勇者?何それ美味しいの?
あれから早5年、俺はスロトイヤという城下町の冒険者になった。最初のころは馬鹿にされたりしたが、まあ、そこは拳とかで解決して、まあ色々な事をやってきた
こっちの世界は学校とかないんで本当に自由だった。たまにクエストにいってモンスターぶっ倒して稼いで飲んで、寝る。なんとまあ自由な事。
あまり人とも関わらなかったせいか孤立していたが俺は一人を好むのでまあ、問題ない。
そりゃ、少し知り合いとかはできたがそれだけで本当に自由にやっていた。
そんなある日の事だ。
「アルンー、ランジジュース」
「もお、スイレン君、昼間からグダッてないでクエストでも行ったら!?」
そんな俺に怒りながらもしっかりとランジジュースをくれるのはこの冒険者ギルドの店員の1人、アルンだ。ちなみにスイレンってのは俺の新しい偽名だ
「いいんだよ、金ならあるこれでいいんだろ?」
「まあ、私はスイレン君の母親でもないからそんなうるさく言わないけど皆今、勇者祭で盛り上がってるんだからスイレン君も少しなんかしたら?」
「まず、何よ?勇者祭って?フィーバーなの?稼げちゃうの?」
「え!?スイレン君は勇者祭知らないの?」
「おぅ、知らん」
じゃあ、教えてあげると腰を手に当て胸をはるアルン。今の動きは萌えポイント高いな。ちなみにアルンのボインはでかい。
「なんか、今失礼な事考えなかった?」
「いいえー、ただメロン食べたいなだなぁってー」
ジト目を向けてくるアルン。その姿もいい。
っしばらくアルンのジト目を見つめ返していたらアルンは俺に文句をいう事を諦めたのか説明し始めてくれた。
「いい?スイレン君?勇者祭ってのは勇者様をお姫様の能力で探し当て魔王退治に任命する重要なお祭りなんですよ!勇者に選ばれたら大変名誉なんだよ!その人と繋がりを持てれば一生遊んで暮らせるとか!」
「ようは勝手に選ばれて勝手に魔王討伐させられに行くのかよ?とんだ貧乏くじだな」
「そう言わないの!スイレン君はいつも人の気を悪くしてトラブル起こすんだから気をつ
けてよ!っで話を戻すけどとりあえず勇者を任命するのが今日の勇者祭なのよ!どんなかっこいい人が勇者になるのかしら!スイレン君もドキドキしない?」
「うい、ドキドキもキュアキュアもしない。んで疑問に思ったんだがそれって貴族でも平民でも勇者にはなれんのか?」
「なんでよー、こうもっとときめきを持とうよー!」
「持たん!でどうなのよ?」
「んー、そうだねほぼランダムって言ってもいいかもでも、あまり田舎の人になると探すのに時間かかっちゃんだってさ。一年かかった事もあるらしいよ。うわさではね!」
「勇者死んだりとかしそうだなそれ?」
「そうなった場合選び直しだって」
「え?何それ?量産型勇者?怖い…」
「旅には死がつきものだって!」
「絶対勇者に選ばれないようにてるてる坊主でも逆さに吊るしておくか」
「?てるてる坊主って何?」
「神」
「そんな神様聞いた事ないよ」
っとそんな話を続けていたら。どうやらクエストに出ていたパーティーが帰ってきて注文を入れ始めた。
「んじゃ、私行くから」
「おう、」
「勇者の発表は今日の正午だからスイレン君も広場に行けばいいと思うよー」
「気が向いたらなぁ」
ステテテーといってしまったアルン。さて暇になってしまったな。アルンの話を聞いて。勇者祭ってのに行っても良さそうだと思えてきた。やる事ないしクエストは絶対行きたくないし消去法で勇者祭。
そうとなれば行動あるのみ俺はギルドから外へ出た。
人がゴミのようだ!
まさにワラワラいる。普段も結構人はいるんだが今日はその4倍ぐらいはいるんじゃないか?ワラワラワラワラ字に表すとこんな感じ。俺は人混みがそんなに好きじゃない。よくケツを触られる。大抵危ない奴なので必死に逃げなければならなくなる。こりゃ店とかの中にいた方が良さそうだ。俺はここから近い武器屋に行く事にした。
「入店!」
でんぐり返しをしながら入店してみた。理由?気分だよ。気分。
「ついに、頭をやっちまったかスイ坊!!!」
「やってねぇよ!俺の頭のキレのよさはゾンビキング並だ!」
「おぉ…すげぇ微妙なラインだな…」
俺の下手なギャグに付き合ってくれてんのはこの武器屋の主人のガイ。名前の通りガイって感じの奴だ。わかりやすく言うとゴリマッチョだ。
ちなみにゾンビキングってのはゾンビの中では超上のクラスだが頭のキレはまあ、予想通りだ。腐ってる。
「んで、なんの用よ?スイ坊。」
「あぁ、投げナイフ投げたらレッドウルフのケツの穴に刺さっちまって再利用は出来たんたが…まあ、使いたくなかったわけよ。投げナイフをくれー」
「お前にやられたレッドウルフに同情するわ…なんでケツの穴に刺さるんだよ?狙ってんのか?お前…」
「馬鹿野郎!狙って出来たら俺はこの街のゲイ共に食らわせてやるよ!」
「お前…人気者だもんな…無駄にいい顔してるし…無駄に…」
「おおぃ、何で二回言った?無駄じゃねぇし、断じて無駄じゃねぇし」
すごい残念そうな顔で俺を見るガイ。同情するなら投げナイフくれ。無論タダで。
っとそうこうやってる間に投げナイフを用意してくれたのか一本こっちに手渡してくる。
その投げナイフはいつもと変わらない投げナイフだった。
「早いもんだな。お前が来てもう5年経つのかよ」
ガイがしみじみとそう話だした。何?死ぬの?急に死亡フラグたてんなよ。因みにこう思っとけば大抵死亡フラグは消える。
「まあ、ガイの投げナイフにはいろいろと世話になってるよ」
俺は銅貨8枚をガイに渡す。いつもと同じやりとりだ。
「だろ、俺の投げナイフは天下逸品だぞ。刺さられねぇもんはねぇよ。」
「ロックゴーレムに投げたら弾き返されたけどどうなんだよ?」
「投げたやつの投げ方が悪いんだな」
「そりゃ、無理があるわ!」
お互いに笑いあう。俺とガイの関係はいつもこんな感じだ。
「あ?そろそろ店閉めないとな。」
よいしょと立ち上がるガイに俺は疑問に思い話しかける
「こんな昼間から店閉めてどうすんだよ?何?閉店?」
「馬鹿野郎!姫様見にいくんだよ!店はあと50年は続ける!」
そこで俺は納得するなるほど勇者祭ね。すっかり忘れてましたわ。
「スイ坊はどうするんだよ?一緒に行くか?」
「うん、そうだな。隣にお前がいたらきっとゲイとかもこねぇだろ」
「俺はゲイよけか?」
「ほんじゃ、行こうぜ」
スイレンは武器屋を出た!
「多いなぁ、何でこんなにいるんだよ?暇なのかよ?」
「それだけ勇者に期待がかかってるんだ」
っとガイ。
俺とガイは街の高台に来ていた。ここは昔から住んでるやつしか知らない広場の全体を見渡せるベストスポットだ。
「どういう事よ?ガイさん説明お願いします。」
「お前は本当に興味ないことは全く知らないんだな。しょうがねぇな。いいか、勇者つっても1人じゃねぇんだよ。この国の横にある帝国インスラからもでるし豊国マショルドからも出るそして砂国シノールからもな。つまり合計4ヶ国からそれぞれ勇者が出る。魔王を倒せるのはその4人のうちの1人の勇者だけ
その1人になった勇者の国はそりゃ貿易とかが有利になる。つまりこの勇者選びは競馬と一緒よ。表向きには綺麗に言ってるがやってることは政治だね」
「へーお偉いさん達も大変だね。」
「お偉いは対して大変じゃねぇよ。むしろ勇者になった奴が大変だと俺は思うがな。」
「なぁーガイ?」
「なんだよ?」
「お前、案外賢いんだな」
「お前は一体俺をどんな風に見てたんだ?」
いや、そういうことね。すげぇ分かりやすかった。つまり勇者になったら国の奴隷って感じだろ?かわいそうだなぁ。勇者に選ばれる奴は。本気で同情するわ。
っと俺が思いふけっていたところにその時はきた。
高らかなラッパの音。騎士が並んで歩いて広場にやってきた。その中に小さな少女がいて彼女が杖を振るとすぐに木でできた高台が完成する。
「宮廷魔術師はやっぱり凄いな」
ガイが言葉を漏らしていた。
俺も少女をしっかりと見た。紫、短髪、ロリータノータッチ。
しっかり頭に記憶した。
もう一度ラッパがなる。そしたら急に映画のスクリーンのようなかんじのものが中に浮かんだ。
そこに馬車から出てきた金髪のお姫様が同じく金髪の騎士の手を借りて階段を登って高台の上に登った。中に浮くスクリーンはお姫様の顔を大きく写していた。
「皆様、初めまして。私がこのスロトイヤの第一王女のアイーヤ・スロトイヤです。」
民衆が湧く。どうやらお姫様はすごい人気があるようだ。
しばらく謝礼の言葉が続いている。それを聞いていたらガイが喋りかけてきた。
「なぁ、アイーヤ様可愛いだろ?」
「まあ、確かに美人だな」
好きとるほど白い肌、綺麗な金髪、パッチリと二重が綺麗な目。まさしく美少女だ。
「んで?何だよ?ガイ?」
「勇者になって無事魔王を倒せたら彼女と結婚でるらしいぞ」
「へぇー、そうなの」
「なんだ、お前全然興味なさそうだな」
「勇者にならなきゃダメなら絶対に嫌なんだよそんなの。何、ガイ勇者になりたいのか?」
「俺はもうなれねぇよ。年が30超えてたら選ばれねぇ。これは確実だ。」
「んじゃ、何でこんな話を振ってくるんだよ」
「いや、何となく?」
何言ってるだかと呆れていたら民衆が急大きく湧いた。オオオォ!!!ってびっくりしたわ。
どうやら勇者が発表されるらしい。お姫様が何やらブツブツ言ってるそしたら空に紋章が浮かび上がり発光。
何これ寒気がするんだけど何これ凄く嫌な予感がする。俺の額からは冷や汗が流れ出ていた。
そしてアイーヤは言った。たからかな声で。大きく。盛大に!!!!
『エルン家!エルガー・エルン!!!!』
オオオオオオオオオォ!!!!!!!!
民衆が湧く。
ガイは良かったな。お前じゃなくてと肩を面白そうに叩く。しかし知っている俺だけは知っている。
そいつは…
「わいですやん…」
だという事を…