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ぼんやり令嬢の気まずい登校

翌日、伯父様からの提案でいつもは最寄りまでの送迎だが、今日からは万が一を考えて正門まで送ってくれることとなった。

 伯父様曰く


 「昔、姉さんの噂を聞きつけて色んな所から男子がこぞって来てね……」


 お母様、えっぐい美少女だったんだろうなぁ……何せ、ツーイお姉さまもそれはそれは輝く美貌振りまいてて通りがかる人10回は振り返るよ?って感じだしなぁ~と半分おもいつつ、オルハ……仕事増やしてごめんよ……と思っていると、オルハは全く気にした様子はなく。


 「別に距離が伸びたくらい大丈夫っすよ」


 とけろっとした様子だった。

 その隣でエフレムさんが、何個も録音機や護身のための魔道具を渡してくれ、あぁものすごく心配させちゃっているなぁ~と肩を落としつつ、学院へ向かった。

 学院が近くなれば近くなるほど、なんだか肩が重く感じるのは何故なんだろうか……と自分の中でもわかりきっていることが脳裏に駆け巡りながら、馬車から降りるとそういうことばかり考えていたからかやや視線を感じた。


 「帰りたぁい」


 「いいっすよ~」


 私の甘えた言動に怒るわけでもなく、むしろ即座に肯定したオルハを振り返ると、帰ります?と聞いてくるオルハを見て、そうだいつもリノンやエマの陰に隠れているがオルハもかなり私に甘いんだったと思い出し、肩を落とした。


 「主人が非行に走ろうとしてるのに止めないのかね」


 「お嬢が健康なら何でもいいっすよ俺は」


 割と整った顔でどこか孫を心配するおじいちゃんみたいなことを言うのが面白くって少し気がぬけ、思わず冗談が口から出た。


 「まぁ、優しいこんな優しいのになんでいい人がいないんだろうねぇ」


 「なんででしょうねぇ」


 「ふっありがとうオルハ、行ってくるね」


 「お気をつけてぇ~」


 オルハと普通に会話をしたおかげかよくわからない緊張は少し解けた。


 「おはようございます」


 「おはようシャロ」


 気のせいか、シャロと合流してから更に視線を感じたがよくよく見てみれば敵意のようなものではないからいいかぁ……と日和見することにした。

 

 「まぁ流石に昨日の今日で攻撃しようとか馬鹿なことは思わないでしょうよ……むしろ自分たちの処遇の方が心配なんじゃない?」


 全く、と呆れたようにシャロがため息をつくと、こちらを見ていた人々があからさまにざわざわしているのを見て、いやいや肉食獣に睨まれた小動物じゃないんだから……と肩を落とした。


 「何もしないのにねぇ……」 


 「いや、しなさいよというか両親に相談とかしたの?」


 シャロの叱責と問いかけをしっかり受け止めた上で、私は首を横に降った。


 「え?しないけど?」


 リノンは親代わりみたいなところあるけど、厳密に言うと親ではないしなぁ……伯父様も親族ではあるけど親ではないしね、と納得するもシャロはいやいやと首を横に振った。


 「いや、しなさいよ」


 「やだよ。どうせお母様は私の話なんて聞いてくれないよ。お父様にもこれ以上心配かけたくないし」


 なんなら相談だけでビンタをされるのよと付け加えたい気持ちを抑えながら、頭を押さえながらシャロは呟いた。


 「……チェーザレ様にだけ言えばいいんじゃない?」


 シャロの言葉にいやいやと今度は私が首を振って答えた。


 「お父様、王都が嫌いなのにこんなことでいちいち来るの可哀そうじゃん?あと、大変だろうし」


 「親思いと言うか、なんと言うか……まぁ無理にとは言わないわよ?家の事情はわかっているつもりだし……」


 「ありがとうねぇ」


 シャロは親との関係も良好なのに、私にそんなの駄目よといって親との対話を無理強いしないあたり本当にありがたい、人によっては他人を自分の枠に納めようとするからと領地にいる母を思い出して肩を落とすと目線の先に嫌でも目立つ赤い髪が目に入った。


 「あ……」


 「あぁ、今日から復帰みたいねぇ……全く王族に喧嘩売って生活できるって神殿は怖いわねぇ」


 「まぁ、アイン様大分平和主義だから……」


 その後、ドミニオン伯爵家、王家や神殿両方から、かなり絞られたってアイン様とニーチェさんから聞いたけど……そこまで聞いてもラフレーズ様の表情が曇っているようには見えなかった。

 ……なんというか、うん強いなぁ。

 

 「さっさといきましょうか」


 「うん」


 また何かあることないこと言われたらたまったものじゃないという意見が合致して、やや速足で教室へと向かった。


 「へぇ、じゃあニーチェさんが色々と調べてくれることになったんだ」


 「申し訳ないけどねぇ」


 事の顛末をシャロだけでなく、レベッカ様やリーセ様にいうと全員がうんうんと深く頷いた。


 「なんか安心しました」


 リーセ様がほっとしたような表情を浮かべると、レベッカ様もそれに続いた。


 「ですねぇ……フルストゥル様あまりにも怒らなさすぎなのでは?」


 「?そうかなぁ……別に変な二つ名くらい可愛いものじゃない?一般生徒からは何もされてないし?」


 そもそもいちいち怒るの面倒だしと付け加えると二人はがっくりとうなだれた。


 「……心配になってきました」


 「私の気持ちわかってくれた?」


 「「はい」」


 シャロの問いかけに二人は即座に、それは全くおんなじ表情で答えたのだった。


 「うーん」


 それに関して私はどう反応するのが正解なのか分からず、課外授業ってお菓子もっていっていいんだっけ?とか考え出すのだった。

いつも読んでくれてる皆様、初見の方閲覧ありがとうございます。

いいね、評価してくれる方本当にありがとうございますとてもモチベーション向上につながっております。


お暇なとき気軽な気持ちで評価、ブクマ等していただけたら幸いです。

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