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勇者とか貴族とか野望とか

「まずい事になった…」


まさかいらんと思って捨てた自分の出来損ないの子が勇者に選ばれるなどと全く考えもしなかった。

もし今でもあいつを養っていたらエルン家の力は更に高まっていただろう。さらに勇者を捨てたと他の貴族に漏れれば弱みになりかねん。

くそ、失敗だ…


「ウェイン!」

「何でしょうか?父上」

「今すぐエドガーをここに連れてこい!どんな手を使っても構わん!今すぐにだ!」

「しかし、父上私はエドガーの容姿を覚えておりません…せめて一つでも特徴をあげて貰えれば…」

「うむ、そうだな。そういえばあいつの髪は何故か黒かったはずだ。黒髪の男を捕まえてこい。そう多くないはずだ」

「承知しました」

「お父様、私も行かせて下さい」


そう言ったのは次女のリィンだった


「うむ、構わない。探すのは人手がかかるからな」

「はい」


そう言うと彼らは部屋から出て行く、後は見つかるまでどうごまかすかが問題になる。

困ったものだ。


「あの、すみませんお父様…」

「どうかしたのか?アルジュ?」


そう声をかけてきたのは長女のアルジュだった。ちなみに次男のフィトスは都合で私の収集に応答しなかった。アルジュがよそよそしく言う。


「弟の名前はエドガーではなくエルガーだったと思うのですが…?」

「そうか…そうだったけな?」


まあ、どうでもいい。しかし名前があってなければ見つかるものも見つからないというのも確かだろう。後でウェイン達に伝えておこうか。






「てぇへんだ!てぇへんだ!」

「大した事なさそうですね?スイレン君」

「そんな事ないぞ!」


どこぞの江戸っ子みたいな俺にしっかり反応してくれるアルン。流石だ。だが、今はそんな場合ではない。


あの衝撃の勇者発表から俺は思考がフリーズしてしまい。ガイには置いていかれ。子供にはいたずらされもう大変だった。しかし現実逃避してるだけではどうにもならない。


「なぁなぁなぁなぁ、アルン!」

「ワンは一回!」

「ワン!…じゃなくて!!!!」

「全くどうしたんですかスイレン君?目と鼻がくっついてますよ?」

「嘘まじで!?地獄のMISAWA?」

「相当動揺してますね…」


地獄のミサワになってない事を確認して俺はアルンに質問した。


「アルン!勇者がもしすげぇ田舎にいた場合どうやって探すんだよ!?」


その質問に首をかしげるアルン


「スイレン君、もう勇者はエルガー・エルンだって発表されたはずじゃないですか?今回は貴族様だからそんな事聞かれても意味がわからないよ?でも、驚きだよね!あのエルン家に5人目の男性?女性?がいたんなんて!驚きだよ本当に」

「あぁ、驚きだよ。全然驚かないかったけどな!全く驚かなかったけどな!とりあえず教えてくれよ!」

「そんな事より聞いてよ。さっき噂になってたんだけどこれでエルン家のその人が魔王倒してたら本当に貴族界ではトップになるらしいよ!そりゃそうだよね!あの4兄妹にさらに勇者の弟だよ!凄いよねー」


んな事どうでもいい早くしてくれ!


「あぁ、凄い!まじで凄い!凄すぎてもうなんかいろいろ漏れそう!だから」


それでもアルンのおしゃべりは止まらない


「ウェイン様は冷静沈着な孤高の騎士って呼ばれてるんだって!そしてアルジュ様はその笑顔で全てを癒すんだって!リィン様は百合の花のように美しいんだって!そしてフィトス様はどんな相手だろうと果敢に立ち向かう人なんだって!凄いよね〜!」

「アルンしゃ〜ん!?そろそろお兄さんのお話聞いてくれないかなぁ!?泣くよ!?ここでみっともなく泣くよ!?はい!決壊3秒前3、2、1!!!!」

「わかった!わかった!まじで涙目にならないでよー、それで何が聞きたいの?」

「質問忘れてるし…」




「うーん、ちまたの噂ではなんかそういう魔法があるんだって。それでちまちま探していくって聞いた事あるよ?まあ、あくまで噂だからね。どこまでが本当の事なのかは私は全く知りません!ご了承下さい」

「なんかそれずっと監視されてるみたいで凄く嫌なんだけど…」

「スイレン君には関係ないじゃん」


凄い言いたい実は私がそのエルガーさんなのです!敬いたまえー!ってめっちゃ言いたい。でもそれは言ってはならない。あとあと面倒になる事が目に見えている。そしてこのままここにいればいずれ捕まる。そしたらもう奴隷生活だ。それは絶対に嫌だ。だから俺は決心した。


「アルン…今までありがとう…」

「うん?急にどうしたの?スイレン君?」

「もうアルンと一緒にいられないんだ…」

「急にどうしたのよ?」


アルンの瞳が俺の顔を見てるその中には黒髪の少年が立っている。

ここでは様々なことがあった。絶対日本では味わえないような事がたくさんあった。

だからそれに慣れた時俺の人生はこのまま静かに暮らしていいかもとか思っていた。

でも、やっぱり俺は特別なのかもしれない。自分自身はそんなこと全く思ってないんだが。

だから勇者という宿命は俺を追いかけてくるだろう…

だったら…だったら俺は!


「ちょっくら!旅にでます!!!」


そんなものからは逃げてやろう。戦う宿命?世界を救え?んなもん糞食らえだね!俺は自由に生きたい。誰かの指図なんて受けやしないんだよ!


てなわけでここに俺の逃亡生活?が始まるのであった。




「てなわけでガイさんお世話になりやした。」

「突然だな、スイ坊、そっか寂しくはなるがそれがいいかもな。お前は強いから若いうちに世界を見て周るってのはいい事だと思うぞ」

「ありがとよ」

「アルンちゃんにはちゃんと説明したのか?」

「あぁ、説明したよ。」

「そうかよ。んじゃちょっと待ってろ」


ガイは何やら店の奥にいきごそごそと何かあさってきたと思ったら一本の小剣と投げナイフを数本持ってきた


「ほら、旅立ち祝いだ。やるよ」

「まじかよ、ガイいいのか?」

「その代わりたまには戻ってこい。そして俺にお土産を頼むわ」

「サンキューな」

「おう」


一瞬間があく。そして俺は言う。


「じゃな!」

「またのご来店お待ちしておりまーす」

「なんだよそれ!」


こいつはまじでいい奴だ。



5年、5年もいればこの街にも少し執着が湧いてるんだがそれも今日でおさらばだ。


「よし!」


俺は自分の頬をたたき。一歩踏み出す。

明日への一歩を!



っで最初どっからいこ?

前途多難だ…

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