ぼんやり令嬢と聖女の質疑応答
そういえば、先生たちとすれ違いにならないかな?と不安になりながらも多分クリスティーナ先生は優しいし、無駄に歩かせてみたいに怒ることも無いかなと思いながらも、本来なら私がラフレーズ様の前を歩いたほうがいいんだけど……もしかしてラフレーズ様この広すぎる学院の完全に把握してるの?すごい……私だって一か月はかかったのに……その二か月後には休学したのに……、しかも休学したあともしばらくさまよってたのに?
と、半ば尊敬のような気持ちでじっと背中を見ていると、その視線に気づいたラフレーズ様が綺麗な髪をゆらし振り返った。
「?何ですか?」
「もしかして、もうこの学院の地理把握したのかなーって」
「しましたけど?」
それが何か?とマウント取るような感じでもなく、そのままの意味で聞いてくるラフレーズ様に思わずわたしは一瞬口ごもりながら、自分の至らなさが悲しくなるも口を開いた。
「いや、私入学当初全然学院の構造理解できなかったんで……」
一瞬固まった後、ラフレーズ様は信じられないものを見るかのように目を見開いた。
「えぇ?」
「はは……」
ラフレーズ様の大きな反応に乾いた笑みが漏れる私を、ラフレーズ様は首を傾げたあとに、うーんと呟いた。
「まぁでも、私たちは色んな孤児院や教会、同じ系列の機関によく行くから建物のことを理解するのは早いかもしれませんね」
「おぉー」
「おぉーって……あの、一応王宮に通ってるんですよね?」
それでよく務まりますね?とほぼ心配そうな、それこそシャロがよく浮かべる表情を浮かべられ、気まずい思いのまま答えた。
「基本、同じところしか行きませんし……王宮内だとほとんどアイン様かニーチェさんと仕事柄ずっと一緒ですし……」
「ふぅん……」
「あぁ、えっと変な意味じゃなくて」
なんかこう、自分王族に気に入られてますよアピールに聞こえても仕方ないけど、いってしまったことは戻せないし……と固まっていると、ラフレーズ様は呆れたように答えた。
「……そーゆー感じの人じゃなさそうですものね。フルストゥル様って」
「うん?ううん……うんまぁね?」
若干馬鹿にされてるような?いやでも激昂されるよりかはいいか……と謎の安心を覚えつつ、意外と教室まで遠いな……ちょっとした旅なのでは?とかおもっていると後ろから予期しない質問が聞こえた。
「ルギオスのことどう思っていますか?」
「?ルギオス様のこと……ですか?」
どうして突然そんなこときくんだろうと思ったが、やっぱりなんだかんだ同期だからなのか気になるのかな?それにアイリナ様の騒動もあったし、謝罪の件も聞いたのだろう少し心配もしてるのかな?よしここは安心させるためにちゃんと答えようとラフレーズ様のほうをじっと見た。
「大丈夫です!!!何とも思ってませんから!!!」
「何とも?え?なにも?」
「ええ、何も怒ってないですよ謝罪もいただきましたし」
そもそも、元から驚いただけで怒ってないですし、ご安心をと付け加えた。
よし、これで完璧です。
これでラフレーズ様の悩みも解決でしょう!!!とちょっと得意げになっているとラフレーズ様は浮かない表情を浮かべていた。
「?どうされました?」
「私の聞き方がちがったかもしれません……ルギオスの家庭事情についてどう思いますか?」
唐突な質問に驚きながら、一度唸ってから当たり障りのないように答えた。
「いや、第三者がとやかく言うものじゃないと思うんですけど……?まぁしいて言うなら大変そうだなぁとは思いますけど……」
正直、それだけといってしまうと少し冷たいだろうか……?
ここで私が大げさにロバート様やエミリィ様のことを非難するのも、ルギオス様にひどく同情するのも、表面上のことしか知らない私が、浅い非難や擁護をするのも違うし、そもそもそんなことをしたら家同士の軋轢にもなりかねない。
第一に私、ルギオス様のことしらないしなぁと考えこんでいると、ラフレーズ様はぶつぶつと呟いた。
「うーん、脈なしってわけじゃなさそうだけど……いや、元々の気質?うぅん」
「?とりあえずつきましたよー」
「あ、あぁ……はい」
どこかしっくりこないような様子のラフレーズ様と共に、私はなんとか授業前までに教室に着くことができ、そのまま授業を受けたがラフレーズ様の質問の意図が全く分からないままお昼休みに突入した。
お昼休みに突入したと同時に、あの怪我していた男子生徒は一般生徒だったらしいことと、やぶれた服はクリスティーナ先生が縫ってくれたらしいことを聞いて、あぁ服にまでは気がまわらなかったなぁ……としみじみしていると、ラフレーズ様とした会話を思い出し、思わず口からそれが零れた。
「他人の家庭環境かぁ」
「こんな穏やかな昼時に出てくる言葉じゃないのよ……なにかあった?」
「何か?何かっていうほどのことでもないけど……なんとなく?」
私の言葉を聞いて、シャロがえぇ?といった後に、なにかあたりがついたのか答えた。
「マクシミリアン子爵家のこと?」
「あ、そうそうラフレーズ様にどう思う?って聞かれたからまぁ大変そうだなぁとは思うけどだけ言ったんだよね」
「何の意図があるのかしら?」
「さぁ?午後は班ごとにあつまるんだっけ?」
「そうですね」
にこにこと答えるリーセ様に可愛らしさを感じつつ、その日は疑問が残りながらも班ごとのミーティングが始まったのだった。
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