ぼんやり令嬢の日常以上修羅場未満ランチ
誤字修正ありがとうございます。
「まぁ、すごい怒りっぽいフルルなんて想像つかないけどね」
リノンをはじめ、最近ではアイン様にも言われている文言で締められ、授業が始まったが直近で課外授業があるせいかやや実戦的なものが多かったり、座学に関してはキリの良いところまで行きたいのか詰め込み気味だったが、補習のお陰もあってかそこまでつまずかなくて済んだ……というのは、わかる何もかもが理解できるわけではなく、わからないところが分かる程度なんだけれど……と何とも言えない表情を浮かべているうちにあれよあれよという間に午前中の授業が終わると、申し訳なさそうな表情を浮かべたルギオス様が席の側に立っていた。
「……妹が申し訳ありません。」
「いや、えぇっと……」
むしろ、流石に怒られたり怒るは無いにしろ事実確認とかされるのではと思っていたからか、どうしたらいいかわからず一旦シャロを見るとため息をついていた。
「こっちも妹さんを見世物にして悪かったわ」
「いや、アイリナはあそこまでしないと自分が何をしでかしたかさえもわからなかっただろう……」
「あら?思ったより冷たいのね」
シャロが意外そうに眼を開くも、ルギオス様は淡々としており、以前なら人様の家だしそういうものかぁ……と深くは触れまいと流していたが、やっぱり母親のこともあるからかな?とやり取りを見ていると、ルギオス様がこちらを見て頭を深く下げた。
「本当に申し訳ありません。自分がちゃんと見ておけば……」
「いやいや大丈夫ですよびっくりはしましたけど……こっちもけっこうなことしちゃいましたし?」
いくら兄妹とはいえ、妹の行動を常に監視するだなんて無理だろう。
そもそも、学年以前に棟事態も離れてるしね。
こっちは食堂のど真ん中での土下座をスルーしたし、何もフォローもしなかったしなぁ……とただでさえ下がっている眉が更に下がるのが自分でもわかったが、シャロはそんな私の表情を見て肩を落とした。
「フルルは何もしてないけどね?」
その言葉に同意するようにルギオス様は一度深く頷いた。
「話は大体聞いてます。ベルバニア伯爵令嬢は何も悪くありません。勿論、友人を守ろうとしたロゼットロア公爵令嬢も」
「ありがとう。あれから妹さんはどうなの?」
「少し落ち込んでいますが……大丈夫でしょう」
流石に可哀そうなことをしてしまったなぁ……復帰できるといいんだけれど……と首を傾げるとルギオス様は首を横に振った。
「身から出た錆です。お気になさらず……それでなんですけど正式な謝罪がしたいのですが」
「いやいや、そんな大事にしなくとも」
気のせいかもしれないけど、やっぱり棘があるように感じるが、そこには触れないように努めつつ、どうしようかなと悩んでいるとシャロが横から助言をくれた。
「謝罪は受けたほうがいいわよ」
「なんで?怒ってないけど」
「それは知ってる。ルギオス様の体裁の為にも……ね」
「あー……」
きっとここで、いやそういうのいいんでって突っぱねたら突っぱねたでルギオス様が子爵から怒られたり、神殿から何か言われたりするんだろうな。世知辛い、何より自分の行動で何も悪くないルギオス様が色々言われるのは嫌だなぁと数秒の間に考えてから頷いた。
「……わかりました」
と、それだけ言うとルギオス様はほっとした表情を浮かべていたのを見て、あぁそういう表情もできるんだと失礼なことを考えてしまっていたのだった。
そして日取りを約束をして、ようやくお昼を食べようとするとよく見慣れた人影が目に入った。
「ニーチェさん」
「フルル、それにシャルロット嬢も」
「いや、美味しいな食堂のサンドイッチは」
いや、ものすごくなじむなぁこの人……ほとんど学生しかいないのに馴染むなぁ……とじーっと見ていると、ニーチェさんは首を傾げ、私の顔を覗き込んだ。
「ん?どうした?」
「ぬぅう」
至近距離に美形は心臓に悪いという気持ちからよくわからないうめき声をあげると、ニーチェさんは不思議そうに首を傾げた。
「ぬ?」
「いちゃつくならよそでやってくれない?」
頬杖をつきながら呟くシャロに私とニーチェさんは思わずそちらを向いてしまった。
「どこをどうみてそうなるの?」
「ごめんごめん」
「まったくもう、ちょっと待っててねフルルの分ももらってくるから」
「ありがとう~」
鮮やかに併設されてるベーカリーに向かうシャロを見送ると当たり前だが、ニーチェさんと私、そして少し離れたところにルギオス様という異色すぎる三人が残された。
「そういえば、話が少し聞こえたんだけど……謝罪の場に俺も行っていいか?」
一体いつから話を聞いていたのか、ニーチェさんのその言葉に私は思わず顔をあげ、まじまじとニーチェさんの顔をみてしまった。そんな私の表情に気づいたのか、ニーチェさんは優しく私の頭を撫でて続けた。
ルギオス様はその様を、ぐっとこらえるように見ているが、ニーチェさんは構わず続けた。
「仮とはいえ婚約者だからな……それに俺が知らないところでフルルが傷つけられるのは嫌だからさ」
「……もちろんです」
どこか苦虫を噛み潰したような表情をしたルギオス様にニーチェさんは、誰がみても爽やかな表情で答えた。
「ありがとうな、あとその場に君の妹さんも同席してもらっていいかな?聞きたいことがあってね」
「?はい、いいですけど……」
そうルギオス様が答えたと同時に私が首を傾げると、戻ってきたシャロも首を傾げた。
「なにこれ、修羅場?」
「違うと思う」
けど、どういう状況なのかと聞かれたらどう答えるのが正解なのかよくわからないなぁと思いながら、野菜多めのサンドイッチを受け取るのだった。
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