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第四話

 冒険者になって一週間が過ぎた。


 その間、僕は結構な有名人になったし、僕が国を作りたいという話を聞いて士官してくる人もいたけど、自分から売り込みにくる人たちには使えそうな人はいなかったね。


 最初街に来た時であった衛兵さんは腕も立つし、冒険者ギルドの職員さんたちにも有脳な人は多いけど、期待以上の人はいないんだよ。


 僕自身が神である以上、期待のし過ぎかもしれないから妥協してあげるけどさ。


 それにこの一週間。僕は売り込みに来た人の対応だけをしていたわけじゃないんだよ。



 ◆ ◆ ◆



「ほら、王様。あなたの国で横領をしていた悪徳貴族はみんな証拠を揃えて捕まえてきましたよ。

 だから僕に土地をください」


「……まさか、本当に一週間でここまでの成果を挙げるとはな」



 僕が今いるのは王城。


 残念ながら僕自身のお城じゃないんだけど、僕が今住んでいる『イジョーチ』の街を含めたこの近辺一帯を治める国の王様に会いに来たんだ。


 冒険者として魔物を討伐しまくり、お金には困っていなかったけど、国を作るだけの土地を買うとなると王様にも話を聞く必要があるわけだからね。


 近いうちに同じ「王」になる僕だけど、ここは謙虚な対応をしようじゃないか。


 ほら、僕って神様だから相手が一国の王様でも大して何も感じないんだよね。


 だから、こうしてこの国の悪徳貴族全員の屋敷に忍び込んで読心術で心を読み、心を壊して自白証言もさせて、物的証拠も集めてあげるという面倒なことをやってあげたってわけさ。


 本来、こんな腐った貴族が横行しているのに気づけない無能な王様に頭を下げる必要なんてないんだろうけど、ここで下手に出てあげるあたりが僕の謙虚なところなのさ♪


 僕ってなんて優しいんだろうね。



「……冒険者のムネマサ殿。

 折角捉えてきてくれたのはありがたいが、この者たちは国にとって重要な役職に就いている者たちだ。

 確かに死刑に値する罪を犯している者もいるが、すぐにどうこう出来るものではない。

 暫くはこの事を内密にしてはくれないだろうか?」



 ほら、僕が丁寧な対応をしたおかげで一国の王ともあろう者がこうやって敬意を持ってくれている。


 これは僕が王様にとって自分と同格か、それ以上として認められたからだろうね。


 でも残念ながら王様からの頼みごとは呑めないんだ。



「王様、僕は正しいことは正しい、間違っていることは間違っていると正直に言います。

 だからこの国がどうなろうと、僕には関係ないのだから悪事を働いた人たちの事は街の人たちに広めるつもりです」



 王様は、それでは政治が成り立たないとか言って止めようとして来たけど、それこそ僕の知ったことじゃないよ。


 だって、法律を破るような奴らだよ? 最終的には処断するんだろうけど、被害にあった人らは今すぐにでも報復をしたいはずさ。


 だから僕は今回捕まえた悪徳貴族たちの情報は全て街の人たちに流す。


 これはすでに決定事項で正しい行いなんだよ。


 そして噂を流して数日の内に暴動が起き、城に居た王族は民衆の反乱によって斬首刑になったけど、僕には関係ないよね。


 あと、悪徳貴族を鎮圧し、そうした連中が蔓延ることを止められなかった王族を処刑するきっかけを作った僕は新たな国王に選ばれたんだ。


 やったね♪ まさか王様から土地を買おうと思って城に行ったら国そのものがもらえるだなんて、手っ取り早くて運が良い。


 これもきっと僕の普段の行いがいいからに違いないね♪


 




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