ぼんやり令嬢はそこまで途方に暮れては無いようです
昨年はお世話になりました。
今年もよろしくお願いします。
「さてと、どうするんだろうねぇ私は」
よっこいしょと言いながら雨を眺めると、この後やむか、それ以上にふるかわからない微妙な空模様で、どうしようかなと思いながらもう一度籠と台車を見てから、更にここまでどれだけ時間をかけてきたかを考えて、どうにか絞り出した答えは台車とか自分にうすーく防御魔法かけてゆっくりコテージに戻るという戦法?戦法?なにと戦うんだ私は……と思いながら、リネン類に手を伸ばし、文字を書くように手を動かした。
「守り揺蕩う羽衣となりて……と」
そう空中に文字を書くと書いた文字が白金色にふわふわと浮かびあがり、そのままヴェールのように荷物と私を包んだ。
休暇中にお父様から教わった魔法だが、うまくいったようでヴェールがしっかりとかかっているのを目視した後に何度もつついて確認したので間違いは
ないだろう。
「帰るかぁ……」
これで帰るとなるとパッと見た感じ、傘も何も差さずに……しかもまぁ私の魔力も微弱なもんだから雨に濡れながら歩く私が完成するわけだけど……。
これ、マオ先生がみたらすごい心配する図だよなぁ。いじめかな?って思うよなぁ……。
でも、戻らないわけにはいかないしなぁと心の中でぼやいた後にゆっくりと小屋を出た。
「あ、案外いけるかも?」
そう口から出てくるくらいには、雨の勢いは少し落ち着いていており、むしろ葉っぱとかから滴る雫の方が多い気がした。
一方その頃コテージでは、窓越しに外を見ながらレベッカがぽつりとつぶやいた。
「雨、大丈夫ですかねフルストゥル様は……」
と、レベッカが心配そうな表情を浮かべると、それをみたシャルロットがいやいやと小さく首を横に振った。
「大丈夫じゃない?傘程度の防御魔法ならあのこ使えるし……」
流石にそこまでと言いかけたところで、レベッカがゆっくりと首を横に振った。
「いや、それもそうですけど……転びませんかね?脚とか滑らせて……」
「あぁ、全く否定できないわねそれ」
その図が簡単に想像できたシャルロットがうなだれながら、迎えに行こうかなと呟き立ち上がろうとすると、リーセもそうですねとそれに続くその図をながめていたラフレーズが口を開いた。
「なぁんか……過保護すぎません?フルストゥル嬢に対して」
「ラフレーズ様は分かってないですね……あのこのぽやっと具合を……」
「?ぽやっと具合?たしかに抜けてるとは思いますけど」
あと、空気が妙に重くない?と付け加えると同時に、シャルロットが深いため息の後にゆっくりと口を開いた。
「ぽやっとていうか、危機管理能力がないというか……自分のことに無頓着というか……」
「えぇ?それってどういう」
ラフレーズのその問いに、シャルロットはまた深く深く、まるで肺の中の空気を全部抜くかのように、また息を吐いた。
「……元婚約者に壁にぶつけられて脱臼しかけてもびっくりしたぁで済ますような子なのよ……」
「えぇ????」
ラフレーズの驚きを加速させるように、シャルロットはさらにつづける。
「母親に人格否定されて顔叩かれてもそれもそっかぁで済ませる子なのよ」
一年生の頃のことをおもいだいて苦々しい表情を浮かべたのが信ぴょう性を増幅させたのか、シャルロットのその言葉に、ラフレーズはまた同じように表情を歪めた。
「えぇ????」
「あと、休憩の鐘にもたまに気づかないのよね……」
あぁそれはそうと言いたげにレベッカも苦笑していた。
「それはよく見ますけど……って何ですか?肩を脱臼しかけたとか、母親に……ってそれ虐待じゃないですか?というか、それなのに平気な顔しすぎじゃないですか?」
「あの子、自分のために怒る、泣くまでの導線が長いのよね……結局、怒ると言ってもそこまで怒鳴るわけじゃないし……顔は怖いけど」
「案外、チェーザレ様に似てるんですかね?」
「あぁ…伯爵も怒ると怖いらしいからね……ってちがうちがうとにかく心配ってことよ……ちょっと迎えにいこうかしら……」
なんでこういう流れになったのかしら?と疑問に思いながら、シャルロットがぶつぶつ考え込み立ち上がると同時に、コテージのドアがひらき、眩い黄金の髪が視界へと映り込んだ。
「何があったんですか?」
その言葉と共に現れたのは、先ほどまで狩猟の見学に同行していたルギオスで、コテージ内のそわそわした空気を察したその言葉に、レベッカが答えた。
「ルギオス様……あれ?他の生徒は?」
「あちらの小屋で獣を解体してる、手は十分に足りてるそうだから荷物を下ろしに来たんだが……フルストゥル嬢は?」
「それがね、ルギオス……」
いいながら、ルギオスの側にラフレーズがちかより耳元でひそひそといまの状況を伝えると、ルギオスもシャルロット同様心配そうな表情を浮かべた。
「なるほど、それは心配ですねたしか小屋はあちらですよね?」
ルギオスの言葉と指差した方向にその場にいた全員が頷くと、何の迷いもなくルギオスは頷いた。
「自分が迎えにいきますよ。シャルロット嬢たちはここでお待ちを」
そしてルギオスは誰の返事も待たずに再び外へと向かった。
その姿はまるで端から見れば、女子生徒を危険にさらすまいという紳士的な行動に見えたが、その内心、心配とようやく巡ってきた好機を実感しているなどきっと誰にも気づかれてないだろう。
ただ一人、ラフレーズを除いては
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