ぼんやり令嬢と穏やかすぎるパーティー
皆さまお久しぶりです。
毎日ものすごく暑いですし、今日明日あたり台風の影響もあると思います。
熱中症と気圧による体調不良等気を付けてくださいね。
「ほら今回の主役よ」
お姉ちゃんがそういって視線を誘導すると、その先には、淡く柔らかいと煌めく宝石と、レースの美しさが際立つドレスを着たリーセ様がいた。
リーセ様の持つ穏やかで温かい雰囲気と気品によく合う、というか本当にリーセ様の為だけに存在しているんじゃないか?と思うほどのそのあまりの美しさに、目を離せなくなっていた。
「いやいや、見すぎ見すぎ」
私がリーセ様に向けている視線を遮るかのように、お兄様が現れると思わず鋭い視線を兄に向けてしまった。
「あぁ、お兄様いたんですか」
「なぁ久しぶりに会う兄に対してそれはひどくないか?兄に向ける視線じゃないよな?」
「すいません、すいません……リーセ様に全神経を集中していたんで……邪魔で」
おいおいと言いながらも、怒った様子は一切なくぽんぽんと頭を触るお兄様とそれを甘んじて受け入れる私をお姉ちゃんはにこにこと見守っている。
お姉ちゃんが早くにお嫁にいったから、こんなやりとりをするのは久しぶりだった。
「フルルは美人さんが好きだもんねぇ」
「まぁ相変わらず相変わらずで安心したよ……ねーさんもリヒャルト様も久しぶり……申し訳ないです。ドミートリィ伯爵令嬢」
「いえいえ……こうやって見ると当たり前ですけど、三人とも似てますね」
リーセ様がほほえましいですとほほ笑むと、お兄様はほっとした表情を浮かべていた。
「ありがとうございます」
「いえ、私の方こそ」
リーセ様とお兄様がお互い頭を下げあう中、ニーチェさんはぽつりとつぶやいた。
「そういえばこの三兄弟揃うところ見れるのって珍しいよな」
「俺がほとんどこっちにこないからなぁ……ニーチェさんから見てフルルってこっちに馴染めてます?」
あぁ、余計なことを言っちゃってこのお兄ちゃんは……心配からかもだけど、正直不安で仕方ないんだけどこっちは?日々ニーチェさんに迷惑をかけている自覚しかないが?と当たり障りのない笑顔で固まっていると、ニーチェさんは私の体を引き寄せて、一度こちらを見てからにっこりとお兄様に向き合った。
「学院での様子は細かく分からないですけど、シャルロット嬢と仲がいいのもよく見ますし、一年生の頃よりも余裕が出てきたとは先輩に聞きますよ。」
「そうなんですね……ほらフルル、帰省しても自分のこと全然話さないからさ」
「特に話して楽しいことも無いし?何か成し遂げたことも無いし……」
お兄様と話すのは嫌ではないんだけど、ほら、お母様の前でなにか言おうものものなら揚げ足取られて、やれお兄様やお姉さまとか、何かしらと比べられて嫌な思いするのが明白なんだよなぁ……。
わざわざそんな渦中に飛び込むほど、私の心は強くないのよ。
そんな強かったら一年生の時に休学してないのよ……。
というか、弱音を言ったら殴ってくる相手がいるのに色々話すわけないのよ……。
と、心の中で悲しい言葉を並べているとニーチェさんが更に優しく言葉を紡いだ。
「それにフルルは王宮でもよく働いてくれるしな…気が利くし、誰にでも優しいしセンスもいいしな」
「おぉ、すごいじゃんフルル」
ニーチェさんの言葉にお兄様はにこにこと自分のことのように喜んでいると、ニーチェさんは私の頭を撫でた。
「いやぁ、本当助かってるよ」
「…ありがとうございます」
その様子をみて、お姉ちゃんだけでなくリヒャルト様、そしてジュリア様やリーセ様もほほえましそうにしていた。
「うんうん、仲が良くて安心だな」
「あら?リヒがそこを気にかけてるの意外ね?」
「そりゃ君の身内だからね?ジィド君のことだって俺は気にかけてるよ?」
「あら優しいのねぇ私の旦那様は」
そうお姉ちゃんが少し意地悪で愛らしい笑みを浮かべると、会場全体に優しい笑みと雰囲気が広がりリーセ様のデビュタントが今日この場でよかったなぁ、と思いながらその後のパーティもどこかアットホームな雰囲気で幕を閉じた。
「……なんというか、フルルの友達って美人が多くないか?」
「でしょ~」
ふん、と無いわけではないがあるともいえない胸を張るとお姉ちゃんがにこにことほほ笑んでいた。
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