ぼんやり令嬢はその場にしゃがみ込んでしまうそうです。
今年ラスト更新です。
更新頻度落ちてしまいましたがそれでも見てくれている皆様本当にありがとうございます。
来年も引き続きまったり進めていきますので長い目で見ていただけるとありがたいです。
今年もお世話になりました。
その後、周辺やコテージを見た後に、夕飯の食材の調達のためにギャラン様たちは森へと入っていった。
森と言っても点検澄みだし、ある意味安全だから実戦的なのかどうかは分からないけれど……とりあえずギャラン様いるし大丈夫だろうと、いやいや逆逆、こちらが守らなきゃなのよという意見もあるが、ギャラン様に対しては心配する方が逆に失礼なのでは?まであるし……と思いながら、さてコテージ内のことをしようかなと思っているとレベッカ様がうずうずしていた。
「私も行ってきてはダメですかね」
「レベッカ嬢、明日にしなさい」
「そうですか……」
シャロにきっぱりといわれ、少しシュンとしたレベッカ様の普段見せない表情を可愛いなぁと思いながらコテージの中へと戻り、この後を何をするか考えた。
「さて、この後どうしようかしら」
「そうですね」
「確かに……」
時計の音しかならないほどの静けさの中。
もう一度周囲を見た後に、ラフレーズ様が呟いた。
「ちょっと先回りしていろいろやります?」
「そうね、何もしないよりもましでしょう」
シャロのその言葉に、お、そことそこが珍しく意見のが一致するんだと思い目をぱちぱちとしていると、ラフレーズ様と目があったがいつものように目を吊り上げることは無かった。
それに胸をほっと撫でおろした後、外へ出ると少し風が出ていたせいで前髪が煽られたが、それを直していると、他の班の面々もちらほらと外に出ているのが見えた。
「……他の班も同じ考えみたいですね」
「そうねぇ、まぁ引きこもっていても時間が経つのが遅くかんじるだけだしねぇ」
シャロのその言葉を聞いて、私はうーんと首をかしげてのほほんとした気持ちで続けた。
「やれと言われればロッキングチェア占領して編み物で時間潰せるけどね」
「誰もそんな指示出さないのよ」
「だよねぇ~とりあえず、混む前にリネン類もらってくるよ」
基本、この課外授業ではやることは大体決まっているが明確な時間割りはほぼない。
ざっくりいってしまえば、炊事洗濯、食材の入手などができ、生活できればそれでいい。
聞けば聞くほど、なんともまぁざっくりとした授業内容なのだ。
元々、この課外授業は貴族生徒のみの避暑会だったものが、もっと生活できる力をつけたほうがいいだろうという、陛下と王妃の意見で変わったらしい。
あえてざっくりしているのは、自主性とかそういったものへの観点なんだろうか……と、わかりもしない尊きお方の思考を考えつつ、もう一度しおりに目を通した。
いつどのタイミングで狩りをしようが、シーツを持ってこようが自由なのだが、大体しおりにかいてある流れでやることが多いため、食後にリネンをとりにいく生徒が多いらしい。
混んだら大変だし、それくらいだったら容易だろうという思いで提案したら、シャロも異を唱えることなく頷いた。
「ありがとう、私たちは男子が戻る前にすぐに料理とかできるように物をそろえたり燃えやすいもの集めてくるから」
「はーい」
いってきまーすと子供のように答えると、レベッカ様がとてもとても心配そうな表情を浮かべた。
「結構重くないですか?」
「大丈夫、たしかそこに台車ありますし」
レベッカ様の心配にぐっと親指を立てて答えると、シャロがうんうんと頷いた。
「レベッカ様、私がフルルに力仕事任せると思います?」
「いいえ、全く」
レベッカ様が間髪入れずに答え、なるほどこれは後でギャラン様に謝らないとな、と思いながら地味に痛い言葉の刃をゆっくり抜いた。
「即答されると傷つくんで五秒ためてもらっていいですか?」
「逆に五秒待てばいいんですね」
「事実なんでね……」
きょとんとした表情を浮かべるリーセ様にそう答えると、レベッカ様がすいませんと小さく謝っていたがそれに大丈夫と答えたあとに、お散歩気分でリネン小屋へと向かった。
「はぁ…………」
少し歩くとため息に近い息が思わず漏れでた。
多分、身体的な疲れではなくなれない環境での疲れかなぁ……と、もう一度深呼吸をすると、緑が豊かなお陰か胸がすっと通ったような気分になった。
そういえば、最近森林浴って聞いたことあるなぁ~誰からだったっけ?お姉さまからだっけ?とか山の天気って変わりやすいらしいけどなんでかなぁ~様々なことに思考を巡らせていると、ようやくリネン小屋にたどり着いた。
といっても中に誰かいるわけではなく、淡々と必要な分のシーツ類を籠に入れ、さぁ台車に乗っけようかなと意を決してそれらを一気に持ち上げようとするも微塵も動かなかった。
「え?微動だにしないことある?」
うそでしょ?とあまりに令嬢らしくない……といっても今更だが、素っ頓狂な声を出した後、ほんの数秒経ちなんだか虚しい気持ちがふつふつとわいてきて大人しく少ない量を何回も何回も、棚と籠を往復してようやく入れ終わり、さてとと、外に出ようとするとどうやら山の天気が変わりやすいというのは本当だったらしく、雨がふっておりあまりのついて無さにその場にしゃがみ込んでしまったのだった。
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