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ぼんやり令嬢は守備表示をするようです

「らちが明かないでしょうし、いいですよ」


 此方に対しての申し訳なさとあちらに関しての呆れが混ざった表情でそういうリーセ様に心から同情しながら、私もおずおずと手をあげた。


 「……お力になれるかわからないですけど、私もお供します」


 「ありがとうございますフルストゥル様」


 こんな時にも関わらず優しく微笑まれるリーセ様に、眼福という気持ち以上に心配が勝っている。

  本当に何もできないかもしれないが、ないよりはましだろう。

 けれど、ギャラン様は少しだけ目を見開いた後に心配そうな表情で答えた。


 「こちらとしてはありがたいけど……本当に大丈夫か?」


 「かくなる上はニーチェさんを横に守備表示でいてもらいます」


 忙しいとは思うけども、こういう時ばかり頼るのもどうなんだ?とも思うけども……。

 あぁいう場には大人がいたほうがいいだろう。

 最悪、シャロのお父様に頼る羽目になるかもだけど……。


 「守備表示って……まぁ、ニーチェさんなら多分いいって言ってくれるだろうな」


 その言葉の後に、俺も同席するよ流石に心配だしな、とギャラン様が言ってくれ、これに関しては手放しにとてもありがたいなという思いだった。

  言い方はあれだが私は一介の伯爵令嬢、リーセ様もキャシャラトに来てからは一般的な貴族の枠組みに過ぎない。

 あちらがどういう気持ちでいるかはわからないが、リーセ様へのかつての扱いを見るに短慮な人間なのは分かる。

 そもそもたかが私の発言であそこまで激昂していた人間だ。

 何が悪いってそんな人間が、まぁご立派な権力を持っていることだろう。


 もうほんと心配、レイラントが……大丈夫そう?と国単位で声をかけてしまいそうになる。

 お前に何ができるんだと言われればそれはそうなんだけども……。

 うんうんと頭を悩ませている私をみて、リーセ様がふふっと可愛らしくほほ笑んだ。


 「私の為にありがとうございます」


 「いやいや、まだなにも成していないんですよ」


 これだけで感謝してくれるのは本当に優しいしありがたいけどもと、およよよという風にしているとリーセ様は気が抜けたようにほほ笑んだ。


 「ふふっ」


 「まぁ思ったより思いつめて無くてよかったよ」


 「まぁ強制送還できたらそれが一番だったんですけどねぇ」


 遠い目で


 「……今思いついたんですけど、逆にずっと会わないでキャシャラトにいてもらってその間にレイラントをこう……さくっと」


 できませんかね?とギャラン様の方を向くとがくっとうなだれていた。


 「帰りにカフェに寄ろうくらいの軽さで侵略を提案するのやめない?」


 「あ、この前オルハに教えてもらったんですけど美味しいりんご飴のお店があるんですよ」


 「あら、いいですね」


 「いやいや待て待て」


 ギャラン様の呼びかけも虚しく、私とリーセ様はりんご飴のお店にいつ行こうかと相談を続けるのだった。


 「はぁなるほどねぇ」


 お昼休み、なにがあったかシャロに言うとある程度事情を知っているからか、一度頷いてから可愛らしいピンクの瞳から光が消えた。


 「謝って終わる話じゃないのにねぇ?……そいつ馬鹿じゃないの?うちのお兄様の方がマシなんじゃない?やります?」


 びっと首の前を手で横切る仕草を目が笑っていない笑顔でやって見せると、リーセ様が真顔でつぶやいた。


 「頼めます?」


 「待て待て待て待て、本当にできる人が言うと洒落にならないんだよ」


 確かに、シャロが本気を出せばロゼットロアだけでなくそれにつらなる傍系をも動かせる。

 そして海外にも知り合いも多い。

 あれ?これ?いけるのでは?と思っているも、シャロも王太子に言われてしまったからかつまらなさそうに口を尖らせた。


 「ちぇー……あ、でもいいリーセ?許したくなかったら許さなくていいのよ?何かあったら私が何とかするから」


 「シャロ、かっこいい……」


 「あぁ、そこがときめくんだな……」


 なるほどなと呟いた後、いいタイミングで鐘がなった。


 そして放課後、ロゼットロアの竜車で王宮について、事のいきさつについて軽くニーチェさんに言うとさも当然のような表情を浮かべていた。



 「え?同席?全然いいけど?というかしない理由がないし」


 「ありがとうございます」


 というか心配だし、とニーチェさんは即座に同意してくれた。


 「守備表示とか言ってたくせに……」


 「まぁなんでもいいよ」


 ギャラン様の言葉に頼られる分にはいいけど?と何も気にしてない表情でいうニーチェさんに私とギャラン様は感心してしまった。


 「大人だぁ」


 「まぁこの中ではな~……まぁじゃあ行こうか?」


 まるでピクニックにいくような気楽さで、ニーチェさんに促されるとあれ?これから私たちピクニックにいくのかな?と錯覚してしまうのだった。

いつも読んでくれてる皆様、初見の方閲覧ありがとうございます。

いいね、評価してくれる方本当にありがとうございますとてもモチベーション向上につながっております。


お暇なとき気軽な気持ちで評価、ブクマ等していただけたら幸いです。

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