ぼんやり令嬢と眼帯従者、いろんな人の公認を得る。
とうとう延期された分の療養期間が終わりましたー。
約二週間ながかった・・・。
外に堂々と出れるのは嬉しいですが働きたくない、働きたくないでござる。
療養期間がんばって毎日投稿できたのは読んでくださる皆様方。ブクマやいいねや評価のおかげでかなりモチベーションが維持できました。本当にありがとうございます。
その日の帰りいつも通り、ニーチェさんに送ってもらい、馬車から降りるも今日ちょっと泣いてしまったせいか、それともいろんな人に公表したせいなのか、学院でのことがあったからか、いつもより優しく、いや、いつも十分すぎるくらい優しくしてもらっているけれども、それを差し置いてもかなり丁寧すぎる対応に、オルハがむすりとした表情でつぶやいた。
「お嬢、やっぱり付き合ってるんじゃないっすか」
「だから仮というか、偽というか」
「は?何すかそれ?俺きいてないですけど」
と、心配のあまり、少し怒り気味のオルハに詰められたと思ったら、いつの間にか横に控えていたリノンがにっこりと詰め寄る、本当暗殺者みたいに気配がないから怖い。
アイスブルーの瞳の奥は全然笑っていない、あぁどうしたことかと思いエマに助けを求めようと思うもキラキラ笑顔のエマの後ろには、いつからいたのか、伯父様が控えている。
「お嬢様、エマはとても気になります」
「フールールー、どういうことかな?」
「あぁ、えっとぉ」
「はいはい、落ち着いてくれませんか?お嬢様との関係は、自分から説明させていただいてもよろしいでしょうか」
そう笑顔で受け答えるニーチェさんを見て、ほっとして何とか平常心を取り戻し、伯父様に向き直った。
「伯父様、彼は信用できる人です。話を聞いてもらっていいですか?」
「あ、あぁ……上がってくれるかい?」
私が、男性が苦手なわたしがここまで言うことが珍しいのか、一瞬驚いたものの、伯父様はすんなりとニーチェさんを家に上げた。
「リノン、お茶の準備をお願いね。」
「はい」
「ありがとう、フルル」
「いえ、急にこんなことになってごめんなさい」
「気にしなくて大丈夫だから」
そのやり取りをみたからか、伯父様は安心した様子だった。
「さっきはすまないね、可愛い姪っ子のことになるとつい……ね」
「いえ、お気になさらず」
そうして、しばらく雑談を挟んでから、ようやく私と何故仮の婚約者になったいきさつを、それはそれは丁寧に教えてくれ、それについては納得しているようだったが、伯父様はすこし困ったような表情をした。
「まさかブランデンブルク侯爵子息が直接そんなことをしてくるとはね」
「何かあったんですか?」
「交流祭のちょっと前かな?うちにフルルには合わないド派手な赤と金のドレスと、怪文書を送り付けてきてね」
「え?意味が分からない怖い……」
本当に何がしたいんだあの人、とあまりの恐怖から口から本音が漏れていた。
「だろう?手紙はまだしも、ドレスは丁重に送り返したんだけどね。」
それであんなこと言ってきたの?怖すぎない?と声にならない声が脳に響いたが、そんな私を知ってか知らずか話は続く。
「……でも王女も公認で、君が悪い人間じゃないのがわかってよかったよ。侯爵家のこともあって、過敏になっていたみたいだ。」
伯父さんがうなだれるも、ニーチェさんは一切気を悪くした様子もなく、笑顔で受け答えていた。
「無理もないですよ。」
「ありがとう、うちで協力できることがあったら、何でも言ってくれ」
「ありがとうございます。とても心強いです」
となんだか誤解とかが解けたのか、その日は遅いからという理由で、なんとニーチェさんに晩御飯を食べてもらったが、その間にも伯父さんは大分ニーチェさんが気に入ったようだ。
「ねぇ、仮とか候補やめていっそ本当に婚約しないかい?」
と言い始める始末だった。
「あの、こんな遅くなってすいません。他にもいろいろと迷惑をかけて」
本来は私が先んじて説明しなきゃいけなかったのに、という思いから、しどろもどろになるもニーチェさんは気にした様子もなく、にかっと明るく笑って答えた。
「ま、身内の許しと協力が得られたんだからいいんじゃないか?」
「あう……」
「あとごはん美味しかったし、俺は、得しかしてないから気にするな」
じゃあまた明日な、と笑いながら頭を撫でてさっそうと帰っていった。
そうしてニーチェさんの姿が見えなくなった後、伯父様は深くため息をついてつぶやいた。
「それにしても、あのバカ侯爵子息はともかく、なかなかどうして、厄介な男ばかりくるんだろうね」
「やっぱ、お祓い行こうかなぁ。」
「行った方がいいと思う。絶対」
普段優しく曖昧に笑う伯父様の断言を見て、やっぱり私は、ついてないのかぁと心の中で少し肩を落とした。
翌日、学校へいくとバーナード様が学校を休んでいた。
逆にのうのうと学校にきてて申し訳ないなぁ、まぁびっくりはしたけど、もう怒ってないんだけどなぁ。
正直に言うと、昨日のニーチェさんと婚約者候補である話が、公になったことのほうが個人的には大きな出来事だったから、頭から抜けてたのもあるだろうけれど、早く復帰してほしいものだ。
「おはようフルル、ちょっと遅かったわね」
「おはようシャロ、すこし本を読みすぎたみたい」
あぁ、そうと気にした様子もない、むしろそれどころじゃないのかシャロはそんなことよりと話を切り替えた。
「……フルル、最近というか前からだけど、あまりパーティー行ってないわよね?」
「うん、この前の交流祭以外はほとんど行ってないよ。」
「そう、じゃあ最近、ブランデンブルク侯爵夫人が復帰したの知らないわよね」
「フィリア様が……」
でも関係ないよな、とぼんやりしていると、シャロが深いため息をついた。
「なぁんか、雰囲気がちがうというか、ちょっとおかしいのよね」
「えぇ、なんでぇ」
「どういう考えかはわからないけど、どうやらフルルがフリーだったら、どうにかしてあのバカか弟を婿に入れる形でも、再婚約させようとしてるみたいよ」
「えぇ、何考えてんだろうフィリア様」
「ね?しかも、そういう話してる時のフィリア様の顔、なんか恍惚としてて怖かったそうよ。お母様から聞いた話だけど一応ね」
「はぁ……なんにせよありがとう」
注意しようと嫌々ながらも決意していると、光り輝くオーラを引っ提げて、ギャラン様は私の決意を打ち砕いた。
「まぁ、ニーチェさんいるし、大丈夫だとおもうけどな」
何でそこでニーチェさんが、と驚きを隠せない表情をするシャロにギャラン様は答えた。
「ニーチェさん、フルストゥル嬢の仮婚約、というか婚約者候補になったんだって?姉さんから聞いた」
「……は?」
シャロが、可愛い顔を歪ませてこちらに詰め寄ってきたので、私は天井を仰ぎながら三半規管に別れを告げた。
「何がどうなってそうなるのよ~~」
「あぁぁぁぁ~~~」
ぐらぐらとシャロに体を揺さぶられている最中、隣でギャラン様が続ける。
「しかも姉さん公認だって?」
その言葉を聞いて、揺さぶりはさらに強くなり、ちょっとだけ吐きそうになりながらそれに耐える。
「どういうことなの~~~」
「あぁぁぁぁ~~~」
そんな様を廊下から見ていたマオ先生は少し頭を抱え
「なにがどうなってそうなるんだ……?」
と戸惑いつつ、シャロを落ち着かせたもののまたギャラン様が
「あぁ ニーチェさんとフルストゥル嬢が仮婚約状態なのが公になったみたいで」
「いや 俺もはじめて聞いたが?」
「わーすごい、先生が五人いる」
「まてまてまて大丈夫か?」
ギャラン様の唐突のカミングアウトに、視界が揺れて、わけのわからないことを口走る私にてんやわんやしてるマオ先生の背後から、突如、シャルル先生がマオ先生の肩に乗っかって可愛らしく微笑んだ。
「えーマオちゃん五人もいるの?だったら、僕のお世話ぜーんぶやってもらおうカナー」
「絶対自分のことやらなくなるじゃないか……」
そう頭を抱えるマオ先生をよそに、シャルル先生はにこにこと続ける。
「まぁ、僕はフルちゃんとニーチェのこと知ってたけどね?」
「えぇ……えぇ……」
……流石に、朝からたくさんの衝撃を受けすぎた先生に、ちょっと同情しつつも、ちょっと酔いを醒ますのに必死で、なにも言えなかったのは、許してほしいと思ったにぎやかすぎる朝だった。
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