表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/6

6.終焉、そして

6.終焉、そして


 黒煙が渦巻く玉座の間。


 魔道具の呪いに完全に支配されたバルヴァトスが、怒りに身を任せ、雄叫びの様な怒号を上げる。


 ジグラルドとエマは、完璧な呼吸で剣と魔力を合わせ、バルヴァトスに立ち向かう。



「……よくも……!よくも私の術を解いたな!人間の小娘一人に心を許した貴様など、魔王の名に値しないッ!!そんな姿になったお前など、見たくも無いわ!!」



 目を血走らせて怒りのまま叫び、ジグラルドに切り掛かるバルヴァトス。



「うるっさいわね!」



 エマが切り捨てる様に言い、間に入ってバルヴァトスの剣を弾いた。



「言わせてもらうけどね、あんたの方が、よっっっっぽど王様向いてないわよ!ジグラルドがあんたなんかよりず〜〜〜っと強くて優しいこと、私が一番知ってるんだから!比べるまでも無いわ!」


「小娘が!!!黙れぇぇぇぇぇ!!」



 キッパリと言い放つエマに、バルヴァトスが金切り声で怒鳴る。エマに狙いを定め、そのまま剣を振り下ろした。


 その瞬間、今度はジグラルドが間に割って入り、右手でエマを庇う様に抱き寄せ、左手をバルヴァトスへと突き出した。



「漆黒の盾」

 


 ジグラルドの手から出る黒いモヤが斬撃を吸収し、その倍以上の衝撃がバルヴァトスを襲った。



「エマ……。そういう事を言う時は前もって教えてくれ。私の身がもたない」


 

 エマがジグラルドの顔を見上げようとすると、顔を塞がれた。



「ちょっと今、見ないでくれるか」


 

 塞がれていて顔は見えないが、かろうじて見えた耳まで、真っ赤に染まっていた。




 「さあ、決めようかエマ。やつを私たちの手で終わらせる」


 「うん、一緒に!」



 背中合わせでバルヴァトスに向かい、エマは剣を構え、ジグラルドは左手をかざした。



 「光の斬撃!」


 「ラグナ・クレスト」



 金色の斬撃と漆黒の波動が混じり合い、ふたりの力が重なって、巨大な光刃が生まれた。


 バルヴァトスの全ての呪いを、欲望を、闇を――


 貫いた。



「ギャアアアァァァ!!!!」



 バルヴァトスが倒れ、塵の様に消えて無くなり、その場には腕輪だけが残った。



「完璧に消滅したな」



 腕輪を拾いながら、バルヴァトスが言う。



「……終わったね」


「いや。これからが始まりだ」


「ん……?」


「エマ。お前の村に住みはっきりしたんだが、私は根本的に戦いが好きでは無い。私は魔界も、お前の村の様な、豊かで平和な場所にしたい。だから、私は魔界へ戻り、部下や魔族と共に、本格的に農業を行ってみようと思う」



 エマはくすっと笑った。



「じゃあ、これから忙しくなるね。村に帰ったら、トマトときゅうりとじゃがいもの苗を持ってきてあげる。畑仕事って、本当に大変なんだからね!」


「肝にめいじておく。……だがそれ以降も、時々は魔界に来てくれないか?私もお前に会いにいく」


「ふふっ。うん、良いよ。畑の指導者も必要だろうし!それに……、私もジグラルドに会いたいしね」



 こうして、長きにわたる魔界と人間界の争いは、本当の終焉を迎えた。

 

 そして、ここから、ジグラルドとエマの、そして魔界と人間界の、新しい物語が始まった。

 


最後までお読みくださり、ありがとうございました!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ