ぼんやり令嬢の進路相談。
なんとキャシャラト国の設定や王族ないしはニーチェなどのキャラクターの設定を考えてくれてた友人が投稿を始めました。
内容としてはぼんやり令嬢シリーズでも出てきた国王と王妃のお話です。
時系列はだいぶ前のお話になりますが世界観は同じですので楽しんでいただけると幸いです。
悪女と嘘つき魔術師
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お父様や、シャロのお陰で無事、婚約破棄ができのびのびとアイン様のお手伝い。
今日は、来てくれた方々に、お渡しするハンカチへの刺繍と、タッセル作りだ。
それらを淡々としていると、にこにこと、笑いながら手元の資料を整頓しているアイン様に、話しかけられた。
「そういえば、フルストゥルちゃん婚約破棄、おめでとう。」
「ありがとうございます。」
「よかったなー。悪縁が切れて」
と、いつの間にいたのか、何やら帳簿をつけているニーチェさんも、心からそう思っているのがわかるくらいに、ほっとした表情をしていた。
「案外あっけなかったですけどねぇ」
私がしたことといえば、シャロに、法律事務所連れてってもらって、助言をもらって、いろんな人に、証拠を集めてもらい。
お父様に相談しただけで、もうそこから、トントントンとことがスムーズに進みすぎて、私がこの婚約破棄を勝ち取りました、と大手を振れるような手柄はないんだよなぁ。
本当、周囲とすべての縁に、感謝しないとなぁ。
感慨に耽りながら、天井をみていると、アイン様が不思議そうな顔で、問いかけてきた。
「慰謝料、すごい額だってきいたよ。どこの弁護士頼んだの?」
「あ ペルシュワール法律事務所です」
多分、お父様がそう言っていたような。
なんか、シャロのお家が口添えしてくれて、とかなんとかいってたなぁ。
さすが公爵家、軽い口添えであの、大人気法律事務所雇えるとは、権力とお金は強いなぁ。
筆記用具と一緒で、いくらあってもこまらないなぁ、と筆記用具を眺めていると、予想外の単語がアイン様から出てきた。
「世間って狭いわねぇ」
「そうですね」
なぜそこで世間の話を、なんで、ニーチェさんも頷いているんだろう。
頭がいい人って、会話のテンポが速いとか、結論から言うとか、諸説あるけど、それかもしれない、と理解をあきらめようとしたときに、アイン様と目があい、ぽかーんとしている私を見て、納得したようにほほ笑んだ。
「あぁ、話が飛びすぎたね、ごめんごめん、わからないよね」
「はい 何が何だか」
「フルストゥル嬢の、分からないとき、曇りのない瞳で言い切るとこ、嫌じゃないよ俺」
ニーチェさんに、褒められてるのか、褒められてないのかわからない発言を、ひとまず置いて、アイン様は続けた。
「ペルシュワール法律事務所の、ウィンターバルドさんはね、ニィリエの親代わりなのよ」
「なるほど、だからニーチェさん頭いいんですね」
「ありがとうな」
ん?待て、てなるとニーチェさんって、カリスマ実業家兼デザイナーのノージュさんと、有能、優秀、有名な敏腕弁護士ウィンターバルドさんの、英才教育を受けているということで、でしかも生徒思いの、眉間に皺寄せることに定評のある、元騎士なマオ先生の後輩って、周囲の守備すごすぎません?
そりゃ、ここまで有能になりますわ。
なんか、一緒に仕事するのもおこがましくないかな私、別に両親は優秀だけど、その優秀なところ全部、兄と姉に持ってかれた身としては、心苦しいし、祝福持ちとはいえ、祝福は、私が努力して得たものでもないしなぁ。
考えれば考えるほど、眉間の皺が深くなる、まずいマオ先生の専売特許が……。
「固まってどうした?」
ニーチェさんが、あまりに固まっている私の顔を覗き込むも、その整った顔が直視できず、さらに固まりつつなんとか答える。
「己の未熟さを痛感して……こう。」
「どういう脈絡で、そうなったのか、ちょっとわからないなぁ」
「まぁ、女の子なんてそんなもんよ。」
ニーチェさんと、アイン様の、いつもどうりの主従というより、兄妹のようなやり取りを眺めつつ、己の力不足を痛感しつつ、それを挽回するように、手を動かすと、アイン様は和やかに続けた。
「でも、血がつながってないのが不思議よね」
「まぁ、血は繋がらずとも育ての親なんで、血とか関係ないですよ」
「素敵ですね、そう思えるのって。」
「え?」
「だってそう思えるくらい、ウィンターバルドさんに大事にされてきたってことですし、信頼もされてるってことですよね。」
「……そうだな」
一瞬、間を開けたニーチェさんは、意外そうな表情をしたものの、今まで見たことないほど、優しい表情で頭を撫でてきた。
「フルストゥルちゃんの、そういう考え、素敵ね。頭の固いやつらに、きかせてやりたいわぁ。」
「イズゥムルや、クティノスほど(血統主義がある国)でもあるまいし。そんなことを言ってる人なんて、いるんですか?」
アイン様に問いかけると、いつもの、穏やかな笑みの中に、毒を潜ませて答えた。
「いるのよぉ、まぁ、ロゼットロア公爵が、最近頑張ってくれてだいぶ減ったけどね。」
「……さいですか」
絶対、シャロが、私の陰口叩いた人らに、あれこれしつつ、その中の仕事しないくせに、口ばかりなところにもいろいろしたんだろうなぁ。
え?いろいろってなんだって?て大人のあれですよ。
いやぁ、社交界って怖いですね、何がおきるか、わかったもんじゃねぇですわ。
「てか血統主義だったんだなその二つの国って」
「今は、昔ほど激しくないけどね、でもいまだにクティノスには後宮があるし、イズゥムルは近親婚を推奨していたり、強い血統と掛け合わせるって考えも…強い節はまだあるわね」
「はぁ、世界は広いですね」
「ニーチェは、あまりそういうの、興味ないものね」
アイン様の言葉に?ニーチェさんは、大げさに肩を落として答えた。
「国内のことで手ぇいっぱいですよ。」
「国内のことすらできてない私は一体……」
「フルストゥルちゃん、まだ学生なんだから落ち込まなくていいんだよ?」
ニーチェさんの言葉に、自分のふがいなさを自覚して落ち込んでいると、アイン様は、優しく声をかけてくれた。
大したことないのに、女神に優しくされて、ちょっと泣きそう。
「そういえば、フルストゥルちゃんは、婚約破棄になったから進路考えないとじゃない?ご両親はなんていってるの?」
「お金はたくさん入ったから、領地にひきもってもいいし、良縁をさがしたいのなら、探す、って感じですかね?」
領地に引きこもるのは、かなり魅力的だけれど、当たり前として、お父様のお手伝いをするのは、全然いいとして、絶対、お母様に、いろいろ言われるしなぁ。
正直、結婚願望というか、男性に対して期待はしてもないから、お見合いもいいかなぁ、と思っているから、自分の中の希望を言うことにした。
「個人的には、もうちょっと異国のこととか、勉強してそういったことを、学べる院に入れればなぁ、と。」
そこまでいうと、アイン様は可愛らしく手をたたいて名案だと言わんばかりにほほ笑んだ。
「いいねぇ。私、推薦書書いてあげようか?」
「……………………うぐぅ」
魅力的な提案と、その甘い誘惑に乗っていいものか悩み、変な声がでると…ニーチェさんが心底びっくりしたように、こちらをながめつつつぶやいた。
「どこから出したんだそんな声」
「なんか、ありがたいんですけど、そこは?自分で頑張らないといけないと思いつつも、でもっでもせっかくアイン様が言ってるのを断るのも?申し訳なくないですか?」
「真面目だなぁ。」
「そういうとこあるよねぇ。フルストゥルちゃんって、ニーチェは見習いなさいよ?」
「俺は、もらえるものはもらえる主義っすもん」
と、少しほほを膨らませるニーチェさんが意外で、可愛らしいなと思いながら、今後は院に入れるように、もっと勉強も頑張らないとな、と決心したのはいいものの。
その翌日、マオ先生に院のことを聞いたら。
「いや、頑張るも何も、フルストゥル嬢は推薦書だせば、そのまま入れると思うが…。しいて言うのなら、今のうちから論文を……。いやでも、論文うまいしな」
「じゃあ補習とかは?」
「いらないな」
とりあえず、今後の目標は、真面目に授業を受け続けることに、なりそうです。
つまり、通常運転続行ということ、ちなみに両親は
「まぁ、やりたいことがあるなら、いいんじゃない?」
と、賛成してくれ、このまま、頑張ろうと思ったのであった。
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