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ぼんやり令嬢と目が笑ってない友人

「なんか色々予想の範囲だったなぁ」


「何も予想してませんでした」


 全く私ってやつはと自分自身に呆れながら呟くと、ニーチェさんはいつものように頭を撫でてくれた。


「フルルは渦中にいたから仕方がないって……」


 相変わらず優しいフォローに感謝していると、ニーチェさんは心配そうに顔をのぞかせた。


 「にしても、一般生徒……特に男子生徒とかから攻撃とかはされてないか?」


 「うーん?遠巻きに睨まれることぐらいですかね?」


 レベッカ様がにらみを利かせてくれたのとホールでの一件もあったからか数は大分減ったけれど、すぐさますべてがなくなるわけでもない……。流石に一般生徒が貴族子女に暴力を振ったら、ただでは済まないことを知っているのだろう。

 ……だとしても敵意込められて嬉しくはないよなぁと脳内でぼやくのと同時にニーチェさんが肩を落とした。


 「怖いなぁそれは……」


 「まぁ、なにもしてこない……したくてもできないでしょうしね」


 なにせ隣にいるシャロが裏社会のトップか?と聞きたいくらい睨み返しているし、前世で人殺したことある?っていうほどの冷たい視線をレベッカ様が向けているしね……ちなみにリーセ様は無表情……怖い、逆に怖いって、境遇考えたらその程度、その辺に漂っている花粉程度としか思ってないんだろうなぁ。

 と色々と考えているうちにブティックの前に到着した。


 「とりあえず気分転換しよっか?」


 「あぁふ……」


 あいかわらず眩しい笑顔だなぁと思いながらも、嫌がらずにこういうお店に入ってくれる優しさお金じゃ買えないなぁ……ってまってブティック?本当に強い女になれる一式お化粧道具を一緒に選んでくれるってこと???

 私のたわごとに乗っかてくれるのはありがたいけど本当にいいのかなぁ……とニーチェさんを見上げると、ニーチェさんはにこやかな表情を浮かべて続けた。


 「流石に強い女一式セットは……うーんでも似合うと言えば似合うかも?」


 「あぁ……こちらのたわごとを申し訳ない……」


 「まぁまぁ見るだけでも結構楽しいってよく聞くし」


 「おおー」


 まぁ、フロルウィッチほとんど従業員さん女性だし、そもそも長年アイン様の側にいるからこそ、そういった言葉がするっと出るんだなぁと感心しながら改めてブティックを眺めると、どうあがいても老舗の高級店であまりの眩しさに目をぐっと閉じてしまった。


 「大丈夫かぁ?」


 「あまりの眩しさに……ふぅ」


 「煌びやかだもんなぁ」


 そんな風に話していると、ブティックの扉が開いた。


 「あら?フルル、ニーチェさんも」


 「わぁ天使だぁ」


 心の声を駄々洩れにいうと、大天使こと可愛い可愛いシャロはいつものようにつっこんだ。


 「せめて愛称でもいいから呼んでくれないかしら」


 「大天使シャロリエル様だぁ」


 「信仰の対象にしないでもらっていい?……というか来るなら言ってくれればいいのに」


 「?なんで」


 きょとんと首を傾げるとシャロは自慢げとかそういうものもなくあっさりとブティックを指さして言った。


 「しらないの?ここロゼットロアが支援している店舗よ土地もうちのだし」


 「土地持ちつよぉい」


 しかもここかなり立地がいいよねぇと遠い目をしていると、シャロは首を横に振った。


 「いや、地方とはいえ莫大な土地をもってる家が何言うのよ」


 「広いだけだよ~土地代は安いし」


 人より飼っている家畜とかの方が多い……いやそれは言いすぎかな?でも住んでいる方々ほとんどお庭あるんだよな……と、領地に思いをはせているとシャロがブティックのドアを開けてくれた。


 「とりあえず立ち話もあれだし入る?お茶くらい出すわよ」


 「ありがとー」


 「すいませんね」


 私とニーチェさんが各々頭を下げると、シャロは何も気にした様子もなく答えてくれた。


 「いいの、丁度色んな確認をしていたところだから」


 「相変わらずシャロは忙しいねぇ……」


 「そうでもないけど?」


 心の底からそう思っている……いや、実際シャロから家業の方が忙しくて疲れたとか聞いたことないし、それに成績もなんなくキープしているし、それが本当に苦労を苦労と思ってないんだろうなぁ、と心の底から尊敬しているとニーチェさんも同じ感想を抱いたのか感心したように頷いた。


 「流石、優秀と名高いロゼットロア公爵令嬢だな」


 「私が育てました」


 「明らかに誰が見聞きしても一発でわかる嘘だな~」


 「私は何を見せられてるのかしらねぇ~」


 もはや習慣化してしまった冗談の応酬の後にシャロはにっこりとほほ笑んだ。


 「行ってきたんでしょう?マクシミリアン家に話聞かせてよ」


 その表情は気絶するほどかわいかったが、桃紅色の瞳は一切笑っていなかった。


 ――知ってるこの表情、私の陰口を言っていたレヴィエ様の女友達に向けていたそれと同じだった。

いつも読んでくれてる皆様、初見の方閲覧ありがとうございます。

いいね、評価してくれる方本当にありがとうございますとてもモチベーション向上につながっております。


お暇なとき気軽な気持ちで評価、ブクマ等していただけたら幸いです。

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