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ぼんやり令嬢とちょっと心配な出発前

「相変わらずだなぁ……フルストゥル嬢は」


 「?どうも?」


 けらけら笑うギャラン様に首を傾げながら返事をしていると、ラフレーズ様がいやいやと頭を横に振っていた。


 「いや、何納得してるんですか!?普通じゃないっていってるんですよ」


 「そもそも普通の婚約関係とは?」


 「そこから?てか私が知ってるわけないじゃないですか」


 「えぇ???」


 

 じゃあ、何と比べて普通とか言ってたのぉ?という驚きを抱えていると、ギャラン様がフォローするように間に入ってくれた。


 「まぁ、ニーチェさんとフルストゥル嬢は年も離れてるし、元ブランデンブルク侯爵子息に虐げられていたことも知っているしな、何より婚約者以前に仕事仲間的な側面も強いから、少し過保護になっちゃうのかもな」


 流石ギャラン様、簡潔に早く答えを言ってくれて、当事者である私より理解してるなぁとまるで他人事のように聞いていると、私の横で同じように納得しているラフレーズ様も、一瞬で我に返り余裕そうな表情を浮かべた。


 「ふぅん……でもあれでしょう?王女様に言われての婚約関係でしょ?」


 「お気づきになられましたか……」


 「どこの立ち位置からの発言なんだ?」


 即座に返答をしてきたギャラン様に、流れでそのまま質問を投げかけた。


 「いやぁ、普通の婚約者同士ってどういう感じなんだろう?わかります?」


 「なぁんで、婚約者がいない俺に聞くんだ?」


 その言葉を聞いてあぁ、本当に忘れてたわと思いなおり、そこまで気にしてなさそうなギャラン様に深刻に謝るのもなぁ~と、いつものように軽く頭を下げた。


 「…………すいません、なんでもわかるかなーって思って」


 「俺は智慧の神かなんかだと思われてるのか?」


 いや、流石にそこまでは…と言おうとしたが、ふと視線を感じそちらに目を向けると、おそらくギャラン様に好意を寄せているであろう他のクラスの女子生徒がこちらを羨望とやや、憎しみ?嫉妬のようなものが織り交ざった視線を感じ、ギャラン様とその後軽く話した後はほとんどシャロやレベッカ様たちとずっと話すことにした。


 別にギャラン様のことは全然嫌いではないけれど、なんていったってアイン様の弟だし……でも、恋愛対象に入るかといえば否、こんな眩しい存在常に視界に入れてたらえらいことになるのは明白ですし、務まらないって王太子妃なんて……。


 現実的にそんな器量があるのってシャロとか?要領の良さで言ったら一番くらいだし?

 でもシャロは「王太子妃になれと王命であれば引き受けるけど……」というほど消極的なんだよなぁ。

 ロゼットロア公爵家はかなりの名家だから、そこまで権力や特権に惹かれないのかも?あと、王族ってかなり大変だろうしなぁ……と、遠い目を超えて目を閉じてしまった。


 とにかく、ギャラン様とは最低限の接触で、と思ったが……冷静に考えて無理じゃないかな?

 そういえば班同じだったわ……。

 あぁ……どうしよ……。

 シャロにくっついてようかなぁ……あと、リーセ様やレベッカ様にくっついてようかなぁとか考えているうちに、気が付かなかったが先生の話が終わっていたらしい。


 要点全部、聞き逃したので後で全部シャロに聞こう。

 勿論先生にばれないようにと心に秘め、各々の班ごとに集合した。


 「ただの注意喚起だったから特に覚えておかないといけないことは無いけど……初日からぽやぽやしすぎじゃない?」


 「ぐぅ……」


 「あっさりぐぅのね出すんじゃないの」

 

 もう、といいながらシャロにほほをもまれているとレベッカ様がふむという表情を浮かべた。


 「私もさわっていいですか」


 「いいわよー」


 「まさかのシャロが許可出すんだ……いいですけども」


 「では遠慮なく」


 「あぁ~小顔になっちゃう~」


 そのやり取りを見て、リーセ様はにこにことほほ笑んでおりまた少し離れたところにいる同じ班の男子生徒は、何故か親戚のような表情を浮かべていたが先ほどまで私を睨みつけていた女生徒の一部も、あれは敵にもならないわと言わんばかりの表情に変わっていった。


 最初からそうして~と叫びたかったが、品がないよなそれはと思いとどまった。


 「じゃあとりあえず、行く前に役割分担とかの再確認するぞー」


 ギャラン様のその呼びかけで、はーいと集合する様はなんだか初等部の遠足みたいだなぁとほっこししつつ、その流れだと私も生徒側なんだよなぁと脳内でぼやきつつも、揉まれすぎた頬を撫でながらそこに少し遅れて混ざった。


 「なぁ、この小動物の狩猟ってべつに大きいの狩れたら狩ってもいいのかな」


 と、無邪気なギャラン様の発言に少し固まってから


 「えぇ……」


 と、戸惑いと心配と驚きが混ざった声が出てしまった。


 危ないですよって止めるべき?

 誰が捌くの?って聞くべき?と聞く前にマオ先生がはぁとため息交じりに、淡々と答えた。


 「処理できればいいですよ」


 「はーい」


 「……処理……」


 処理って解体とか?流石に鳥やウサギ、大きくて狐くらいならできるけど、それより大きいのはできるけど……それより大きいのは……と、戸惑っていると、私を安心させるかのようにさわやかな笑顔でレベッカ様が答えた。


 「あ、私出来ますよ」


 「大丈夫、俺もできるから」

 

 と、ギャラン様が笑顔でそれに返し、ありがたいけど何でできるの?という私の戸惑いをよそに最終確認が始まるのだった。

いつも読んでくれてる皆様、初見の方閲覧ありがとうございます。

いいね、評価してくれる方本当にありがとうございますとてもモチベーション向上につながっております。


お暇なとき気軽な気持ちで評価、ブクマ等していただけたら幸いです。

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