ぼんやり令嬢の若干無事ではない帰還
「フルストゥル嬢、大丈夫ですか」
「ルギオス様……」
ニーチェさんのことを考えていたせいか、ルギオス様が目の前にいることに気が付かず、少し反応が遅れてしまったがルギオス様はそんなことは気にならなかったらしく、すぐに私が転んだであろうことに気づいたのか、いつもそこまで表情が変わらないのに一瞬だけだが、凛々しい眉が私同様に垂れたが即座にいつもの表情に戻り、何故か私の足元で屈んだ。
「?どうしました?」
「……血が出ているので止血しますね」
「え?」
ルギオス様の発言に自分でも驚き、口を開けて驚いているとルギオス様も驚いていた。
そりゃそうだろうけど、そんな顔できたの?という驚きがありつつも、大差で申し訳ない気持ちになってしまった。
「気づいてなかったんですか?結構血が出てますけど」
応急手当をしながら、また呆れは無くシンプルな驚愕の表情をされて、思わず視線をそらしてしまった。
そんな驚かなくても……いや、もしかしてものすごい血が出てたりするのかな?
……やっぱ見なくて正解かも、立ち直れないかもしれなかったし……。
「いやぁ……ひねった自覚はあったんですけど……目視する勇気はでなくて……」
「ひねったんですね……というか見ましょうよ……破傷風とかもありますし痕が残ったら大変ですよ」
「すいません。なんか、この心細さでえげつなく怪我してたら、心折れかねないなぁっておもって……」
怒られたような気分になり、少ししょんぼりしながら言い訳を言っていると、ルギオス様がいつもの冷静な、でもどこか妹に向けるような……。
そうたとえるならそう、よくニーチェさんから向けられる表情によく似ていた。
「怒ってないですから……少し、失礼しますね。ひねったなら固定もしておきましょう」
言うや否や、とても慣れた手つきで、素早く、くじいた足に添え木をして固定してくれた。
足のケガの手当の時も思ったけど、どこから出したんだろうその割と本格的な救急セット……神殿印なのかしら……と、のんきに考えていたら、現実逃避をしていたバチが当たったのか、包帯を少し強く巻いたのかその刺激ですこし痛みが走った。
「いっ……」
「……痛みますよねあと少しですけど歩けますか?台車は私が引いてきます」
流石に、婚約者でもない男性が無暗に体をさわるのはよくないだろうし、というルギオス様の発言にそれはそうだしむしろありがたいなとさえ思い、即座に首を縦に振った。
「ありがとうございます……」
心の底から感謝を述べた後に、確かに荷物が減ったからかそれとも止血をしてしっかり固定もしてもらったおかげか、痛いことは痛いが、かなり歩くのは楽になった。
ルギオス様の後ろをゆっくり歩いて数分するとようやくコテージが見え、安心からため息とともに軽く目頭が熱くなるような感覚があったが、ぐっと堪えながらあと少しと思いようやく着いたと思うと同時に、扉が開きシャロが駆けつけてくれた。
「フルル、大丈夫だった?」
「しゃろぉ~」
シャロの顔を見た途端安心して色々ぶり返したかのように抱き着くと、シャロはされるがまま抱き着いた私の背中を、シャロは優しくぽんぽん叩いてくれた。
「うんうん、大変だったわね……ルギオス様もありがとう」
私を撫でながら、姉のようにそういうも、ルギオス様の表情は曇っていた。
うそぉ……シャロに感謝されてそんな表情浮かべることある?もしかして正気を保つために歯を食いしばってたりするやつ?それなら理解できるけど……と、のんきすぎることを考えていたがその予想は当たり前のように外れていた。
「いえ……むしろもう少し早くついてればフルストゥル嬢が怪我することもなかったのに……」
そんなこと気にしなくていいのに、ルギオス様が責任感感じ必要なんてこれっぽっちもないのに、真面目なんだなぁという思いと、ようやくコテージについた安心感で、緊張感が全て解けた。
「いや、ルギオス様が迎えに来てくれてなかったら深夜までかかってましたよ。本当に助かりました。ありがとうございます」
そしてそうなったら泣いてただろうなぁと思いをはせているとシャロはそれは無いと即座に首を横に振った。
「流石にそんな時間になる前に私が迎えに行くし捜索隊頼むわよ……」
「しゃろぉ~」
「はいはいっと」
シャロに抱き着いて安心を享受していると、裏で食事を作っていたであろうギャラン様がひょこっと顔を出した。
「遅かったなー大丈夫だったか?」
「……一発足くじいてやりましたよ」
謎の決め顔でそういうも、ギャラン様はさらりとそれを流した。
「無事じゃないなーそれ」
「やってしまいましたよ……あ、でもリネンは無事です」
安心してください。といったが、その言葉に殿下だけでなく、ほぼ全員がそんなことよりもと私をソファに座らせた。
「ありがたいけど、ちゃんと手当しろよ?」
「応急処置はルギオス様がやってくれました」
「へぇ……器用なんだなありがとう」
「え?あぁはい……」
「「?」」
何でギャラン様が感謝を?と私とルギオス様が首を同じ方向に傾けていると、ギャラン様は嫌みなく答えた。
「いや、姉さんにフルルちゃんのことよろしくね~って言われてるしさ、ニーチェさんめっちゃ心配してたしさぁ」
「あーなるほど……でもコレ自業自得みたいなもんなんで大丈夫です」
二人に申し訳なさを感じつつ親指を立ててみたが、何故か班の全員が何とも言えない表情を浮かべていた。
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