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ぼんやり令嬢の鮮やかな疑惑解消

再生機から出てきた証拠は、約束もなく王宮へ殴り込みアイン王女に証拠も何にもない悪意による発言と不敬すぎる物言い、そして私への印象下げ発言もおまけに聞いて、アイリナ様だけでなく周囲の方々も顔色が真っ青にみるみる変わっていった。


 「え?」


 「ちょっとこれは……」


 と、ラフレーズ様の言動に若干引く人たちをはじめ様々な反応があった。

 これだけ人がいればそうなるよなぁ、と他人事のように耳を傾けていると他の意見も入ってきた。


 「これ、本当にラフレーズ様?」


 「捏造されてるんじゃあ……」


 ぽつりと聞こえたその言葉に、やっぱそうなるかと思いゆっくりとほほ笑んだ後に控えめに手を挙げた。


 「……この中に機械に詳しい方はいますか?」


 「あ、自分得意です」


 勇気をもって手をあげてくれた彼はのローブとワッペンの模様をみると機械工学科らしく、なるほど信用できるなと頷いて再生機を渡してから更に周囲に呼びかけた。


 「出来たら複数人いてほしいんですけど」

 

一人では、何か私が不正を働いているのではといぶかしがられるし、いろんな意見があったほうがいい

 じゃあ自分もと何人かが手をあげて、シャロが前に促しアイリナ様から再生機を渡してもらい彼らはしばらくいじっていたが全員が首を横に振った。


 「これは……なにも細工されてない……むしろ純粋な記録しかできない機能しかない、その代わりに、外部からの編集や捏造に対するセキュリティがとてもしっかりしてる、どう考えても無理だ」


 一人がそういうと、確認をしていた他の生徒も同意見のようで頷いていた。


 「え?じゃあ本当ってこと?」


 「え?でも……」


 ざわざわと騒がしい声の中にはラフレーズ様をそれでも信頼する声や、私のことを疑わしく思う声も聞こえた。

 色んな意見が出るだろうなということは覚悟していたのと、とりあえず再度ほほ笑んで告げた。


 「私のことが信じられないなら調べてくれて結構ですよ?」


 やましいことは少なくとも自覚ある範囲ではしていないし、という自負でそう告げるとほとんどの方がいや別にそこまでするほどではないけどという気持ちだったんだろう。

 ほとんどの人はそこで口を噤み、私の小さい声でも聞こえるかな?と脳内で軽く計算してから顔から笑みを消し、アイリナ様をまっすぐみて告げた。


 「もしかしたら誤解があったかもしれないですけど、私からラフレーズ様を邪険にしたりだとか蔑ろにしたりだとか、そういった幼稚なことはしていないとアイン第一王女と我が家門に誓ってありません……それでも疑わしいと思うなら」


 そこまで言い切ると、先ほどまで私に懐疑的な視線を向けていた一般生徒も、自分たちがただの噂だけ、もしくは一方の意見だけをうのみにしてしまったことを自覚したのか、また証拠を見て思い直したのか、それとも王女の侍女見習いという肩書と、私が一応貴族令嬢だということを思い出したのか、その視線も攻撃力を失っていた。

 

 「あ……え……」


 あまりに自分が信じていたものが全部違っていた事実に追いつけていないのか、アイリナ様はがたがたと震えているのを見て、さてとこれからどうしようかな、と考え始めた。

 シャロやレベッカ様だったらここでなにかしら軽く何か制裁を加えるだろうけど、私は誤解が解ければそれでいいし、ここまで青ざめて周囲の視線にさらされているだけでもう十分じゃないかね?とりあえずご飯食べていいかな?とか暢気なことを考えていると、人ごみをかき分けてルギオス様が現れた。


 「アイリナ、何をやっている」


 「お兄様……私、違くて……」


 ルギオス様は怯えるアイリナ様を一瞥して、周囲の人に深く頭を下げた。

 きっと、なんとなく状況が分かったのだろう。


 「……皆様、妹がお騒がせしました。」


 さぁ行くぞとアイリナ様の手を引いて颯爽と去っていくと皆、散り散りと去っていきその中の声には


 「誰だよレウデールの魔女だとかいったの、全然普通の令嬢じゃないか」


 「確かに」


 と、完全に誤解や風評被害が消えたようでよかったなぁ……と思いながらも、アイリナ様大丈夫かな?ルギオス様そこまで怒らないと良いけれど、と思いながら若干冷めた食事を少しだけ速度を上げて食べて少し苦しくなりながら、教室に戻り授業を受けたがそこにルギオス様の姿は見えないまま放課後になり、約束したとおりみんなでフロルウィッチに向かう前に、偶然?なのかわざわざきてくれたのか、マリアン様が声をかけてくれた。


 「あんたも災難ね……これあげる」


 「ありがとうございます」


 そうしてマリアン様にシナモン味のクッキーをもらい、ちょっとほっこりしながら学院を後にしたのだった。


 

人気のない廊下、ルギオスは涙ぐむアイリナに優しく問いかける。


「アイリナ、どうしたんだ?何があった?」


「お兄様ぁ……私、私……」


そうして、妹の若さゆえの行き過ぎた行動を聞いたルギオスは頭を抱えながら一度神殿に連絡をするか、子爵に何と話せばいいのか頭を悩ませるのだった。

 全くどうしてこうなってしまうのか、ラフレーズと関わるとろくなことがないと頭を抱えてしまった。

いつも読んでくれてる皆様、初見の方閲覧ありがとうございます。

いいね、評価してくれる方本当にありがとうございますとてもモチベーション向上につながっております。


お暇なとき気軽な気持ちで評価、ブクマ等していただけたら幸いです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 証拠をあらかじめ抑えておき、必要な時に出すのは、大変良いです。 [気になる点] ・いい加減な噂(〈魔女〉も含めて)の出所の確認と、その相手への反論や抗議。 ・何故アイリナは一方的な噂のみ…
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