ぼんやり令嬢は竜を近くで見るそうです。
最近台風のせいなのか気圧のせいなのか体調の乱れが激しいんですが皆様は大丈夫でしょうか?皆様体調にはお気を付けください。
誤解が解けたものの、意外なことにダメージを受けたのは私ではなく、まさかのアイン様、ニーチェさん、エフレムさんで、うち二人は、大ダメージを受けるという意外な結果に終わった。
それを聞いたオルハはうんうん頷いた。
「うーん、お嬢が傷ついてないなら、俺は別にいいんですけどねぇ」
「勘違いって怖いねぇ」
後部座席で、リノンに髪の毛を丁寧に整えてもらいながら、眠気交じりでそう答えるも、オルハは心配そうにつぶやいた。
「俺は、お嬢ののほほん具合が怖いですよ」
「ヒステリックな方がいいのかな?」
「安心してください、どうあがいても、お嬢はヒステリックにはなれないんで」
オルハのその言葉に、リノンは首を縦に大きくふりながら続く。
「お嬢様の性格はお館様、ないしは、ロクサリーヌ様によく似てますから」
「っすねぇー、ティルディア様には、あんま似てないですわぁ」
二人の言葉に確かにな、と深く頷いた。
私自身、目元以外はお父様に似ていると思っているからか、それを言われても、嫌な気はしなかった。
……そういえば、最近領地に帰ってないけど、お父様とお母様元気かなぁ、と考えているうちに、未だに見慣れない大きな正門が見えてきた。
「そっかぁ、っとありがとうオルハ帰り気を付けてね」
オルハの言葉に返答しつつも、オルハにエスコートされながら返答をすると、気の抜けた表情でオルハは答えた。
「へーい」
その後車内にいるリノンにも声をかける。
「リノンもありがとう」
「はい、ありがとうございますお嬢様。くれぐれもご無理なさらないよう」
「ん、わかったぁ」
そうして、車がみえなくなるまでぼんやりみていると、柔らかい声が聞こえた。
「フルストゥル様、ごきげんよう」
声の主は、文武両道な錬金術師姫……と、私が、勝手に脳内で呼んでいるレベッカ様だった。
今日も凛々しく美しい、レベッカ様に見とれ、私はそれを悟られないようにお辞儀をした。
「ごきげんよう、レベッカ様」
「あら、今日は髪の毛を縛ってるんですね。」
「ありがとうございます。うちのメイドが綺麗にやってくれるんですよ。」
「そうなんですか、それにしても、羊みたいで可愛いです」
「可愛いだなんてそんな、嬉しいです」
……私は、目元だけ母に似ていると言いましたが、申し訳ありません若干それは嘘です。
髪の色は、完全にベルバニア伯爵家の遺伝なんですが、このくるくるふわふわの髪の毛はアーレンスマイヤの遺伝なんですよねぇ。
お母様は、それがとてもコンプレックスで、いまはサラサラのストレートですが、それは髪質改善や、癖毛が目立たないヘアスタイルの研究を、重ねに重ねた努力の結果なので、今のお母様と、私の見た目で遺伝を強く感じさせるのは、この、まつげバシバシの猫目のみなんですよね。
という脳内釈明は置いておいて、私は、レベッカ様の言葉を素直に受け止めた。
ちなみに、今日の髪型はおさげにして、さらにそれを三つ編みにしてもらった髪型で、よくこのほわほわすぎる髪を、ここまで綺麗にまとめてくれたなぁ、と感心する。ちなみに、ニーチェさんからもらった髪飾りもついてます。
「でも、今日、なにか実習ありましたっけ?」
「今日は、生物の授業で竜見れるじゃないですか、引っ掛かったりしたら危ないですし」
いくら短いとはいえ、このほわほわすぎる髪は、運動の授業では視界をふさぐわ、すぐに何かに引っ掛かるわ、料理の実習なんかでも邪魔してくる、その要領で、竜の鱗とか角とかに、うっかり引っかかったら、竜を怒らせてしまうかもしまうし、ということで縛ってもらっている。
そのこと伝えると、レベッカ様はなるほどと納得しながら答えた。
「なるほど……私もくくろうかしら?」
「あ だったら私やりますよ得意なんです。」
「ふふ、じゃあお願いしますね」
そうほほ笑むレベッカ様はとても美しく、彼女を、お姉さまと呼び慕っている下級生の気持ちに、大いに同意してしまったのだった。
「おはよう……って、何、愉快なことしてるの二人とも」
「おはよう、シャロ今日も可愛いねぇ」
開口一番に、いつも通りに挨拶と同時にそういうと、シャロは、二回ほどこちらをみて、呆れたようにつぶやいた。
「あぁありがとうね……。ごめんなさいねレベッカ様、うちのフルルに付き合わせて」
「いいんですよ、私妹欲しかったんで」
「うん?」
まるでこの会話、友達に自分の妹と遊んでもらった時の会話なのでは?え?まさかの私、二人の妹ポジションっていうご褒美すぎる立ち位置すぎませんと、考えているうちに、レベッカ様の髪を綺麗に束ね終わった。
「フルストゥル様ありがとうございます。」
「どういたしまして」
「綺麗にできてるわねぇ」
そうして、髪を束ねたレベッカ様を心にとどめて置いていると、いつもより、やや上機嫌なマオ先生が教室に入ってきた。
「大分もう揃っているな。今日の生物の授業だが、前の授業で言った通り、闘技場で行うからな。間違えて第三生物室行かないように、今いない生徒にも伝えておいてくれ」
「わかりました。」
先生はそのまま上機嫌、とはいっても少し眉が穏やかなアーチを描いている程度なんだが……のまま教室を後にした。
その日は、私も担任に負けじと上機嫌だったそうで、いつの間にか、他の授業が爆速で終わった体感のまま、生物の授業になっていた。
シャロにそれを言うも
「その割にはちゃんとノート取っているのよねぇ」
「じゃあいいかぁ」
その会話を聞いていたバーナード様は、何とも言えない表情をしていたが、目が合うことは無かった。
いまだに、あのことを少し気にしてるらしいが、もう本当に気にしなくていいんですって、時効、時効ですよ。
と、シャロと会話しながら歩いてるうちにいつぶりかの闘技場に着いた。
「くっここに来たら肩が疼くっ……」
「完治してるでしょうが」
そんな冗談を挟んでいると、下の方では男子たちが感嘆の声をあげていて、その方向を見ると、中型の翼の大きな竜と、鳥くらいの大きさの竜が闘技場に大人しくしていた。
「わっもういるんだぁ」
思わずすこしふわふわした口調で言うと、マオ先生が声をかけてくれた。
「下まで降りてきてもらえるか」
「はぁい」
そうして降りると、上から見たのでは桁違いの迫力に驚いた口が……、というが驚きすぎて口が開くことも無く、ただ驚いてた。
一番大きな竜は青い鱗に、緑の瞳をしていて、多くの生徒に囲まれていてもきょとんとしていて、むしろ人懐っこいのかどこか嬉しそうにしていた。
他の小さい竜らも人懐っこく、きゅい、きゅいと鳴いていて、鳥のようで愛らしかった。
「えぇ、可愛い」
「人に慣れてるみたいね」
私とシャロはそう呟き他のクラスメイトも驚いている、それを見てマオ先生は満足そうにした後にその竜を撫でたり実際に触りながら生態を解説してくれた。
「すごい、今まで受けてきたマオ先生の授業の中で、一番楽しいかも……」
「ならよかった、そういえば、竜の食物連鎖に関してだが……」
いつもより動物がいるからか、少し上機嫌なマオ先生の講義が終わり、自由に触れ合ったり、レポートを書く時間になったときに、ふと手首がじんじんと熱くなった気がし、ふとバングルをみると、なにか危険を察知したのか、宝石の色がオレンジに変化していた。
……これって、何かしらの危険があるときに教えてくれる奴だよね?でも危険って、何だろうと、首をかしげていると、とある変化が目についた。
「マオ先生……。竜の目の色が、なんか変なんですけど」
「は?」
そう、何故かすべての竜の目の色が、濃いピンク色に変質していたのだった。
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