ぼんやり令嬢は社交は相変わらずだそうです
ツーイお姉ちゃん…もといディルフィニウム侯爵家のパーティーでのデビューを皮切りに、リーセ様の美貌は社交界に一気に知れ渡った。
私やシャロ、レベッカ様やアイン様は、そうだそうだうちのリーセ様は美しいんだぞ?とまるで子供の自慢をする親のような気持ちで一杯だった。
シャロに至ってはリーセ様のためにドレスを何着もピックアップしていたし、ブティックまでも抑えていた。
レベッカ様もリーセ様のことが心配だと、なるべく側にいてくれた。
レベッカ様の強さは有名らしく、彼女がその深緑色の瞳を細めたら、多くの男性は逃げていった。
あれ、私もできるようになりたいなぁ……
……私はというと、ほぼニーチェさんと同伴だけれど、どうやら私たちが側にいると、何かあったら王女に話がいくと思われているそうで、下心があるものが側に来ることは少なくなった。
それはいいことなんだけれど、社交シーズンってこんなにパーティあるものなの?王都のお酒とか全部なくなるんじゃないのこれ?お茶会含めると倍になるとか頭が割れそうなんですけど?この量のパーティー本当に必要?ねぇ本当に?パーティーに使う分のお金別のことにまわさない?とか思ってしまうけど、シャロが言うには、ただただ無駄使いしてるわけじゃないという。
「ただ、パーティーしてるんじゃなくてビジネスの場だったり、出会いの場だったり、それこそ売込みだったりいろいろな要素が絡まってるのよ……まぁ、慌ただしいのは認めるけれど……というか、全盛期のブランデンブルグなんてすごかったんだからね?」
シャロがそういうと、うっすら話が聞こえていたのかクラスメイト達が口を開いた。
「色んな事業に手を出してましたものねぇ」
「そうそう、そのせいか多くの交流会にも顔を出してましたしねぇ」
「振舞も派手でしたしねぇ……毎回毎回装いも違いましたし」
とのことで、それを聞いた私は思わず濾過も何もしていない心の底からの声が思わず漏れた。
「いやぁ、不仲でよかったぁ~」
「「え?」」
「それで喜ぶ人初めて見たんですけど……」
と、戸惑っていたが、冷静に考えてほしいんですけど、そのパーティーに全て出席しつつ学院の勉強も、婚約者教育もしなきゃいけないとなると、多分頭の血管全部切れてしまう。
それに、その量のパーティーとなると、多くの人と会話をしなきゃいけない。
名前と顔、領地の特徴を覚えるのはそこまで苦ではないけど、大人数の人と話すのは苦手だし、当時はそこまで考えていなかった。
というより考えないようにしていたけど、やたら領地を貶して来るフィリア様に会うのも、お父様と違い高圧的なダイアン様に会うのは苦だった。
そうかんがえると、本当に、元婚約者にはその点においては心から感謝しないといけないのかもなぁと思っていると、偶然居合わせたギャラン様は苦笑していた。
「本当、そのせいかブランデンブルク侯爵子息に婚約者なんていないんじゃないかなんて噂もあったな」
ギャラン様が少し意地悪そうにいうと、シャロもソレに同意した。
「普通、来なくていいって言われて、怒るならまだしも素直にはーいっていう婚約者いないですからね」
「そうなんだよなぁ……普通そこで怒るんだけどなぁ」
ギャラン様とシャロの言葉に続くクラスメイト達の言葉に、そういう点では私にも落ち度があったのかも?と一瞬よぎるが、いや何度考えてもあの連続パーティーに全部出ろと言われれば流石に泣いちゃう。
「だって逆らってもいいことないですしそういうものかなーって」
「そういうもんじゃないの~」
「あぁ~」
シャロに頬をつねられて間抜けな声をあげると、マオ先生が困ったように教室に入ってきた。
……なんか、朝からごめんなさいと思いながら、朝礼を慎ましく受けるのだった。
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