に苛立ちがあるのがわかる。あまり刺激を与えない方がいいだろう。かと言って本名名乗るのもどうかと思って適当に言ってみることにした
「おらの名前は◯悟空わくわくすっぞ」
「なるほど孫◯空というやつだな!」
「すいません、嘘です。許して下さい。」
危ない…危うくスーパーな野菜の人になるとこだった…最近アルンやガイとしか会話してなかったからどうも冗談が抜けない。
「いい加減にしろ!」
なんて思っていたら向こうはすでにお怒りの様子。いや、わざとじゃないからね?つい癖でね?
そんな事相手には関係ないのか俺の頭上の木の茂みからバッ!とそいつは降りてきた。
「俺はこの先のシルハルバ村のバイグだ!おとなしくこの森から出ていけ!人間!」
驚いた、そう言ったバイグの頭には犬耳があった。獣人族だったのか。
「あー、俺の名前はスイレン。さっきはすまんかったな。ふざけて。では今腹減っててちょっと苦しいんだわ。だからそこどいてくれるか?頼むよ。」
「黙れ!お前のような汚らしい人間が村まできたら村の大事な作物が腐るわ!」
おいおいおい、そこまで言う必要なくない?
傷ついたよ?俺?
だが、ここで怒っても仕方がない。何故なら俺は頼む側、頼む側は低くいなきゃね
「そういわずに頼むよ。あっ、もしかして村の掟とかなのか?」
「うるせぇ!お前には関係ねぇ!!!」
会話をする気もないのかよ…どうしよこれ…さっきから腹が鳴って鳴って仕方がない。
「何ボーっとしてんだ!何か言えよ!びびったのか?あー?」
すげぇ、ムカつくんだけど…腹が減るわ、馬鹿にされるわなんなんだよ
「ふん!お前から来ないなら俺から行くぜ!汚らしい人間め!」
ダッ!とバイグは地面を蹴る。流石獣人そこそこ速い、そしてそのまま鋭い右手の爪を広げ切り刻もうとしてくる。
もうしょうがねぇ…はっ倒そ…
俺はその右手を躱して右腕を掴むそして自分の体をバイグの体に寄せる。そしてそのまま…
「ンッ!!!」
ジャパニーズ背負い投げを食らわした。
「あら泡吹いてるわ」
いや、思った以上に威力がでてしまった。
獣人が受け身を知るわけもなく、プラス自分のそこそこ速い速度で突っ込んだせいで威力倍増、完全にノックダウンしてしまった。
「これは、まずいかもなぁ…」
向こうからきたとはとはいえ暴行を加えたとなれば村の人々もいい顔をしないだろう。
そうやって悩んでいると再び鳴り出す腹の虫。
「まっ、なるようになるか!」
俺はバイグを放置しておくことに決定した。
良い匂いが近づいてくると森が開けた。
そこにはやはり村があった。思っていたより大きな村だった。
さてこれからどうしようかと門の前で立ち止まっていると村の住人だろうかケモミミ少女が小走りで走っている。そして偶然目があった。
唾を飲んだ。ここで少女が俺の事を敵と認識したら速攻で逃げる。
「や…やぁ、お嬢さん」
少女がうつむいてしまう。やはり、この村は人間を敵視してるのだろうか?
俺が不安になったその時に少女が叫んだ
「人間さんだぁぁぁぁぁあ!!!」
するとあちらこちらから獣人が出てくる。スイレンは焦った。
「やば!逃走!」
くるりとターン、森の方へ駆け出そうとしたがいつの間にか女性が立っていた。
驚いた。全く気づかなかったのだ、その女性は銀色の髪を腰まで伸ばしているがあまり手入れをしていないのかところどころはねてはいるがそれでも美しいといえる。そして頭の上には少し尖った犬耳、そして胸!はちきれんばかりの胸!スポーツブラのようなものしか着ていない胸ぇ!ええもんみたわぁ、もう余は満足じゃ…いかん!いかん!逃げなくては!
だが、そんな事を思っている間に囲まれた。
はい、積みました。これから私陵辱されるのですかね?
だが一向は決して襲ってくるような事をして来なかったしばらくすると歳を取った白い獣人がでてくる。
「いやぁ、驚かせてすまない。久しぶりの人だったのでなぁ。まあ、茶でも一緒に飲みましょうの」
さて、どうなることやら。