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MMORPG―オフ会殺人事件―  作者: tillé.o.fish
第二章 惨劇
18/36

16.盲点

 午後 十二時三十五分。


 僕のベッドに腰掛けたナゾシンは、おもむろに紙を広げてみせた。

「それは?」

「昨日歩いて回ったのを参考に、地図を描いてみた」

「地図?」

 僕は目を丸くしてそれを見た。なるほど、手描きで多少荒い部分もあるけど、ちゃんと地図になっている。ナゾシンの行動力には驚きだ。

「まず、島の中心に『ディグルスの地下砦』」

 ナゾシンが紙の中心に指を刺す。簡単に描かれた城の絵に、『ディグルス』と記載されていた。

「なるほど、確かに」

 僕が相槌を打つと、ナゾシンは指を動かし、淡々と説明していく。

「砦から南。ここが砂浜、船着場はここ」

「なら、『深淵の入り口』はこの辺りかな?」

 僕が砂浜の東側を指差すと、ナゾシンは頷いて答えた。

「うむ。――次に砦の西側。こちらは、ほとんど林で埋め尽くされている」

「『Gigasギガース』の彫像はどの辺りだろ?」

「おそらく、砦のちょうど真西」

「そっか」

「そして、砦の北東に『ストゥーム墓地』がある」

「昨日最後に行った場所だよね。『Asmodayアスモダイ』の墓標が気になるな」

「ふむ。そうだな」

 と、ナゾシンは何やら考えはじめた。

「どうかした?」

「……昨日歩いて回った場所のほかに、怪しいところはないかと」

「どうだろう……。僕はこれで全部だと思うけど」

 僕らは昨日、この島を時計回りにぐるりと一周した。これまでに挙げた場所以外に、特に目立ったものは見当たらなかった。

「しかし、それでは計算が合わなくなる」

「……?」

 僕は小首を傾げてナゾシンを見た。計算? どういうことだ?

「気付かないか? 『深淵の入り口』の扉にあった言葉」

「……えっと、確か、『五つの災い集めよ。さすれば深淵の扉は開かれん』……だったかな」

「その通り」

「それがなにか……あっ!」

 そこで僕はあることに気付いた。

「プレートの枚数!」

「うむ、そうだ」

 メノウも言っていた。宝を手に入れるためには、五つのプレートを集めろ、と。

 『深淵の入り口』にあったメッセージ。五つの災いとは――すなわち、五つのプレートのことを意味している。

「昨日見た限りじゃ、僕らはまだ『Gigasギガース』と『Asmodayアスモダイ』しか見つけてない」

「仮に、そこでプレートを発見しても、二つしかない」

「じゃあ、あとの三つは……?」

「わからない」

 ナゾシンは首を横に振った。

「まだ見落としてる場所があるのかな」

 僕は地図に視線を落として、呟いた。

「それもわからない。――が、ひとつだけ確実に見落としている場所がある」

「え?」

 僕が地図から顔を上げると、ナゾシンはふっと微笑んで、

「ここだ」

 人差し指を、ぴんと立てた。

 一瞬、意味がわからず、ぽかんと口を開けていた僕だったが。彼の言っていることの意味を察した途端、声を上げて喜んだ。

「そうか! なるほど! 全然気付かなかった!」

 僕は、『島に散らばったプレート』という言葉にすっかり惑わされていたようだ。

 この『ディグルスの地下砦』にも、何かが隠されているかもしれない!

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