クラスメイト達の会話は踊る。
「なぁ、正直な話ラフレーズ様ってどう思う?」
「どうって……まぁ」
放課後、学院の自習室で勉強を口実に集まっていた男子たちがぼやき始めた。
「正直、見た目はかなり可憐だよなあの赤髪はかなり目を引くし……」
「見た目は……ね」
どこかふくみを持たせた言い方に、三人同時に大きくため息を吐いた。
「正直、ずっと貴族として育てられていなかったというのを大目に見たとしても幻滅するよなぁ……」
その言葉に、三人の男子生徒は肩をがっくりと落とした。
それもそのはず、少しとはいえ神殿機関に元、平民育ちの治癒術に長けた誰がどう見ても美少女がいると聞いたら、その背景からかなり期待をしてしまうのは無理もない。
だが、ふたを開けてみれば自分の価値をこれでもかと誇示し、女子生徒を見下し、殿下だけでなく男子生徒の前では猫を被る。
幼いころから貴族としての教育を受けている彼らからしてみれば、どう考えても好意は持ちにくいのは想像に難くない。
勝手とはいえ期待したこちらも悪いのだが
「俺も最初はさ、ロゼットロア公爵令嬢も手厳しいなぁなんて思ってたんだよ。あと、どうして女子たちは仲間に入れてやらないんだろうみたいな」
俺らのクラス、そういうの今までなかったのにと呟くとまた一人がため息をついた後に呆れたように口を開いた。
「何もしてなくても見下してるって言われて、男にあれだけ色目使って、間違いを優しく訂正しても被害者面する……それは近寄らないって、彼女が近寄っても嫌な顔しないの、同時期に編入してきたドミートリィ伯爵令嬢と、ベルバニア伯爵令嬢くらいじゃないか?」
冷静になればわかることだけれど、と一人が言うともう一人が不思議そうな表情を浮かべた。
「その二人も普段はラフレーズ様と積極的には一緒にいないけどな」
「というか、ベルバニア伯爵令嬢に至っては彼女のせいで魔女だなんだって全然あってない異名ついたよな」
その言葉にその場にいる全員が首を傾げた。
「魔女……ねぇ……最近防御魔法の方はかなり伸びてきたけど、攻撃魔法に関してはいつも通りだし、呪術なんて使えないだろう?」
「使えたとしても、うわぁ縁起悪いやぁっていって使わないだろうな」
その言葉に全員が黙ったまま深く頷いた。
「わかる……正直俺、最近高位の防御魔法できてることですら驚いてるもん」
その言葉にまた全員が頷いた。
それだけクラスの見解としては、そこまで頭が悪いというわけではないが、攻撃魔法においては優秀とはいえないという見識は一致していた。
「というか、幻影魔法も伸びてたよな?」
「攻撃力は皆無だけどな……」
相変わらず、と付け加えた後に、いや逆にそれはそれで怖いんだけどとまた誰かが呟いた。
「てか、俺最近気づいたんだけどさ……マクシミリアン子爵子息なんかずっとベルバニア伯爵令嬢見てないか?」
話の変わりように誰かがつっこむわけでもなく、淡々と会話は続いた。
「あーそれは分かるけれど、ほらあそこの当主、地方貴族を見下してるからそれでじゃないか?辺境伯以外で地方貴族はベルバニアくらいだし……」
「それを言ったらドミートリィもだろ?」
じゃあ何でだろうなといった空気が流れた時、一人が何やら楽しそうに声をあげた。
「お前ら鈍いなぁ……アレは絶対ベルバニア伯爵令嬢に惚れてるに決まってるだろ」
少し冷やかすような、楽し気にいうも他二人は冷静な、否冷めた表情で会った。
「……お前って本当に恋愛脳だよなぁ……」
呆れた態度でそういわれると、いやいやと立ち上がった。
「いやいやアレは絶対そうだって!!!」
「何を根拠に……」
バカバカしい、と小声で付け足した後もう一人が呟いた。
「だとしてもさぁ……ベルバニア伯爵令嬢にはニーチェさんいるんだぞ?」
「なー、俺だったら諦めるもんニーチェさん、優しいし?かっこいいし?何しろ余裕があるし?」
「誰にでも優しいしなぁ……しかも仕事もできるしなぁ」
「……というかさ、ベルバニア伯爵令嬢ってレヴィエ先輩といいニーチェさんと言い、相手のスペックすごくないか?」
レヴィエ・ブランデンブルグといえば炎薔薇の貴公子と名高く、その美貌、侯爵子息という肩書は誰の眼にもとまっていた。
ニィリエ・ハイルガーデンといえば言わずもがな、王女の右腕……その手腕は言わずもがな、おそらく彼の年代では一番の出世頭といっても過言でもない。
新旧婚約者のスペックの高さと、それに比べて俺らは……という軽い絶望の後にふと疑問がよぎった。
「レヴィエ先輩もあんなことしなければ良かったんだけど……確かに二人とも見た目も優秀さもあるよな」
「レヴィエ先輩……なんであんなにベルバニア伯爵令嬢につらく当たってたんだろうな?」
「まぁ、そんなの本人にしかわからないだろ……しかももういないし」
それもそうかという空気が流れた後に、また会話の流れが変化した。
「でもさぁ、お前の予想?少しだけわかるかも?」
「え?」
「昔、前子爵夫人であるフェオドラ様が、母親と一緒に教会のバザーの支度をするためによく来てたんだけど……なんとなくフェオドラ様ってベルバニア伯爵令嬢に似ていた気がするんだよなぁ……ほら二人とも困り眉だし」
いやいや、そんな理由で?と即座に突っ込みが飛びまた名ばかりの勉強が続くのだった。
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